BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――強風のなかの笑顔

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今日は選手にとって、なかなかハードな一日であった。強風に荒れ水面は、それだけでストレスになるだろうし、不本意なレースしかできなかった選手も少なくないだろう。もちろんそれもボートレースであり、こうした状況をも乗り切ってようやくたどり着くのが栄光ということになるわけだが、それでも選手にはお疲れ様と言いたくなるというものである。なんたって、ピットに立っているだけで、その風が体力を奪っていくのだ。風のないところに行けば、蒸し暑さがやっぱりこたえる。そうしたなかで選手は試運転や調整に全力を尽くし、レースでは風と波に立ち向かっていく。我らがナデシコは、まさに強くて美しい女性たちなのである。  

 

 

 

 

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終盤の時間帯には今日も整備室に選手が大勢いた。SGよりも多いんじゃないかな。宇宙一女子リーグを見ている男として名高いBOATBoyの女子バン・森喜春に確認すると、「う~ん、どうでしょう?」とのことだったが、少なくともSGに匹敵するほど、女子選手もとことんパワーアップに腐心する。今日は、佐藤幸子、谷川里江、高橋淳美といったベテランが目立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

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もっとも高橋は、同期の谷川に付き添ったり、相談相手になったりしているようで、自身の整備というわけではなさそうだったが。若手ももちろん頑張っていて、鎌倉涼に長嶋万記。また、金田幸子も本体を割っているようだった。  

 

 

 

 

 

 

 

 

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9R後には、レースを終えたばかりの横西奏恵が、素早くギアケースを外している。その動きがなんともSGレーサーらしかったわけだが、一方で表情は暗い。今日は6着と4着だから明るくなれるはずがなく、巻き返しを期しての外回り整備というわけだろう。今日は荒れ水面だから参考外という気もするのだが、しかし横西はレースから何かを感じたのだろうし、それを解消することをレース後の優先事項にしたのだ。明日は絶対女王らしい表情が見られるだろうか。  

 

 

 

 

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なお、ゲージ調整は平山智加に水口由紀。明日あたりからはさらに増えるはずだが、今日の時点では、「必死の整備をしている選手たちとゲージ調整をしている選手たち」という対照を示しておきたいと思う。平山はレースを見ても明らかに出てますからね。少なくとも、平山と水口は横西や佐藤や谷川らのように急ぎ本体を触る必要がないというのはたしかなことである。

 

 

 

 

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いい表情を見せてくれたのは、まずは寺田千恵だ。4カドからのまくり一発。レース後の寺田が表現していたのは、歓喜よりも安堵であった。「よかった~」と脱力したようにシナを作り、点を仰ぐ。出迎えた福島陽子が優しげに微笑みかけると、寺田もヘルメットの奥で目を細めた。どうやらペラ調整が当たったようで、それもまた寺田の心を弾ませるものだっただろう。この1勝に留まらず、明日以降にも見通しがついたからだ。この荒れ水面の中でも好感触を得られたということは、間違いなく大きな上昇だったと言えるはずだ。  

 

 

 

 

 

 

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田口節子もやっぱり笑顔! 1マークは握って攻めて、豪快に流れていったが、2マークは豪快に差し返して1着。笑っていなければおかしい! 節ちゃんはとにかく、昨日から柔らかい雰囲気だし、笑顔は多いし、余裕のたたずまいと見える。SGと比べればずっと気持ち的に楽なのは当然で、それがまた好循環をもたらしているように思えるのだ。  

 

 

 

 

 

 

 

 

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で、この田口を出迎えて、優しく笑いかけたのはやっぱり福島陽子で、この人は岡山勢の精神的支柱となっているのだろうな、と実感した次第。3月の女子王座、ピットの片隅でブルブル震えていると、目を留めてくれた福島が優しく笑って「寒いですもんね」と声をかけてきてくれたことがあった。ちょっと恥ずかしかったが、心は和んで温まった。そんな思いを後輩たちは常に味わっているのであろう。好調・岡山勢の陰に福島陽子あり! もちろん、福島自身にも頑張ってもらいたいぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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さてさて、今日いちばん忙しかったのは、選手班長の日高逸子であろう。1Rから安定板装着となったが、その決定には班長との協議という過程も含まれる。班長は選手の意見もまとめなければならないし、決定が出れば選手たちに伝えなければならない。執行部と選手の橋渡しを務めるわけだ。11R前だったか、係員の方たちと艇庫へと入っていく姿も目撃。シャッターが閉められていたので内容は不明だが、もちろんレースに関わることを協議するための動きだろう。平時でも多忙な選手班長、今日のように天候が急変すれば仕事も増える。そのうえで、今日は2回乗りだったのだ。そのうち1つが、6コースからの1着なのだからお見事! 苦労が報われたというわけではないけれども、走り回っている日高さんの快走を見れば、やっぱりこちらも嬉しくなってくるのである。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩=横西、福島 TEXT/黒須田)