BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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常滑グラチャン優勝戦 私的回顧

不惑の怪物

 

'12R優勝戦 進入順

①太田和美(奈良)10

③田村隆信(徳島)15

②篠崎元志(福岡)18

④赤岩善生(愛知)16

⑤井口佳典(三重)20

⑥丸岡正典(奈良)18'

 

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 怪物が逃げた。完璧な連覇。師弟・丸岡を含む銀河系も、地元で気合パンパンの赤岩も、若き天才・篠崎も寄せ付けなかった。唯一、肝を冷やしたとしたら、待機行動だったか。田村がするすると、インを奪いそうな気配を見せた瞬間だ。あのとき、太田が焦ってエンジンを噴かせたら、レースは別物になっていたかも知れない。

 

 

 

 

 

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 だが、太田は微動だにしなかった。「田村はインまでは獲りに来ない」と読み切り、「ここで焦ったら、コッチの負け」と腹を括った。これが、SG優出22回の貫禄だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 慌てず騒がず大切な艇番を主張して、110mから断トツのコンマ10、しかも全速。クレバーな勝負師・田村の決め差しもシャープではあったが、ターンの出口で2艇の間隔はヒュンと開いた。今節の太田は全部の足が良かったが、とりわけこのレース足が抜けていた。

 

 

 

 

 

 

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 ゴールを通過して、余裕たっぷりのVサイン。もちろん、グラチャン連覇の意味を込めた。かつてグラチャンを連覇したのは、同支部の湯川浩司だった。湯川は3連覇を逃し、飛び石で次の年のグラチャンを制している。来年の6月29日、太田が浜名湖のファイナルレースを真っ先に駆け抜ければ、後輩と優勝数で並び、さらなる金字塔を打ち立てることになる。

 

 

 

 

 

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「浪速の新怪物クン」と呼ばれて20年。不惑を超えても、その強さに翳りは見えない。むしろ、精神面・技術面でもさらに強くなった感がある。今日の待機行動、そして変則の隊形にも関わらずコンマ10・全速というスリットは、まさに“不惑”の境地の成せる業だろう。

「男は40歳を過ぎてから」(by小畑実成)

  太田和美、ジャスト40歳。SG6Vなんかじゃあ、まだまだ終わりそうにないな。

 

 

 

 

 

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ちなみに、私が応援していた銀河系トリオは、2・4・6着という煮えきれないものだった。田村は随所に見せ場を作ったが、井口は久々の「ぶち込み宣言」を実現できず、丸岡はコースの遠さに泣いた。贅沢を言うなら、ぶち込みでも銀河競りでも、もっとやんちゃに暴れるシーンが見たかったなぁ。まあ、「SG優勝戦に同期が3人も乗る」というだけで、ありえないような快挙ではあるのだが。(photos/シギー中尾、text/畠山)