BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島総理杯TOPICS 4日目

'今日のイン戦

⑥①①②①③①②②④①②

1着率42% 2連率75%'

 とりあえず書いてみたが、今日は参考外かもしれない。

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 朝から強い追い風が吹き荒れ、7Rからは安定板装着。最大風速11mで、その11Rでは4カドからスリットでのぞいて内をまくり切ったはずの瓜生正義が、追い風と波(6cm)に流されて大きく後退、まくられたはずだったインの太田和美がくるりと回って先頭というシーンが見られている(決まり手は抜き)。

 外コースの選手にも、基本的には厳しい条件となった。1マークはただでさえ乗りにくい強い追い風、波だった水面は先に旋回する内寄り艇が作った引き波とドッギングして、行く手を阻む壁となる。まくって攻めた艇をマークし、差し場に舳先を向けながらも、まったく前に押さない、というシーンも何度か見られ、まくりが決まっても内が残してしまうケースが頻出した。

 明日も同様の気象条件となれば、今日の傾向を参考にしなければならないが、風が緩み、波が穏やかになったとしたら、また改めて流れの向きを探さねばならないだろう。ともあれ、この悪条件のなかで勝負駆けを奮闘した選手の皆様、お疲れ様でした!

 

モンスター対決は……

 

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「我々は、明日の8Rを見逃してはならない」

 昨日、畠山直毅はそう書いた。そして……畠山直毅は、その8Rを見逃した。卒業記念レースの取材のため、やまと学校に向かったのだ。ま、行かせたのは私、黒須田ですけどね。超抜パワーで3日目終了時点で予選1、2位を分け合った山本寛久と吉田弘文。このモンスター対決が8Rで実現した。どちらが本当の節イチなのか。そして、どちらが予選トップで準優に駒を進め、SG初優勝に王手をかけるのか。たしかにこの龍虎決戦は見逃せないし、私の命令で出張を入れられた畠山が気の毒ではある(最終日に平和島に戻ってきます)。

 だが、もし畠山が平和島に留まっていたとしても、もしかしたら拍子抜けしたかもしれない。結果から書けば、吉田=5着、山本=6着。まさかの逆ワンツー決着だったのだ。

 果敢に握る吉田は1マークで流れる。トップスタートを切った山本は、4カドの坪井康晴が壁になって差し場が見つからない。バックストレッチでシンガリ争いを演じるコーブン&カンキューに、ちょっとクラクラした。

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 それでも、吉田のほうにはパワーを見せつけるシーンはあった。ストレートの足色は変わらず鋭く、3番手まで追い上げているのだ。さらに2番手を走る宇野弥生にも迫り、予選トップは吉田で確定かと思わせてもいる。ただ、この風と波が持ち前の強烈な旋回力を吉田から奪った。宇野ともつれるようなかたちで後退すると、3周2マークでは激しくキャビテーション。失速して、ふたたび山本とのシンガリ争いに逆戻りさせられてしまっている。結果、5着。

 終始シンガリを走った山本の前には常に真っ白な引き波が幾重にも重なっていたので、昨日までの強烈なターン足は披露されずじまい。いいんだか悪いんだか、それすらも判断が難しかった。。というわけで、真の節イチがどちらなのかは、直接対決を経てもハッキリとはしなかった。そして、予選トップの座も二人の手からはこぼれ落ちた。最終的に予選1位通過を果たしたのは……。

 

池田が勝った

 

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 10R、松井繁が前付けで2コースに入り、3号艇の池田浩二は4カドに引いている。3コースの辻栄蔵がスタートでやや後手を踏んだが、内の2艇を1マークまでに飲み込んだわけではなかった。

 池田が放ったのは、いわゆるツケマイである。そしてこれが決まった! もちろん豪快。もちろん華麗。だが、それ以上に気持ちが伝わるカドまくり、いやツケマイだったと思う。

 実は、4日目でもっとも多かった決まり手は「まくり」である。1Rで三浦永理が、4Rで湯川浩司が、9Rで今井貴士が決めている。だが、三浦のそれはインが後手を踏んでのジカまくりだったし、湯川と今井はカドからスタート一撃で内を飲み込んでのまくりだった。ともに、1マーク前に決着をつけているのだ(今日の強い追い風の中、スリットから一気に出て行った湯川と今井のアシがかなり仕上がってるぞ)。

 しかし、池田はそうではない。先行せんとする内を力づくでねじ伏せるツケマイなのだ。3コースがヘコんでいるのだから、まくり差しの選択肢もあったはずなのに、池田は外を攻めた。予選の得点状況を完全に把握していたとは思わないが、あの気迫のツケマイを目の当たりにさせられては、「自力で予選トップをもぎ取った」と言いたくなるというものだろう。

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 実際は、12Rで中島孝平が2着以上ならば、トップの座はこちらのものだった。中島は5コースから果敢に握っていったが、4着。中島の行く手を阻んだ福田雅一の3コースツケマイも池田と同等かそれ以上に迫力のあるもので、これが18位以内に届くものだったら、あるいは中島が2着以上となっていたら、この稿のメインはこちらに移っていたかもしれないな。

 今日の池田の勝利は、パワーよりも気迫で勝ち取ったものだと思う。節イチ候補はやはり吉田(予選2位)か山本(予選4位)ではないか、これに迫るのは今井か湯川ではないか、と思う。しかし、池田はあと2回逃げるのみ、である。こうした状況での池田があっさりと2回続けて逃げ切るシーンを、我々は一昨年までに何度も見せつけられた。準優、優勝戦の池田の白いカポックは、もはや勝利が既成事実ではないかと錯覚させられるほど、圧倒的だった。またもや、そうしたシーンをVTRを見るかのように目撃することになるのか。あまりにも濃厚なメンバーとなった準優12R、何はともあれ、我々はこれを見逃してはならない。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)