BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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鳴門・女子王座TOPICS 4日目

'THE勝負駆け①トップ争い

今年も「讃岐の平山川」!!'

 

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 大混戦を極めたボーダー争いに比べ、予選トップ争いは実にシンプルだった。コトを簡潔にしたのは、4Rの平山智加だ。5コースから楽々2番手に進出し、さらに3艇身前にいる渡辺千草を、2周1マークの一撃差しで追い抜いてしまった。呆れるほどのスピード&パワー。この1着で予選3位以下のすべての選手からトップの可能性を奪い、同県の大先輩・山川美由紀との一騎打ちに持ち込んだ。

 平山VS山川といえば、去年の若松女子王座とまったく同じ。で、前回の予選最終順位は

①山川…②11141

②平山…212131

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 平山は、惜しくも2位に甘んじた。が、準優で山川が2着に飛んで平山がファイナル1号艇に昇進→優勝戦で4カドの山川にまくられ涙……泣いて笑って泣いた平山、笑って泣いて笑った山川、そんなシリーズだったわけだが、とにかく予選~優勝戦までこの讃岐コンビが主役の座を他に譲ることはなかった。

 

 

 

 

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 そして今節も、4日目の4Rの時点で「予選トップは平山か山川か」という2強に絞られたのである。まず、トップを確定すべく水面に降り立ったのは、10Rの平山だ。2着なら、12Rの山川を待たずに文句なしのトップ当選。が、決めきれない。4カドからすんなり先頭争いに持ち込んだものの、1周2マークで金田幸子の頑強なツケマイを浴びて3着に沈んだ。事情は一変、12Rで1号艇の山川が逃げきれば、去年と同じ順位になってしまう。その12Rは……最後に書こう。

 

'THE勝負駆け②ボーダー18位争い

想定外の結界'

 

 速報でも書いたが、9Rを終えて予選ボーダーは6・50。恐ろしく高いレベルに結界線が張られた。金田が平山を強引にねじ伏せた10Rが終わっても、依然ボーダーは下がらない。ただ、下がるべきファクターが次の11Rに用意されていた。ボーダー6・50以上を維持するためには、圏内にいる5選手はこんな条件をクリアしなければならないのだ。昨日までの想定ボーダー6・00と比べていただきたい。

11R     6・00 →6・50

①田口節子  ④着  ③着

②香川素子  ⑤着  ③着

③谷川里江  ⑤着  ③着

④片岡恵里  ④着  ②着

⑤永井聖美  ②着  ①着

⑥堀之内紀代子 賞典除外

 

 えらい違いである。比較的穏やかな勝負駆けだったはずが、5人とも崖っぷちなのである。一方、この5人がすべて6・50以上になることは、同着でもない限りありえない。つまり、このレースでほぼ間違いなくボーダーは下降する。しかし、選手たちは「どこまで落ちるか」がわからないから、やはり上記の着順を「絶対当確ライン」として目指すことになる。

 厳しさが何倍にも増したこの11Rを、一撃まくりで仕留めたのは谷川だった。一抜け。もちろん重要なのは勝ち負けだけではない。1周2マーク、後続の5艇が団子になってブイに殺到する。その中から、機敏に握った田口が抜け出した。二抜け。そして、3番手を走っているのは……すでに準優の権利を失っている堀之内だ。永井と香川が、堀之内に猛アタックで迫る。だが、届かない。堀之内の同期の片岡は、完全に置き去りにされた。

 激闘が終わって、ボーダーは6・33になった。落選したのは、永井と片岡。谷川と田口は文句なしに突破した。そして、4着で18位まで下がった香川&17位まで繰り上がった宇野弥生も、当確を決めた。12Rには、圏外から逆転当選する可能性を秘めた選手がひとりもいないのだ。

「準優圏内にいる選手が落ちるか、生き残るか」

 12Rは、この二者択一を厳しく迫られる闘いになった。

 

そして12R

 

 11R終了後の順位とボーダー想定6・33の条件を記しておこう。

 

12R

①山川美由紀 2位…☆(1着で予選トップ)

②守屋美穂  10位…④着

③大瀧明日香 7位…⑤着

④西村美智子 5位…⑤着

⑤鎌倉 涼  圏外

⑥寺田千恵   13位…④着

 

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 ボーダー勝負駆けの4選手は、なんとも微妙な条件が残された。水位の低そうな川を渡るのだが、底を流れる水流は穏やかではない。少しでも足を滑らせたら終わり。果たして、無事に向こう岸までたどり着けるか。そんなイメージを抱いたが、結果的に4人はすべて確かな足取りで向こう岸へと渡りきった。守屋が山川をジカまくりで攻めたのが、大きかったかもしれない。内にぽっかり空いたスペースを、大瀧が、西村が、寺田が抜かりなく突き進んだ。

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 一方、逃げれば予選トップだった山川は6着大敗。この瞬間、今節のリーディングレーサーは平山になった。去年は泣いて笑って泣いた平山。その涙が男女混合の記念Vを生み、今日の予選トップも生んだ。後は、笑って笑って笑えばいい。そうなるだけの、涙はすでに流したはずだ。(photos/シギー中尾、text/畠山)