BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――いつも通り

 

これだけの豪華メンバーが集まれば、

前半戦のピットはむしろ「いつも通り」だ。SG合計31冠。

数々の修羅場をくぐってきた、そして結果も出してきた

強豪ばかりなのだ。この日の過ごし方を知り尽くしているに

決まっている。 

 

 

 

 

 

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まあ、峰竜太は明らかに表情が硬いわけだが、これも「いつも通り」ではあろう。エンジン吊りで前田将太が話しかけても、笑みは見えない。会話は交わしつつも、頬が引きつり気味に見える。背中からちょっかいを出してきた西山貴浩には、ボディにパーンチ! こうしてじゃれ合いながらも、峰の表情はたとえば昨日の準優後のような弾けっぷりがない。だが、これは先述したとおり、「いつもの峰竜太」。後輩たちが絡んでいって極度の緊張はほどいてくれるだろうから、レースではきっと力を出し切ってくれる。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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池田浩二の表情がきりりと引き締まってるように見えたが、これは気合のあらわれか。昨日の会見は泣きまくっていた池田が、朝の公開インタビューでは「優勝します!」と力強く宣言した。この豹変は何だ? そう思っていたのだが、その謎はわからないまでも、顔つきはぐっと力強くなっているのは確かだ。もっとも、東本勝利にすれ違いざま自分からぶつかってふざける、という茶目っ気は相変わらずだが。 

 

 

 

 

 

 

 

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原田幸哉は、松井繁と向かい合ってプロペラ調整。この男が大一番前に緊張しているところは見たことがなく、今日も顔を合わせれば爽快な笑顔だし、プロペラを見つめる視線はいつも通りに鋭い。彼が住む沖縄には過去最大ともいわれる台風が上陸すると言われており、熊谷直樹が心配して声をかけるシーンもあった。幸哉も気がかりには違いないが、それにもいつも通りの笑顔で返している。北海道の熊谷と沖縄の幸哉……何がどうというわけではないが、ちょっと感動した。 

 

 

 

 

 

 

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で、一緒にペラを叩いていた松井は、3R前には愛用の小さな椅子を持って、控室へと消えていっている。昼間の時点での調整はほぼ終わったのだろう。ゆったりした足取りはさすがの風格で、もちろん精神的な余裕もうかがえる。4Rでは1着の馬袋義則を出迎えて、「嬉しいか?」とからかうように祝福の声をかけていた。馬袋義則はなぜか上目づかいで「嬉しい……」。松井と魚谷智之が爆笑した。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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山崎智也の涼しい表情も印象に残る。僕がピットにいた間は、ずっと整備室隣接の喫煙所にいるか、エンジン吊りに出るか、という過ごし方で、悠々とした時間を過ごしている。地上波中継のインタビューに呼ばれた際にたまたますれ違ったので挨拶をすると、めっちゃ優しい笑顔を返してくれて、おっさんでもクラクラ……。エンジン吊りでは秋山直之と楽しそうに話している姿もあり、闘魂エンジンが点火されるのはもう少し先のことになりそうだった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

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で、ただひとり、「いつも通り」ではない選手がいたとするなら、僕には瓜生正義と見えた。作業的にはプラグのカーボンを削ぎ落すところを見ただけで、4R前にはペラゲージを控室に運んでいたりもしており、余裕の昼下がりといえばそのとおりだが、表情にちょっとだけカタさが浮かんでいるように見えたのだ。エンジン吊りでは、いつも後輩に囲まれて柔らかな表情を見せているのだが、今日はなぜか眉間にシワが見えたりしており、篠崎元志が話しかけても目が笑っていないように見えた。さすがの瓜生もSG優勝戦1号艇に緊張? そういえば、SG優勝戦の白カポックはこれが意外にも2度目だとか。まあ、空回りするような瓜生ではないと思うのだが、果たして……。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩=峰、山崎 TEXT/黒須田)