BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――歓喜と痛恨……本日の水神祭つき!

f:id:boatrace-g-report:20171205122741j:plain

「6R終了後、5Rで初アタマを獲りました原田篤志選手の水神祭を行ないます。

お手すきの選手はボートリフトに集まって、ご参加ください」

6Rがピットアウトする直前、ピットにアナウンスがかかった。

原田篤志の水神祭予告だ! いやはや、これは珍しい。

水神祭は選手が自主的にやっていることであり、

もちろん競技本部もそれを許可しているわけだが、そ

れをアナウンスで知らせるとは、初めての経験だ。粋な計らい! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171205122810j:plain

ということで、6Rが終わるとアナウンスを聞きつけた選手が

何人かボートリフトに集結! 原田篤志、SG初1着おめでとう! 

本日の水神祭であります! 実は、原田の1着を大喜びしていた

今村豊は、着水しようとボートリフトに艇を乗せ、

操縦席でリフトが下ろされるのを待ち構えているところだった。

「ちょっと待ってて! 係留所につけてくるから」と

今村は原田らに告げていたのだが、

原田が投げられる準備のためにクツなどを脱ぎ始めると、

仲間外れにされちゃたまらん、とばかりにボートを降りちゃった。

いやいや、今村さん抜きでやるわけないですってば。 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171205122835j:plain

それでも、今村が参加したのだから、

さあ行こう水神祭。山口支部を中心に、

中国勢が原田を高々と持ち上げて、豪快に執り行なわれた。

アナウンスのおかげで、篠崎元志や前田将太ら若手も続々と

駆け付けてきていたのだが、あまりに人数が多くなったため

輪を離れて見守る側に。もちろん、アナウンスを聞きつけて報道陣も

大量参戦しており、多くの人たちに見つめられながら、

原田は水面に投げ込まれたのだった。

空中でくるくるっと回ってから着水する、お見事なものでしたよ! 

おめでとう! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171205122904j:plain

原田といえば、

魚谷香織の師匠としても知られている。

SG水神祭は弟子のほうが先だったが、これで追いついたぞ! 

この勢いでSG常連となって、師弟そろって大舞台をにぎわしてください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171205122932j:plain

歓喜があれば、痛恨もあるのがピットの風景。

7R、田村隆信と中村亮太が2マークで接触、

田村は転覆し、亮太は不完走失格となっている。 

田村も亮太も、整備室で姿を見ており、

明日の出走表にも名前がある。まずはホッと一安心だ。

亮太は「これは当たる!というラインだったから、

操縦席に伏せこんだんですよ」とのことで、

それにより大きなケガを免れたようだ。さらりと言っているようだが、

やはり相当の恐怖はあったようで、亮太自身、

胸をなで下ろしてもいるようだった。 

ともあれ、明日も力いっぱい走る田村と亮太。

「MB記念は地元に選んでもらって出てるわけだし、

地元のためにも頑張りますよ!」(亮太)。

ともかく、明日の二人にぜひとも声援を!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171205123000j:plain

痛恨といえば、

もちろん敗戦の痛恨もある。11R、川上剛は2号艇で出走、

しかし6着。道中は川上らしい追い上げの姿勢を見せていたが、

及ばずシンガリに敗れてしまった。 

ピットに帰還し、ボートリフトの上でヘルメットをとった川上は、

視線を下に向けて、露骨に顔を歪めていた。

後輩たちが引っ張るボートの後ろを、

落胆ぶりがはっきりとわかる遅いスピードでついていき、

周囲がエンジン吊りを始めると放心したような表情でそれに加わった。 カポック脱ぎ場に向かう足取りも重く、

到着は11R組ではシンガリだった。出走メンバーと挨拶を交わしたあとは、いっさい口を開かず、ただ黙々と装備を解いている。

その間ももちろん表情は歪み、

自分の不甲斐なさを責めているかのような顔つき。

その悔しさが和らぐには、まだかなりの時間が必要そうだった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171205123027j:plain

10R後には、

山崎智也も“智也らしい”悔恨の表情を見せた。

ほんとにもう何度も書いてることだが、敗れたあとの智也は笑う。

笑うことで、悔しさが露見しないよう、感情を押しとどめるかのように。今日の智也は、笑うというほど表情を崩してはいなかったが、

ピットに戻ってからカポック脱ぎ場に向かうまで終始、

微笑を浮かべていた。それが本音をあらわす表情でないことは

明らかだが、ちょっとだけ様子が違うようにも思えた。 

カポックを脱ぎ、ヘルメットをロッカーにしまうために他の選手に

背を向けたとき、いきなり表情が変わった。

すーっと、本当にすーっという音が聞こえるかのようにすーっと、

微笑が消えたのだ。仲間から見えないところで、

一瞬のうちに本音をあらわにしたのである。ゾクッとしましたね。 

思えば、そのギャップこそ、SG優出連発していた頃の

山崎智也のものである。まさに“智也らしさ”。

それが地元SGで戻ってきた? 

とにかく、智也のレース後の表情にここまで震えさせられたのは、

けっこう久しぶりかもしれない、と思った。

もちろん、こんな山崎智也を僕はずっと見たかった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171205123046j:plain

で、こちらは勝者ではあるが、

松井繁も痺れる表情を11Rのレース後に見せてくれている。

キリリとした王者らしさと、湯川浩司らに向ける爽快な笑顔。

強い男たちが魅せる勝負師らしさは、

原田篤志のSG初1着の歓喜と同じように、

こちらの心を弾ませてくれるものだ。

 

PHOTO/中尾茂幸=川上、山崎、松井 池上一摩=それ以外 TEXT/黒須田)