BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――幸運のクラゲ?

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 1R発売中、展示待機室にいち早くやって来て、水面際でカポックを着込んだ向所浩二。装備を整えると、突然、水中を覗き込み始めた。何なんでしょ? 時間が経ってから僕も覗き込んでみたが、特に変わったものは発見できず。

 というわけで、はっきり確認したわけではないのだが、どうやらクラゲがその付近に時折あらわれる模様。艇運係の方々が水面を覗き込んでいる光景も見かけている。で、向所は2R、豪快なツケマイで見事に1着! まさか、幸運のクラゲ? う~ん、出会いたい……。

 

 ここで何度か書いているが、SG3日目の朝というのは比較的静かな空気になるものである。前検から2日目までに大きな問題があれば発見して、手を施す。そのスピード、あるいは感性の鋭さも、SGクラスならではなのだ。トップに上り詰める原動力は、水面でのパフォーマンスだけではない。陸の上の動きもおおいに関わってくるわけである。

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 そんななかで、湯川浩司が閑散とした整備室で本体を開けていた。別に昨日までのんびりしていたというわけではない。今日の湯川は12R1回乗りなのだ。時間がたっぷり残されていることで、本体とじっくり向き合おうとした。無駄のない時間の使い方も、また強者らしさである。

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 1R終了後には、宇野弥生がキャブレターを外して整備室に向かった。宇野は10R1回乗りで、こちらも比較的時間はある。10Rまでを漫然と過ごすことなく、整備に取り組むスリットプリンセス。きっと彼女も、いずれSGのピットで頻繁に見かける存在になるかもしれない。

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 湯川も宇野も動き自体は急いでいるふうはなかったが、前半を戦い、さらに次のレースとの間隔がない選手は、大急ぎの動きとなる。1R3着の馬袋義則は、いったん着替えるために控室に戻ると、ものの1~2分でふたたびピットにあらわれている。7Rに出走があるのだ。馬袋は道中2番手を走りながらも、逆転されて3着。そのレースで違和感を覚えたのだろう。速攻でプロペラを外すと小走りで調整所へ。ペラを叩いたあとは当然試運転もするわけだから、中5レースという時間は決して豊富ではない。

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 その馬袋を逆転した芝田浩治は、次は5Rである。中3レースだ。馬袋とほぼ同じタイミングでピットに戻ってきた芝田は、やはり速攻でペラを外し、調整所へ。逆転2着と上々の成績でも、何もせずにレースに向かうなんてことはしないのだ。4R発売中には展示ピットにボートをつけなければならないから、残された時間はわずか。その時間を目一杯使って、さらなる上昇を追求するというわけだ。

 

 さてさて、エンジン吊りのお話。レースを終えた選手を仲間が出迎えて、共同でモーターを外したり操縦席に入ってしまった水分を掃除機で吸い取ったり後半レースの艇番艇旗を装着したり、というのがエンジン吊り。モーターは重いから2人1組で装着したり外したりするわけですね。これは、基本的に同県同地区の選手が集って行なわれる作業。松井繁のエンジン吊りには大阪支部や近畿地区の選手が参加するわけです。

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 1R、田頭実が出走。ここには当然、福岡支部が集まる。2Rには同支部の出走がないから、今節参加している福岡勢はここに勢揃いすることになる。一方、1着となった深川真二も九州地区で、こちらには結果、峰竜太しか出迎えがないことになる(長崎の井川正人は2R出走)。こういうときの選手たちの判断力や動きは素早いね。今井貴士が早々に福岡勢の輪を離脱して、峰のもとに走ったのだ。

 このレースには馬袋義則、芝田浩治も出走しており、SGウイナーずらりの大阪支部は手分けして両者のエンジン吊りに参加。ところが近畿地区からはもう一人、深井利寿も参戦しており、必然的にこちらが手薄となった。すると馬袋のエンジン吊りに参加していた湯川が、深井のほうにも出動。手早い動きで、両者のエンジン吊りをこなしていた。

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 徳島から単独参戦の烏野賢太には、もちろん香川支部の選手が出動。ただし、森高一真が2R出走のため、決して人の輪は大きくなかった。それに気づいたのか、関東地区の出走がなく控室前あたりにいた山崎智也が猛ダッシュ! 地区を超えてのエンジン吊り参加を果たしたのだった。

 レースには関係ないけど、こうしたキビキビとした動きは、いつ見ても気持ちがいいのであります。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩=宇野、芝田、今井、烏野 黒須田=最初の2点 TEXT/黒須田)