BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――バッド・コンディション

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 向かい風が強く、雨脚も時に強くなる。ピットの温度計は15℃を示すが、屋根のある場所にまで吹き込む雨のせいもあって、体感はさらに寒い。準優デーの5日目は、コンディションとしてはかなり悪い部類となっている。

 係留所にボートはほとんど見当たらない。係留したままだと確実に操縦席が雨で濡れるからだろう。それもあってか、ピットに選手の姿自体が少ない。装着場にもちらほらと選手があらわれる程度で、それもほとんどが序盤レースの選手だ。

 そんななかでも、1R発売中、烏野賢太は試運転をしていたのだから頭が下がる。12R登場だから、いちばんゆっくりしていてもいい選手の一人なのに、雨に濡れながら水面を駆けていたのだ。試運転を終えるとボートごとピットにあげて、ペラ調整に向かう。しかも、冷たい風が吹き込む屋外の調整所。そのとき調整所には烏野以外に人影はなく、なおさら烏野の精力的な動きが目立つのだった。

 

 

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 というわけで、準優組を目にするのはエンジン吊りが圧倒的に多い、というのが序盤戦の時間帯。SG初準優にして1号艇という、坂口周や三井所尊春はどんな様子か、と思って目で追うと、ともに表情はなかなかカタい。それも当然だよなあ、と思ったりもするのだが、実際のところは、それが緊張感からくるものなのか、あるいは寒いからそうなるのかは、判然としなかったりする。うむ、今日は選手たちには大変な一日だ。ちなみに、三井所のボートには少なくとも2R後まではモーターが装着されていなかった。整備をしている様子もなく、始動はもう少し先になりそうな様子。準優組では(というより全選手の中で)唯一の裸ボートなのであった。

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 整備室では準優組の姿がいくつかあった。まず、石川真二と今村暢孝。1R発売中、じっくりとモーターを点検しており、1R発売中にモーターを装着している(ということは、三井所の次に装着が遅かったのがこの二人)。部品交換などを行なったあとなのかどうか、それは確認できなかったが(直前情報に注目してください)、二人とも急いだ様子がなかったのは確かである。

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 整備室の隅にあるテーブルには中島孝平と山口剛。ゲージ擦りだ。前検日や初日の早い段階でゲージ擦りをしている選手はエンジン出ているという法則。新プロペラ制度導入以降の定番であるが、では準優日のゲージ擦りは? 一般戦組ならば話は別だが、準優組もやはり「エンジンに不安なし」と考えていいだろう。準優ではやや足りないという感触だったとするなら、やはり調整作業に取り掛かるはず。現状でも充分準優で戦えると判断しているから、ゲージ擦りで過ごしていると考えるのが常識的な線であろう。

 中島は賞金ランク11位。優出すれば賞金王出場はほぼ確実という線まで押し上げることができる。ちょっとした勝負駆けとなる中島の動きにはちょっと注目しておきたい。

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 序盤の主だった動きを記すと、そんな程度か。多くの選手は本格的指導はまだ先だと考えているのだろう。ペラ室には、瓜生正義、池永太、平田忠則ら福岡勢の姿も目に入るが、今のところは余裕の表情である。

 あと、松井繁が屋外調整所でペラを叩いている姿があったことも付け加えておく。烏野がペラ調整を始める少し前まで、この場所の主のようになっていたのだ。その身なりが、すぐにでも試運転に向かってもおかしくない戦闘モードだったのが、ちょっと気になったが……。このあと、雨中を駆ける王者の姿が見られるかも?(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)