BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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丸亀MB記念TOPICS 4日目

デジタルモンスター

 

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 台風15号が、ひた近づいている。「嵐のナイターSG」といえば……そう、連日の土砂降りで九州各地が水浸しになった09年の若松オーシャンカップだ。優勝したのは、菊地孝平。嵐を呼び寄せるのか、嵐に好かれているのか、今年もまた台風とともに菊地の季節がやってきた。

 

 

 

 

 

 

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 昨日まで節間8・00、トップ平石和男と同率の2位だった菊地の勝負駆けは、1R6号艇&8R3号艇。楽な枠番ではない。まずは1R、「6コースでは遠い」と踏んだ菊地は、するすると動いてスローの4コースを奪った。スリットほぼ同体。そこからわずかに覗く。前検でも指摘したが、今節の菊地はいつになくこのゾーンの足がいい。覗くから、内の動きを目で追える。慌てず騒がず冷静な二番差しで、ガッチリ2着を取りきった。

 

 

 

 

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 そうこうしているうちに、5Rで前日4位の太田和美が大敗し、6Rでトップの平石が4着に敗れ、7Rで3位の毒島誠が3着に甘んじた。8R、菊地に自力トップの権利が発生した。勝てば文句なし、2着なら11R毒島の結果待ち。風がコロコロ変わる丸亀水面に、奥義『デジタルスリッター』が発動した。コンマ09。バラバラにバラけた隊形を、3コースから唯一のゼロ台で切り裂いた。この瞬間、残りの4レースを待たずして、今節のマイヨジョンヌが確定した。

 明日の夜は、さらに台風の影響を受ける可能性がある。そうなれば、風を読む闘いになる。艇界でもっとも風をよく読めるレーサーは、誰か。スタート展示と本番が逆風になっても、もっとも精密に補正できるレーサーは誰か。菊地孝平が嵐とともにやってくるのは、偶然ではない。

 

四国、全滅

 

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 地元の香川支部はじめ、四国を代表する6レーサーがすべて散った。昨日まで圏内にいた田村隆信も、逆転突破の可能性があった烏野賢太も、敗れ去った。とりわけ、凄絶に散ったのが、地元ファンの期待を一身に背負う重成一人だ。9R、(結果的に)5着条件だった重成は、内の赤坂俊輔が壁になって仕掛けが遅れる。バック6番手。そこから鬼気迫る追い上げで、なんとか4、5着争いに持ち込んだ。

「ここをしっかり回れば安全圏か」と思えた2周1マーク、重成のターンはちょうど前3艇の引き波が重なった部分に乗り上げ、大きくバウンドしながら失速した。記者席騒然。おそらく地元ファンで埋まったスタンドは、その何十倍もの悲鳴が轟いただろう。再び、唯一取ってはならない順位に立たされた重成は、そこから1周半、前を行く赤坂を追って追って追って追って、最終ターンマークではダンプ気味に突進して、それでもハナ差だけ届かなかった。5着2点、6着1点。勝負駆けのボーダーは常に「1点」の差で明暗を分かつものだが、今日はこのレースの1点がもっとも残酷な分水嶺となった。

 ちなみに、このレースで重成が1着だったら、予選3位で明日は準優の1号艇だった。いつもいつもいつも書いているが、勝負駆けの明暗は残酷すぎる。

 

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※厳しすぎる勝負駆けをクリアできなかった平山智加ちゃんだが、足はかなりアップして中堅~中堅上位にはなったと思う。あれくらい戦えるレベルになれば、スタートと展開次第でいつでも穴を提供できるだろう。今日の山川美由紀の「コンマ02、気合の大逃げ」しかり、終わっても終わらないのが地元戦士。侮ってはならない。

 

 

 

 

日替わり定食の行方

 

 最後に、今節の“日課”である地区別勝利数をば。

 

'    今日 節間/総人数 18位以内

★関東…2勝 12勝/11人   6人

★東海…2勝  8勝/8人   3人

★近畿…2勝  9勝/9人   3人

★四国…1勝  6勝/6人   0人

★中国…1勝  6勝/8人   2人

★九州…4勝 7勝/10人   4人'

 

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 今日は、文句なしの「九州デー」だった。昨日まで23位だった岡崎恭裕が枠番キープの1・2着をキッチリもぎ取り14人ゴボー抜きで9位に進出。MB記念3連覇を狙う大将・瓜生正義もまくりに来た中島孝平を果敢にブロックしつつ、代わって自分がジカまくりというド派手な勝利を挙げた。この1着で予選2位ながらも準優1号艇ゲット。これはでかい。

 

 

 

 

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関東→近畿→中国という日替わり流れから、しっかりとバトンを受けた九州勢。後はアンカーとして最後までぶっ飛ばすのか?? しかし、予選トップはまだ脚光を浴びていない地区の……さてさて、明日は、どうなるっ??(photos/シギー中尾、text/畠山)