トライアルは言うまでもなく、11Rと12R。
今日は雨予報も出ているし、天候の変化を待って始動しても
いいんじゃないか、と素人考えでは思えてしまう。しかし、
トライアル組は動き出しが早い。1R発売中にはすでに
三浦永理が試運転に出ていたし、寺田千恵のボートも
係留所にあった。2R発売中にはその寺田も試運転に出ており、1
2人の聖女は実に精力的に動いているのだ。
●決定戦●
整備の動きも実に早い。
1R展示後にピットに行ってみると、
田口節子が本体整備を始めていた。とにかく泣きまくりの田口は、
本体整備を昨日の会見でほのめかしていたが、
さっそく朝から取り掛かっているわけだ。
表情には悲壮感さえ見える。
隣では、山川美由紀も本体整備だ。
山川は昨日もピストンリングを交換しているが、
今日もまた本体に手をつける。短期決戦だけに、
一日一日が勝負なのだ。とりあえず今日は走ってみて、
その手応えによって……などと悠長な考え方を山川は
まったくしていないのである。 その輪には、日高逸子も加わっている。日高も昨日に続いて本体整備だ。今日は2R発売中には
切り上げており、短時間の調整(点検)ではあったが、
日高も1着→2走連続1号艇という好状況に油断することなく、
作業を続けている。 2R発売中には香川素子も整備室へ。キ
ャブレターを外していたので、そちらの整備かと思われたが、
整備室に運んだのは本体のほう。こうして狭い整備室は
決定戦組で占められたという次第である。
この中には、永井聖美もいた。いきなりの本体整備だ。
永井は椅子に座ってピストンリングを選んでおり、
交換してレースに臨むことになるかもしれない。
あ、そうそう。永井のモーターはシリーズ戦で使ったものとは
変わってますので、ご注意を。外枠固定、優出の権利なしと、
あまりモチベーションが上がらない状況での参戦。
しかし永井は、手も気も抜くことなく、
パワーアップを追い求めている。その姿を見ていると、
応援せずにはいられない気持ちになってくるというものだ。
ところで、トライアル組のボートには、今回決定した
キャッチフレーズが記されていることにはお気づきでしたか?
写真をご覧ください。これが、12人全員にそれぞれ貼られているのだ。しかし、永井のキャッチフレーズは決まっていない。1
3位だったのだから、仕方がない。というわけで、
永井のボートには「永井聖美」と名前だけ
が貼り込まれておりました。永井聖美のキャッチフレーズ、
永井聖美。私が永井聖美よ!って感じか。
私が勝手につけたキャッチフレーズは
「キューティー・キャットにゃん」です。
●シリーズ戦●
決定戦メンバーで大混雑の整備室のなかに一人、
シリーズ戦組が。長嶋万記だ。キャブレターを調整していたようで、
なんとも目つきが鋭い。強者の雰囲気を身に着けたなあ、
と改めて思う。決定戦組に混じっていても、何の違和感もないし。
来年は本当にベスト12に名を連ねるんじゃないかな。
1R、茶谷桜が6着。今節はとにかくツイていないというか、
成績が伴ってこない。2日目は2走とも事故艇や
失速艇回避を強いられる展開になっているし、
機力も満足いく領域には達していないだろう。
だが、茶谷はとにかく奮闘している。クランクシャフト交換の大整備も
した。日々、試運転と調整を繰り返し、
ピット内を駆けている光景を目にする。とことん頑張っているのだ。
その1R後、茶谷はまたピット内を走っていた。
エンジン吊りが終わって、ものの1分も経っていない。
レース後だから一息つきたいところだろうが、
茶谷は1秒も休むことなく、また次の動きを始めていたのだ。
出走表を確認すると、2走目が5R。たしかに時間はない。
よく見れば赤いカポックから緑のカポックに着替えてもいる。
そして、速攻で着水! たった今、ボートを陸に上げたばかりなのに、茶谷は間髪入れずに水面に戻っていったのだ。
頑張れ、茶谷桜。こうした努力はきっと報われる!
(PHOTO/中尾茂幸=山川、茶谷 池上一摩=それ以外 TEXT/黒須田)