BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島ダービー 準優ダイジェスト

東の意地、王者の誇り

 

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'10R

①三井所尊春(佐賀)09

②中島孝平(福井) 10

③中澤和志(宮城) 11

④吉田拡郎(岡山) 13

⑤松井 繁(大阪) 11

⑥丸岡正典(奈良) 24'

 

 

 

 

 

 

準優に唯一生き残った関東地区レーサー・中澤和志が、豪快なまくり差しを決めた。中島が差しに構えたところ、強ツケマイ気味に艇を合わせて引き波にハメた。ここは平和島。SGを勝ち取った記念すべき水面で、“東”の意地と底力を見せつけた。もちろん、戦法の中でも難しいとされる「3コースまくり差し」なのだから、パワー的な信頼度も高い。

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 ただ、インの三井所がターンマークを完全に漏らしたことも、この勝利の一助になったはずだ。三井所がブイすれすれを回っていれば、あれほど鮮やかな航跡を描けたか。前検からAランクとして高く評価してきた和志だが、明日もまた正味のパワーがどれほどか、しっかりと見定めたい。

 

 

 

 

 

 

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 そして、王者・松井ときたら、もう。あれだけのあやふやなパワーで、ついにファイナルまで到達してしまった。ピストンリング交換のギャンブルを打ち、スリット同体から新鋭のように全速でぶん回し、三井所がダダ流れしていると見るや、瞬時に舳先をその内側に捩じ込んだ。「2着勝負」という準優の性質を知り尽くした航跡だ。これが優勝戦なら、まったく違う戦法に出たことだろう。辛い。辛すぎる。

 

 

 

 

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 バック中間。松井の舳先は、快速・三井所の内フトコロに食らいついて離れなかった。リング交換の効果かも知れない。三井所の伸びが落ちていたのかも知れない。どちらにせよ、ふたりの足色は昨日までとは真逆に見えた。

 2マーク、松井は再び全速でぶん回す。それで、三井所ら後続が完全に千切れた。王者は、やはり王者だった。今節のキャッチコピーは『新王者、生まれる。』。

「誰に断りを入れて、そんなフレーズにしたんじゃいっ!!」

 2マークの全速マイは、そう叫んでいるように見えた。

 

栄光への脱出

 

 

 

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'11R

①坂口 周(三重)02

②吉川元浩(兵庫)02

③田村隆信(徳島)02

④山口達也(岡山)06

⑤山口 剛(広島)05

⑥平田忠則(福岡)06'

 

 

 

 

 

 

 

 

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 これまた3コースまくり差し。阿波のブルファイター田村隆信が、狭い狭い1・2コースの間をブッ差した。上記のような、凄まじい電撃スリット。特にスロー3艇は、キワのキワまで踏み込んだが、それはそれできれいな横一線だ。そして、坂口のインモンキーはしっかりとターンマークをなぞった。吉川の差しハンドルも、的確だった。その間隙を突くタイミングは、コンマ数秒しかなかったはずだ。田村は、そのわずかな瞬間を狙って、スピードを緩めることなく決め撃ちで舳先を突っ込んだ。脱出ものの冒険映画で、扉が閉じる寸前に全速で身体を滑り込ませてギリギリセーフ、みたいな。

 

 

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 もちろん、かなり無謀なターンだからして、ボートは坂口に接触する。接触しつつ、それが“ダンプ”の動体原理(作用反作用)と同じで横には流れず、直進する。そこまで計算していたかどうかはともかく、田村は坂口を完全に捉えきった。一言で言うなら、勇気と度胸のあるターンだった。そして、ここ一番でこんなターンをやらかす男、それが田村隆信なのだ。

 

 

 

 

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 バック中間、完全に後続が千切れて3-1態勢が固まった。かに見えた。が、ここからが準優だ。2着を目指し、W山口や平田らが2マークに殺到する。それを捌く坂口の判断が、わずかに遅れた(ブロックし続けた田村が激辛だったとも言える)。ターンマークを外している間に、一気に達也に抜かれた。ここで、坂口に「しまった」という焦りが生じたかもしれない。2周バック、再び達也に追いついた坂口は内から外へ、ぐんぐん艇を達也に寄せて、敵の動きを封じ込もうとした。勢いよく舳先がぶつかり、自身が横転した。選手責任失格、賞典除外……。

1着・田村、2着・達也。

 

 

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 これは自慢だが、前検から田村のパワーを瓜生とともにSランクに指名していた。今日のあのギリギリの大技も、1マーク手前までの行き足~伸びがなければ、不発に終わっていただろう。文句なしの上位であり、2コースでも十二分に能力を発揮できる足だと思う。

 予選を賑わせ続けた達也の足も、もちろん悪いはずがない。同体から自力で攻めきれるほどの伸びはないが、どの部分の足も強めで引き波を苦にしない。混戦になればなるほど強い、と思う。

 

俊キチ、散る。

 

'12R

①瓜生正義(東京)15

②守田俊介(京都)24

③石川真二(福岡)15

④池永 太(福岡)F+02

⑤今村暢孝(福岡)12

⑥烏野賢太(徳島)13'

 

 一昨日までの怪物パワーに戻った瓜生の逆転勝利は圧巻だったけど、それらについてあれこれ詳しくレポートする気力が……ないです。で、昨日みたいに1マーク付近の手記をだらだら書いてみたんですが、やはりやめておきます。今日のところは、これにて。すいませんッッ><(photos/シギー中尾、text/畠山)

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