BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ゆるめない選手たち

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 気負いのない表情で静かに水面を見つめていたのは池田浩美だ。選手控室の手前の場所だったが、長く一人でそうしていた。

 その顔を見て、「……ああ、勝負駆けの一日が始まる」と、あらためて思ったものだ。

 得点率6点をボーダーとすると、池田浩美の条件は1着、2着と厳しいものだ。それでも本人は、それをクリアしてみせることを自分に課しているのだろう。

 1Rが近づくと、2Rの展示のため、カポックを着始めた。

「着始めた」という表現が適切であるように、ゆっくりゆっくりと袖を通していったのだ。

 その池田は2Rで1着!

 まずは第一関門は突破したわけだ。仲間たちにエンジン吊りを手伝ってもらっているときには笑みも見えていたが、顔つき自体はそれほど変わらなかった。第二関門(10R)が待っているのだから、気持ちをゆるめられない。

 

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 今日は朝からピットは暑かった。

 風もほとんどないので、立っているだけでも、汗がにじんでくる。

 長袖Tシャツの上に半袖Tシャツを重ね着していることが多い中谷朋子も、半袖Tシャツ1枚でいるところが見かけられたくらいだ。

 それでも、その少しあとには、また重ね着になっていたのは、作業を本格化するためなのだろう。

 暑いなどとは言ってられない選手たちは本当に大変なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 中谷は予選突破の可能性がほぼなくなっているが、それでも一日の過ごし方は、昨日までと変わらない。

 中谷に限らず、そうした状況になってしまっている選手たちのほとんどがそうだ。

 たとえば1Rを勝った長嶋万記は、その後は笑顔も見せていたが、他の選手と話していながら、レースの話になっていくと、途端に表情が引き締まっていった。

 岩崎芳美も予選突破の可能性はなくなっていた中で1Rを6着に敗退……。

 このままでは終われない、ということなのか、レース後は表情を厳しくして作業をしていた。

 

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 他に気になったのは魚谷香織だろうか。レース前などに何度か顔を見かけたが、気負いのない自然体でいるように見えた。記者陣と話している際にも笑顔を爆発させていた。

 この魚谷は、昨日の段階で得点率は6点ジャストだったのだから、最低でも3着3着で、現在の得点率はキープしておきたいところだ。

 まったく気の抜けない立場だが、そういう勝負駆けにも、心のバランスを取って臨めるようになっているのだろう。

 そしても、2Rではまず3着。

 8Rは6号艇で、もう一度、勝負駆けに挑むことになる。注目だ!

 

 

 

 

 

 

 

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 すでに当確といえる状況の平山智加は、1レースが始まる前から自信に満ち溢れている表情に見えた。

 得点率とは関係なく、それだけ仕上がっているということなのだろう。

 朝の作業を終えたあと、原田佑実を見かけると、ニコリと微笑んでいた。その表情を見ただけでも、自信が伝わってくる。

 今日は2回乗りだが、4R5号艇でまず1着!

 10Rは4号艇だが、いよいよ予選1位通過も見えてきたか。

(PHOTO/池上一摩、TEXT/内池)