王者が……
昨日とは一転、今日の福岡水面はインが7勝と
通常のSGらしい1日になった。が、その着順を羅列すると、
なぜか大波乱に見えてしまう。
今日のイン成績
②①①F④F①転①①①①
フライングが2本に、転覆1回。
とりわけ、6Rはイン古賀繁輝のFに止まらず、
5号艇の江口晃生、そしてそして、
ほぼ当確ランプの点っている王者・松井繁が
スリットの魔境に足を踏み込んでしまった。
今期、Fを一度も起こさず、我慢に我慢を重ねて
暮れの大舞台へひた走ってきたはずなのに……。
12秒針が回る中、松井の心がどう揺れ動いたのだろうか。
V候補の筆頭だった地元の瓜生正義が早々にV戦線から消え、
今日は松井。さらにダービーを最高峰のSGとする
ミスター今村豊も敗れ、服部も散り、井口、智也、
信一郎らも戦線から離脱した。
コース下克上の福岡水面を象徴するような、戦国ダービーだ。
昨日も書いたが、6年前の福岡ダービーの準優は、すべて6コースが勝っている。勝率6点以下でギリギリ滑り込んだ
峰竜太、勝野竜司、濱野谷憲吾が、不気味な存在になりそうだ。
その気力、節イチ!!
2日目の転覆失格をモノともせず、石川真二が見事に予選を突破した。10Rの石川は1号艇で4着以内という勝負駆け。
穏やかではあるが、イン受難の福岡水面だけに、
一歩間違えば大敗も十分に考えられるイン戦だ。
私も「峰リューのカド一撃を喰らうのでは??」などと
スケベなアウトセット舟券を買っていた。だがしかし、
他艇をブッチギるコンマ08スタート。そのアドバンテージを生かして、バックで追いすがるライバルをなんとか振り切った。
スタート勝ち、つまりは気合い勝ちだ。
今節の石川真二の気合いは半端ない。
初日から何度か書いてきたが、今日もこの一語に尽きる。
ここまでの成績を振り返れば②①転②①。
この転覆レースはほぼ2着確定の流れで、
②①②①②という成績ならば、結果論としては
8・80で予選トップに立っていた。
もちろん、パワー上位は間違いないだろう。
が、何度も書いたとおり、今節の石川は機力より
気力が水面に生き生きと投影された。
準優組でいうなら、山口剛、篠崎元志とこの石川が
「気力の節イチ候補」といえるだろう。
あ、それからもうひとり、石川真二の予選トップを
幻にしてしまった平田忠則の成績は、①②妨①①。
これもまた凄い。しかも、今日の平田の1着走破タイム1分44秒3は、
断然のシリーズレコードでもある。その節イチパワーを
準優で拝めないのは残念だが、一般戦での走りっぷりに
大いに注目するとしよう。
同率首位のアトサキは……??
予選トップ争いは、もちろん最終レースにもつれ込んだ。
12R
①坪井康晴
②川北浩貴…①①①①③…9・20
③太田和美…①①③①②…8・80
④吉川元浩
⑤横澤剛治
⑥桐生順平
川北と太田の直接対決。
これに、すでに予選を終えている
丸岡正典の8・33との三つ巴に絞られた。
もちろん、有利なのは暫定トップの川北だ。
その自力トップ条件を記すと★④着以内で太田に先着。
たとえ太田に先着されても太田②川北③、太田③川北④なら
トップ確定。 一方の太田は★①着なら無条件で確定。
②③着時は、川北の着順がふたつ以上悪い場合のみトップ。
というものだった。つまり、どちらもスッキリ勝てば
文句なしに確定だったのだが、
実戦はインの坪井康晴があっさり逃げてしまった。
2番手は……太田!! で、激アツの混戦になったのが3着争いだ。
予選トップへ3着が絶対条件の川北、5着ならアウトの吉川、
日々パワーアップしている横澤が、組んずほぐれつの
交差旋回を繰り返す。その大接戦で3着をもぎ取ったのは……川北だった。貴重な6点増しで、勝率8・67。太田とまったく同率だが、
1着数の差でトップを守りきったのだった。
今晩の爆笑ブログ『風雲きもり城』のコメント欄は
シガシブ皮切ったヘロタカパイセンのファンが集結し、
多いに盛り上がることだろう。
あとは……
予選トップ=準優12R1号艇→1着→優勝戦1号艇という
花道の優先権を、川北が守りきれるか。
過去にSG優出2回。その経験は大きいが、
2位の太田、3位の丸岡ともにすでにダービーを制しているツワモノだ。さらに、イン絶対には程遠い「福岡水面」もまた
ライバルのひとつになるだろう。
昨日まで5戦連続で万舟を提供し続けた、
今節のベストサプライズ男・川北。
あと2回逃げきれば、最大のサプライズが完結する。
(photos/シギー中尾、text/H)