BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――素敵すぎるぞっ!

 途中参戦でピットに入るのは緊張するものである。中抜けでの現場復帰はなおさら。正直言って、今朝はピットへと向かう足が鈍ったものである。出社拒否症のように。

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 ピットに入った瞬間、「昨日見ましたよ~」と声がかかった。そう、私は昨日JLC『BOATRACE EX』に出演させていただいた。それを宿舎で見ていたというのだ、平山智加は。いや~、癒されました! 緊張も吹っ飛びました。予選トップ通過の準優1号艇、その緊張度合いはどんなもんかいな、とむしろこちらが気にしていた平山が、最高の笑顔でこちらの緊張をほぐしてくれたわけである。智加ちゃんサイコー!

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 実はそれ以外にも緊張する要素があった。内池記者から「寺田さんが怒ってるらしい」とのメールが届いていたのである。中尾カメラマンがBOATBoy「裏ピットの風景」についてクレームを伝えられた、という話で、今日は何はともあれ、寺田千恵に謝らねばと緊張していたのである。

 1R後にテラッチを見つけて、申し訳ありませんでした~っ!「いやいやいや、私はいいのよ~。でもどうせならもっと違うネタのほうがいいんじゃない、って話してたのよね~。相手もあることだからね~」。あら、クレーム、じゃなかった、んです……か? それでもこちらとしては平謝りするわけだが、テラッチは「もう~、そんなに汗かいて謝っちゃって~」と笑顔。寺田千恵さま、一生ついていきますっ! もしかしたら本当に内心穏やかではないのかもしれないが、そうして柔らかく接してくれるテラッチは素敵すぎる! 担当Gともども、今後はくれぐれも気をつけます……。

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 で、昨日はJLCの番組収録で中西裕子選手とご一緒させていただき、「魚(ウオ)に頑張ってって伝えてください!」とメッセージを託されていた。というわけで魚谷香織をつかまえて、その旨を伝えると、魚谷は超キュートな笑顔! ご結婚されても、ママとなっても、まるで色褪せないそのスマイルには、中年のオッサンをも胸ときめかす威力があった(ゆうこりんも同様でした)。思わず「僕も応援してま~す」とか調子のいいこと言っちゃったりして。

 というわけで、あまりに素敵すぎる選手の心遣いや表情に、すっかり緊張は吹っ飛んで、通常の取材モードに入れたのでありました。

 

 改めて、ピットを眺める。4000番台が過半数を占めることになった準優勝戦、女子王座初準優の選手もいたりして、ある程度はピリピリとした雰囲気に包まれているかと想像していたのだが、まったくそんなことはなかった。時間帯が早いこともあるが、どの選手もリラックスした様子を見せており、穏やかに時が流れているという印象だった。

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 意外なことに初めての女子王座予選突破という金田幸子も、むしろ普段以上に表情は柔らかく、初準優が1号艇というプレッシャーなど微塵も見えない。早くから試運転を始めており、準優組では動きが大きいほうではあったが、焦燥感などがあるわけではないようだった。

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 西村美智子は、自艇の脇にしゃがみ込んで、真剣な表情で何かをしていたので、緊張気味なのか、あるいは整備などの作業が緊迫した状況なのか、と勘繰っていたのだが、すれ違うとひまわりのような笑顔で「おはようございますっ!」。プレッシャーにとらわれている人ができる笑顔ではなかった。しゃがみ込んでしていた“作業”とは「出走表折り紙」で、レース場でも配布される出走表を丁寧に丁寧に、またできるだけ小さく折りたたんで、“選手スタイル出走表”を作り上げているのだった。選手たちは実に機能的に出走表を折りたたんで携行し、レース前などに取り出してチェックしているもので、僕がみかけたのはまさにその真っ最中だったというわけだ。

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 ベテランはベテランで風格充分。もちろん、重圧に打ち震えているような選手は一人も見かけない。谷川里江が淡々と、粛々と、飄々と準備を進めているのを眺めていると、悟りの境地に辿り着いた達人のようにも見えてくる。エース機ということで注目を集めているわけだが、その機力にこの人間力が加わるからこそ、もっとも怖い存在となりうるのだと思う。

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 で、平山智加は、もう大丈夫! 1号艇の呪縛は彼女にはない。昨年の女子王座でも、準優、優勝戦の日の朝に話をしたが、雰囲気も表情もそのときとはすべてが違う。「平山の大一番の1号艇ってなあ……」というイメージは捨て去ったほうがいい。もちろん確勝などということは言わないが、平山にとって大舞台の1号艇はもはや鬼門でもなんでもないのだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩=魚谷、平山2枚目 黒須田=西村 TEXT/黒須田)