BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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桐生MB記念TOPICS 4日目

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憲吾が、湯川が、赤岩が圏外に消え去った4日目。

みな、それなりにタイトな条件だったが、

まさか、この男がV戦線から去ってしまうとは……><

 

 

 

 

 

 

ま、またかっ、山口!!

 

 

 

 

 

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我が前検ファミリーの鬼っ仔・山口剛が、またまたやらかしてくれた。今日の山口は2走で8点ノルマ。1・2号艇という枠を考えれば、

当確ランプを点してもいいくらいだった。2着で後半を待たずに

準優即決となる4R、2コースの山口は素直に差しハンドルを選択した。これが、まったく入らない。今節の山口も、課題は回り足なのだ。松井繁の2番差しが、山口を捕えた。それで焦ってハンドルを切りすぎたか、バランスを大きく崩してあえなく転覆。もちろん、選手責任マイナス7点で、一瞬にしてV戦線から消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

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「またかぁ!?」「またやっちまった!」 記者席のあちこちから、呆れたような声、声、声。私も半ベソかきながら、「またかよぉぉぉぉ」と叫んでいた。そう、山口の転覆はもはやSGの風物詩なのだ。今節も含め、山口は27節のSGに参戦して<転覆6回、落水2回、沈没1回、エンスト1回、フライング1回>……実に11回もゴールに辿り着いていない。で、去年からここ1年半はもっとド派手で、8節のSGで転覆4回、落水1回、フライング1回。これ、すべて予選道中。つまり、アクシデントの連続で、ほとんどV戦線に参加できないでいるのだ。ちなみに、事故が起きる前の予選成績を羅列してみると。1・122・114・22・2323

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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毎節毎節、大崩れがまったくない、素晴らしい成績なのである。

焦らなくても、予選突破はおろかV街道をひた走れそうなほどの

成績なのである。今節も。なのに、この子ときたら、

いきなり何の前触れもなく、あたかも水面とじゃれあうかのように、

水面に飛び込んでしまうのである。 

まあ、やんちゃというかおちゃめというか、

そんな剛がどうにも愛おしい私なのだが、

ぼちぼち卒業してもいい頃だと思うぞ。

「技の百貨店」なら聞こえはいいけど、

「アクシデントの百貨店」なんて言われないようにね、剛クン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラゴン・タッチ

 

 

今年いちばん厳しい勝負駆け。

10Rの必要十分条件は、こんなだった(ボーダー6・00想定)

 

①守田俊介…①

②魚谷智之…②

③今村 豊…④

④齊藤 仁…②

⑤中澤和志…②

⑥峰 竜太…④

 

 

 

 

 

 

 

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メイチ連対勝負の4人はもちろん、

誰一人として大崩れが許されないサバイバルカード。

私は、だからこそスタートが揃い、

内から順繰りで1-2-3になると予想した。守田俊介へのエコ贔屓も

手伝って。そして、俊介は私の期待通りのスタートを決めた。

インからコンマ09、ほぼ全速。2コースの魚谷が少しだけ凹んだが、

カド受けのミスター今村もコンマ09(もちろん全速)。

いかにも勝負駆けらしい、気合いのスロー勢だった。 

だがっ!! 4カドにいた男は、そんなスロー勢の気合いを

はるかに上回っていた。6号艇の峰竜太。

恐るべきピット離れでたちまち4コースに潜り込んだこの若者は、

ピット方面の奥深くまで艇を引っ張った。

 

 

 

 

 

 

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うぅ、なんか、やべ。 井口と峰の4カドは、不気味なオーラが漂う。

でも、きっと大丈夫。全速モットーのミスターが、

屈強な壁になってくれる。そう祈りながら、観ていた。

そして、前記のとおりスロー勢は、しっかりとスタートを決めたのだ。 峰のスタートは、コンマ00だった。しかも、全速だった(本人談)。

いくらミスターが全速でも、ダッシュ選手に

タッチSを決められてしまっては、ひとたまりもない。

あっっっっという間に、今村、魚谷、

そして我が俊介を呑み込んでいた。その間、3秒くらいだったろうか。

5日間で5キロも減量した俊介の努力が、

命知らずの若武者にわずか3秒で吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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5着から10艇身ほども千切られ、息も絶え絶えの体で走る俊介。

私は1Mの片隅から、「お疲れさん、よう頑張った」と心の声をかける。そして、先頭をひた走る佐賀の若きエースに、心の拍手を贈った。

これぞ、勝負駆けオブ・ザ・イヤー。全員が命懸けのレースで、

まさに生死の際の際まで突っ込んだ。

しかも、4着条件なのに、迷うことなく1着だけを奪いに行った。

峰リュー、お前はもう、SGがマジで近いな。 心の中で呟いた。

 

 

 

転覆でも断トツ??

 

 

 

 

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さてさて、ボーダーから目を上に転じてトップ争いを見ると……

これがまた、違った意味で凄かった。12R直前のトップ争いは、こうだ。

 

①瓜生正義 9・60

②寺田 祥 7・60

③池田浩二 7・50

 

 

 

 

この大差! 瓜生がトップになるための条件は

「無事故完走はもちろん、転覆してもOK」だったのである。さ

すがに選手責任マイナス5点ならトップ陥落だが

(それでも予選5位だったw)、責任外なら断然トップ。

つまり、12Rの瓜生が“本気で”予選トップを狙うなら、

誰にも接触せず最後方を走るのが最善の方法だった。

 

 

 

 

 

 

 

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こんな境遇で、6コースからどこまで頑張れる、瓜生?? 

それが私の最大の焦点だったのだが、

さすが“歩く勤勉、走る誠実”、しっかりと3着争いに加わり、

パワーとテクを120%駆使して舟券に絡んでしまった。

あとは、明日とあさって、逃げきるだけ。

あの、福岡での4カドまくりVから、ちょうど丸1年。

強い強い男が帰ってきた。

 

(photos/シギー中尾、text/H)