BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――朝から精力的な匠たち

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「2日目!」で取り上げた亀本勇樹が、朝から本体整備に着手していた。

 先日の浜名湖・新プロペラ制度先行実施の第1戦、H記者とともに浜名湖に張り付いていたわけだが、すべての選手が戸惑いながらプロペラの調整を進めるなか、真っ先に本体整備を始めていたのが、亀本勇樹だった。初日で電気一式を交換し、2日目にはキャブレターを2度交換、そして2日目のレース終了後にはピストン交換に着手。マイペラではない、備え付けのプロペラに選手たちの意識が向くなか、亀本はいち早く本体に注目し、手をつけていたわけだ。

 その一節における亀本の成績は決して良いものとはいえなかったが、しかし3日目には明らかに気配が変わった。それまではかなり苦しい足色だったものが、戦えるまでになったと見えたのだ。今日の整備が、部品の交換を伴うものなのかどうかは、直前情報を見るまではわからないが(僕がピットを離れるまでに交換の様子はなかった)、あの浜名湖を思い出せば、パワーアップして9Rに登場というシーンは十分に想像できる。現場や映像で確認できる方は、ぜひ注目してほしい。

 

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 整備室には、その亀本の姿が目立ったくらいで、多くの選手は試運転用係留所や、整備室の奥にあるペラ室で見かけることが多かった。これを書いている今、4Rの直前情報が発表されて、原田順一がピストンリングの交換をしているとのことだが、1Rスタート展示以降にはその様子が見られなかったから、朝イチから交換作業をしていたものと思われる。レースが始まってからの原田はペラ室にこもる時間が長かったのだ。なお、原田のウェアの左尻にはアップリケのような円形のものがついていたのだが、今日よくよく見てみたら、アンパンマンの顔だった。まさか自分で書いたわけじゃないと思うけど……。

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 10R1回乗りながら、万谷章もペラ室に姿があった。終盤レースだからのんびりしようという発想はまったくないようで、歩く速度は毎年見ているオヤビンスピードだが(ようするに、かなりゆっくり)、早い時間からテキパキと作業をしているのだ。そんな万谷には、山室展弘とか大川茂美とか、後輩たちが頻繁に歩み寄っていて、慕われてっぷりが見てとれる。御年68歳にして、この精力的な動きなのだから、誰だって敬意を抱くのは当然である。

 

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 さてさて、1Rは水野要の逃げ切りであった。水野というと、わりと淡々としているイメージがあって、優勝した05年はまだ当サイトが始まる前だったので、名人位を手にして歓喜する様子を知らない。1Rが終わってピットに戻ってきた際にも、水野から特別な笑顔が見られるわけではなく、イメージが更新されることはなかった。

「やりましたねぇ~~~!」

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 2Rがピットアウトし、待機行動を始めた頃、水面際で観戦していた水野にそう声をかけたのは、北川幸典。すると、水野は破顔一笑!「なぁ~、つかまらんかったわぁ~」と嬉しそうに言葉を返している。北川はいつもの爽やかな笑顔で、それが水野の優しい表情を引き出したという次第。その笑顔がまた、実に人のよさそうな柔らかさであって、めちゃ癒されたのでありました。

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 で、とにかく笑顔が目立つのは松野京吾だ! 今村豊とは実に仲が良く、名人戦や昨年のダービーなど、揃って参戦した際には行動をともにしている姿はよく見かけられる。今村さんのことだから、冗談飛ばしまくって松野を笑わせてるんだろうなあ。とにかく、二人でいるときには、本当に楽しそうにふるまっているわけである。松野は今村以外の選手と話したりしているときにも笑っていることが多く、1Rでコースを争い、コーナーでも接戦を演じた日高逸子とも、楽しそうにレースを振り返っていた。実力的には名人戦メンバーのなかでは上位のはずだが、なぜかあまり実績を残せていない松野。今度こそ、賞典レースでその笑顔を見たいぞ。

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 なお、今村豊もなんかゴキゲンっぽいです。一人で歩いているときにも、なぜかニコニコ(ニヤニヤ?)していたし。そのときたまたますれ違ったので挨拶したら、やけに声に張りがあった。もっとも、機力もうひとつのときでも、あまり深刻そうな顔を見せたりはしないのではあるけれども。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)