BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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下関名人戦TOPICS 3日目

今日のイン成績

②②④⑤①⑤②①②②②③

1着率17% 2連率67% 3連率75%

 

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「半分がたインが勝つ」と昨日の当欄で予想したのだが、大外れ。すいまっせん!>< 今日のイン戦は、初日とほぼ同じような成績だった。最大の要因は、初日よりもはるかに強く吹き荒れた向かい風だろう。センター~アウト勢の加速度が追い風の昨日とは一変し、スリットから誰かしらが覗いてインにプレッシャーを与えた。11Rの岡本慎治も12Rの西島義則も、外からの全速攻撃を受け止めきれなかった。

 ボートレースは、風で変わる。

 こんな自然当然の摂理を、改めて痛感した1日だった。 で、これだけインが勝てなかったのに、3連単のほとんどが40倍以内。万太郎が2本だけだったのは、なぜか。昨日も触れたが、この“軍団”の存在がでかかった。

 

今日のドリーム組

①①③③②①③②③

1着率33% 2連率56% 3連率100%

 

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 2R、倉谷和信の豪快な6コースまくり差しからはじまった今日のドリーム組。全体としては「取りこぼしも多かった」ともいえるのだが、注目すべきは3連率だろう。100%。つまり、舟券から誰一人として脱落しなかった。これでは、なかなか万シューは望めないわけだ。このデータを見て「無駄な喧嘩はせず、明日もドリーム組は絶対に舟券に絡める」と決心するか、逆に「明日はぶっ飛んで300倍以上の大穴が出る」と決め込むか……オッズを支配している以上、やはりドリーム組の取捨が重要だと思うぞ(ちなみに、私は後者側ですw)。

 

ドリーム組のパワー気配を簡単に記しておこう。

 

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★今村豊…中堅レベルだった前検から徐々にアップし、今日はもはや抜群レベル。バック直線で伸びトップ級・北川幸典の舳先を封じた足、2周バックで山口俊英に舳先を突っ込んだ足、どちらも迫力満点だった。課題は回り足か。

★日高逸子…昨日から書いてきたが、回り足を中心にやや気配落ちムードか。今日の③③着も、もっと上位に食い込むチャンスがあった。過信禁物。

 

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★西島義則…誰もが認める上位~抜群レベル。回り足~ターン出口のレース足が小気味良い。

★大嶋一也…悪くはないが、伸びがしっかりある分、出足がやや甘い? 大嶋パターンとはまだズレている気がする。

★岡本慎治…伸びが凄いことになっている。その分出足~回り足が平凡そう。大嶋をさらに極端にしたイメージ。

★倉谷和信…前検から悪くなかったはず。やっと本人としっくり噛み合って、試運転の良さを実戦でも生かせるようになったという感じ。出足~行き足は相当なはず。

 

山室が来た!

 

「名人戦に来た!」というだけでも嬉しい山室展弘なのだが、この「来た!」はもう一段上のレベル。ピンピン2連勝で、予選3位に突入したのだ。しかも、ド迫力の連勝だった。まず3Rは、5コースからのまくり差し。なんというか、全体重をかけて内の艇に覆いかぶさるような重厚な割り差しだったな。普通、まくり差しといえば軽快峻烈なものだが、ジローーーッと相手を睨み付けて道の脇にどかせるような感じ。がっつりコブシが利いていた。

 後半11Rは、4カドからスタート一撃でインの岡本慎治まで呑み込んだ。岡本が伸び返していたのでまくり差しもある展開だったが、「ドゥリャーーーーッ!!」という感じで握り潰した。インが西島(12Rで張り倒し)だったら、とんでもない大競りになっていただろう。

「(イン岡本が)人格者ですからね。みんな人格者ですから」

 インタビューも絶好調だ。

「向かい風、強かったですねぇ……人生と一緒」

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 勝つたびに冴え渡るヤマムロ節。このままの勢いで最終日のテッペンまで登り詰めたら、いったい表彰式はどんなオンステージになってしまうのか。見たい……マジで見てみたいぞ、山室さん。「もう、お腹いっぱいですわ」なんて言ってないで、最終日に新たな「ヤマムロ伝説」を作ってくれ~!!

 

集中連載『今日の万谷親ビン』……⑥④着/節間勝率4・75

 

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 鬼門の4、5号艇を、乗りきることができなかった。4Rは完全なスタート負け。3コースの北川幸典がコンマ11と突出し、一気にまくりきったこのレース。4カドの親ビンにとっても絶好の展開だったわけだが、コンマ25では密着マークできない。北川から虚しく千切れ、差し場もないままズルズル後退した。これはもう、弁解のしようがない大敗。 惜しかったのが、後半8Rだ。5コースの親ビンは、スリット後に内の池上正浩(万谷応援隊長w)を1艇身出し抜いた。私の予想は「池上応援隊長が絞りまくり、親ビンのマーク差し一閃」だったのだが、これはこれで文句はない。迷うことなく、艇をぶん回す68歳。惜しくも逃げる鈴木幸夫には届かなかったものの、ガッチリ2番手に取り付いた。

 

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 このまま2着を死守すれば、明日に望みがつながる!!

 アタマ舟券しか買っていない私は、“副応援隊長”に専念だ。親ビンのすぐ後ろに、西島義則が貼り付いた。SG7Vの安芸の闘将に、ツケマイを食らわす親ビン。

「決めろっ、親ビーーン!!」

 嗚呼、西島の鬼神の如き小回りターン、速いこと速いこと。親ビン、3番手に後退。ただ、このまま3着でも、明日はピン条件で準優に手が届くはず。なんとか首がつながったか。

 

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 と思った瞬間、後方から猛然と追い上げる艇あり。それは……開会式で「今節は万谷さんの応援に来ました」と高らかに宣言した池上隊長、その人ではないか!

 ま、まさか、西島に突進して、親ビンを援護するつもりなのかっ、隊長!?

 そうではなかった。池上隊長が猛攻撃を仕掛けた“敵”は、万谷親ビンだった。鋭角差しやら切り返しやら、あの手この手で親ビンを出し抜こうとする池上隊長。

「た、隊長、そんなーーーーっ!!」

 叫んではみたものの、当たり前のことなのだな。水面では先輩も同県もなく、無邪気にガムシャラに走り続けてきた面々だからこそ、この名人戦の舞台にいるのだ。むしろ、池上のこの執拗な攻撃は、万谷親ビンへの敬意でもあるだろう。

 これ対して親ビンは、どうしたか。微塵も臆することなく、スロットルレバーを握り続けた。外、外、外、の全速マイ。最後の最後まで同県のふたりは激しく攻め合い、最後はハナ差だけ池上が先んじた。無念の4着……。これで明日は1着でも5・80、予選突破に黄信号が点る4着になってしまった。

 

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 だがしかし、それにしても。この8Rの万谷親ビンの走りときたら、もう。

★1マーク…ぶん回り

★2マーク…ぶん回り

★2周1マーク…ぶん回り

★2周2マーク…ぶん回り

★3周1マーク…ぶん回り

★最終ターンマーク…ぶん回り

 6個のコーナーすべて全速握りマイ、敵をことごとくまくりかツケマイで引き波に沈めようとしたのだ。こんな68歳、他にいるかっ????(Photos/中尾茂幸、text/H)