BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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丸亀MB記念TOPICS 2日目

王者の号令

 

     今日 節間/総人数  18位以内

★関東…2勝 8勝/11人   6人

★東海…2勝 4勝/8人    3人

★近畿…4勝 5勝/9人    3人

★四国…1勝 3勝/6人    1人

★中国…1勝 1勝/8人    1人

★九州…2勝 3勝/10人   4人

 

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 昨日が「関東デー」なら、今日は「近畿デー」で決まり! 2Rの萩原秀人の逃げきりから、8Rの中島孝平の絶品まくり差しまで、7レースの間に4勝の固め撃ちを決めた。とりわけ仰天したのが、王者・松井繁の「スロー5コースまくり」だ。6号艇の松井は前付けに出たが、5コースがやっと。窮屈そうなスロー水域で、さほどの助走距離もない起こしから、スリット一撃で内の4艇を呑み込んでしまった。

 

 

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 若松オーシャンカップでも5・6号艇でピンピンという離れ業をやらかしたものだが、最近の王者は「外枠でこそアタマで買え」というくらい変幻自在に立ち回り、結果を出している。

「賞金王12位入りが確定してお腹いっぱい、年末までボチボチ行くんじゃないか」

 などと思い込み、6号艇のココをまったく軽視していた私だったが、やはり王者は王者。あくまでも貪欲にSG連覇(=賞金王トライアル1号艇)を狙っているようだな。43歳の男盛りまくり、恐れ入りました!!

 関東→近畿ときて、明日はどの「地区の日」になるのか。番組表を見る限り、「中国デー」になりそうな気が……??

 

 

 

18位のチカラ

 

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 予選③③④着……地味な中間着だというのに、連日スタンドを沸騰させているレーサーがいる。登録番号4444、新鋭リーガーのエース桐生順平。バレバレではあるが、やはりこの埼京ボーイ、只者ではない。

 昨日のドリーム戦は、2周1マークで王者・松井繁に強烈な全速マイを浴びせ、一撃で引き波に沈めた。4番手から3着ゲット。全国のファンの視線が集中する大舞台、攻め潰した相手、それを成し遂げたスピード……3着という結果を、はるかに上回るディープインパクトモンキーターンだった。

 

 

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 そして、今日もそれは起こる。3R、寺田祥が5コースから豪快な絞りまくりを決めた。このバイオレンスな強攻に、ただひとり2コースから飛びついたのが桐生だった。インでも2コースでも何コースでも、まくり艇が来たら張り飛ばそうとする。それが桐生順平だ。新鋭リーグでも、まくり人VS桐生の大競りを何度見たことか。

 今日も桐生は、迷うことなく飛びついた。真横にブロックに行った。2コースなのに。普通に差せば、2着の展開もありえるのに。その迎撃は、舳先がわずかに接触しただけのファウルチップに終わった。当然、彼方にぶん流れた。しかも接触があったから、桐生の艇は左右に大きく揺れ動いた。流れて振り込み、万事休す。惨敗確定。

 だが、ここから脅威の追い上げを見せるのも桐生順平なのだ。態勢を立て直して、バックは大外を直進。2マークはそのまま外から外へぶん回して、あっという間に4番手に取り付く。1艇身先には、吉田俊彦。松井が吉田に替わっただけで、昨日とほとんど同じポジションだ。

 2周1マーク、そのはるか手前で桐生が握った。握った瞬間、スタンドがどっと沸く。ターンマークを中心にきれいな半円を描いて、2人の体が入れ替わった。昨日のVTRを視ているようだった。バック5番手から、3着ゲット。

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 3号艇だった後半9R、今度はスタ展で観衆をざわめかせる。怒涛の前付けに出た6号艇の川北浩貴を、張り飛ばすほどの気合でブロックした。これも新鋭リーグなどで、何度か見かけた光景だ。「誰も止めないなら、俺が行く!」そんな勢いで前付け艇に抵抗する。とにかく、他人に好き勝手にされるのが、我慢ならない性格なのか??

 9R本番、ここは大人の対応で川北を入れ、桐生は4カドに引いた。が、道中で揉まれに揉まれて5番手に甘んじる。このまま5着だな、と思われた最終ターンマーク、桐生は2艇身先行する池永太にダンプを仕掛け、あっという間に4着をもぎ取ってしまった。

 逆転ツケマイ2発、まくりブロック、前付けブロック、ダンプ……昨日と今日の3レースで、桐生は桐生らしさを120%発揮した。着順は③③④着(予選18位)だが、あのツケマイやダンプがなければ④⑤⑤着で41位でも不思議ではなかった。41位のはずが18位。この差が、桐生という男の能力そのものと言っていいだろう。

 

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ボートボーイで新鋭バンを担当している私は、明日も桐生を見つめ、声援をおくるつもりだ。だが、私はすでに知っている。やがて、この大好きな若者が、私の“舟券の敵”(=人気にしすぎて買えないスーパースター)になることを。いや、やがてではないな。ごくごく近々に。(photos/シギー中尾、text/畠山)