BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――勝負!

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 1R、吉田俊彦は5着。999勝でダービーに乗り込んだトシだが、どうにも1着が出ない。今日の勝負駆けは、1着2着という厳しいものだったが、この5着で予選突破はかなり厳しい状況となってしまった。さすがにレース後の表情は暗い。

 そのトシの周りに、兵庫勢が集結した。芝田浩治、馬袋義則、魚谷智之、白石健が、会議を始めたのだ。このあとの調整の方向性について、トシにアドバイスを送っていたのだろうか。もっとも先輩の芝田がかなり親身になった顔つきで語りかけると、トシは何度かうなずいていた。

 

 

 

 

 

 

 

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 と、そこで気づく。兵庫、いっぱいいますね。この5人のほかに、1Rを快勝した吉川元浩、あと鎌田義がいるのだ。尼崎軍団は、実に7名もダービーに送り込んでいたのである。福岡支部の層の厚さはもはや言うまでもないわけで、やはり今節は7名が参戦しているわけだが、兵庫からも同じ人数が乗りこんでいる。不明にもようやく気付いたという次第であるが、兵庫支部の層の厚さも相当なものである。

 層が厚い支部といえば、静岡支部も思い出されるわけだが、今節はなんと今坂勝広と徳増秀樹の75期コンビのみの参戦である。しかも、今坂も徳増も苦戦気味。浜名湖軍団の勢いも一休みといったところか。

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 予選突破もほぼ絶望となってしまった二人だが、もちろんピットでは勝負を投げることなく作業を続けている。昨日は徳増が部品交換をしてレースに臨んでいたし、今坂も今日、作業に没頭している姿を見せている。今坂は2R前くらいから整備室にこもっていたので、大きな整備もあるのかと思ったら、ゲージ擦りをしていた。4R出走なんだから、大きな整備をするわけはないわな。ゲージ擦りは目の前の戦いに向けてというより、先を見据えての作業という意味合いも大きい。残り3日の戦いに全力を尽くしつつ、今節のリベンジをいつか果たすべく、蓄積をしているわけである。こうした姿勢に感化される者が多いからこそ、浜名湖軍団はみな強くなっていく。来年のダービーは大挙参戦となっているかもしれないぞ。

 

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 さて、今日は勝負駆け。もっともアツいのは、峰竜太だと思っている。F休みでチャレンジカップには出られない身、賞金ランク9位でまだ賞金王当確を決めていない。つまり、今節は峰にとってのチャレンジカップでもある。胃の痛い1カ月を過ごさずにすませるには3~400万円は上積みしたいところで、つまり予選突破は絶対に果たしたいノルマなのだ。2着条件、5号艇で迎えた予選最終日。峰はヒリヒリした勝負に臨むわけである。

 朝、挨拶したらすぐに目をそらしたので、思わず追いかけて、激励の言葉をかける。質問の言葉は浮かんでくるのだが、なぜか口をつくのは「頑張れ」ばかり。思いのほか峰は柔らかい表情で笑い、「頑張りますよ~。気合注入、ありがとうございます!」。うーん、こりゃ取材じゃなくて単なる応援ですな。ともあれ、峰は自分の立場を痛いほどわかっている。9Rは気迫のレースを見せてくれるだろう。

 

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 一方、「峰竜太には絶対に負けません」と開会式で宣言した三井所尊春は、ボーダー6・00と想定すると準優当確である。やはり峰よりは余裕ある表情で、なにしろ12R1回乗りだから、ゆったりとした時間を過ごしていた。

 そんな様子から白羽の矢が立ったのか、三井所は「ファン観戦ツアー」の指南役を任じられた。ピットの隅に置かれたボートで、モンキーターンや直線での伏せ込み、ハンドルの切り方を実演したのだ。いや~、ごくろうさまです! ただ、ファンとのふれあいはきっとパワーになったんじゃないかな。三井所とふれあったファンもきっと12R、5番の舟券を買うだろうし。同時に、こうした役目を快く引き受けられるほど、機力にも余裕があるということである。

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 6R1号艇で勝負駆けを迎えた池永太は、“本紙予想”でも書いたとおり、驚異の1コース1着率を誇る。これは、1コース連勝記録で話題となった篠崎仁志をも上回るもので、もちろん今節ナンバーワンである。

「マジっすか? たまたまじゃないかな~」

 池永自身も把握していなかったこのデータ。その要因は「1コースはスタート遅れられないっすからね~」と、その男気にありそうである。

「SGを2節走ってみて、まだまだ課題ばかりですよ。でも、今日は勝負です。全速で10、行きますよ~」

 言うまでもないが、データがすべてではない。池永もインで15%は敗れているのだ。しかし、今日も男気をもってスタートを決める腹積もりの池永だから、信頼していいんじゃないかな~。ということで、個人的に今日の勝負レースです!

 

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 さて、3連勝で一躍注目の的となった山口達也。今日は12R1号艇で、予選最終レースの1号艇ということは、主役の一角と認められたということである。

 というわけで、今朝は大変そうだったな~。地上波中継のインタビューやら、JLCのインタビューやらで、次々とカメラ、マイクが向けられていた。こっちが終わったら、別のカメラに捕まり、それが終わればまた次……という感じ。おそらくこんな体験は初めてのはずで、SGでの活躍は何を呼ぶのかということを実感しているだろう。このまま突っ走れば、もっと大きなモノが待ってますよ! 浮き足立たずに頑張れ!(PHOTO/中尾茂幸=今坂 池上一摩 黒須田=三井所 TEXT/黒須田)