BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――前検とペラ

 朝はあんなに晴れていたのに、徐々に雲行きが怪しくなっていく平和島。あぁ、なんとか逸れてくれないものか、台風……。

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 といった感じで空を見上げる報道陣の姿が見られたものだが(私もその一人)、選手はそんなことを言っている場合ではない。台風が来ようが来るまいが、作業に慌ただしい前検日である。水面一番乗りは田中信一郎と鎌田義。SG前検日は、この二人が真っ先にエンジン音を響かせるのがひとつのルーティン(西島義則の場合もある)。何周か水面を駆けたあと、鎌田がさっそくペラ調整に移行する姿があった。鎌田はもらったままの状態で試運転を行ない、その感触をもとにペラを叩いたのだろう。

 新プロペラ制度導入以降(ナカシマプロペラの撤退が決まりましたが)、ペラ叩きにはいろいろなパターンが見られる。まずはモーターをもらったまま装着し、すぐに水面に出て、試運転などしてしまうタイプ。一方、モーターを装着するとペラを外し、さっそく自分の形に叩き直してから水面に出るタイプ。

「ペラをまだ見ていないんで……」(池田浩二)

「ペラはまだ見てません」(瓜生正義)

「何もわからんと行きました」(守田俊介)

「回転が合ってない」(松井繁)

「ペラをちらっと見たら自分の形と違った」(吉川元浩)

「ペラの形が自分とはまったく違った」(毒島誠)

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 これはドリーム記者会見で出たペラに関するコメント。どうやら、水面に出る前にペラを叩いた選手はいなかったようだが、池田から松井まではペラを見ることもなく走っており、吉川はちょいとだけ確認、毒島はガッツリ確認した、ということが見えてくる。ドリーム組は前検1班に入るため、早々に着水する必要もあるのだろうが、池田から松井まではとにかく走ってみて感触を確かめようとしているわけであり、吉川と毒島はあらかじめペラの状態をチェックしてから走った、というわけである。ちなみに池田は「良くなかったですね。ペラを見て、叩けるようなら叩きます」とも。つまり、自分の形と違っていたなら、叩くということだ。さらに「もし僕の形と同じだったら、アウトです(笑)」。今日の悪い感触がペラの形が自分のものと違ったせいであれば改善の余地があるが、同じだったら見通しは暗い、ということだろう。池田がここまで会見で言うのって珍しいんですけどね。「もし平和島SG3連覇したら、(東京)都民になります」とジョークも出たし。東京都在住の人間として、大歓迎しまーす。

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 今日、着水する前にペラを叩いていた選手もけっこういて、確認できたのは烏野賢太、徳増秀樹、峰竜太など。烏野、徳増はそれぞれ前検2班、4班。特に2班組は早々に着水している選手も多かったが、烏野はかなり遅めの着水となっている。徳増もほとんどギリギリ。かなりじっくりとペラを叩いたようだった。また、峰は8班だったので、かなりジックリとペラを叩いていた。これは峰のひとつのルーティンではある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 で、すべての前検航走が終わってからのペラ調整所が、実になんとも満員御礼なのであった。しかも、今日はかなりの大音響がとどろいていた。見ると、思い切り木槌を振り下ろしている選手がけっこういる。田村隆信、新田雄史といったあたりがざっと目についた。井口佳典もそんな一人だったかな。これが10月に入って最初の開催となる平和島。9月開催の際とはかなり調整が変わってきているようなのだ。つまり「気温が下がっていて回転が上がりすぎ」という選手が多かったわけである(ちなみに、温水パイプは今節は装着されていないようです)。誰がいち早く調整をビタッと合わすことができるのか。このあたりがダービー戦線のひとつのポイントとなるのは間違いない。普通に考えれば、初日12R1回乗りのドリーム組は有利そうに見えるんだけど。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)