BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

怖い!

f:id:boatrace-g-report:20171212121901j:plain

 正確に数えたわけではないし、ということはあくまで印象としては、ではあるのだが、今日もっとも多くの報道陣から声をかけられていたのは、篠崎仁志だったのではないか。

 気持ちはわかる。僕も声かけよっかなあと考えていたわけだし。レースが始まってからでは聞きにくいこともある。たとえば、直前の宮島周年の話は、振るなら前検日という感覚になるのも不思議なことではない。

 もちろん、みなさんがどんな話をしていたのかは知る由もないわけだが、会話を交わすのであれば、触れないほうが不自然だ。福岡周年の優勝。宮島周年の優勝戦F。もし、宮島で実力通りに逃げ切っていれば、兄弟賞金王参戦もかなり近づいていたわけだから、この秋の仁志にはまさしく「いろんなことがありすぎた」季節だった。

 で、仁志の表情はといえば、レース場入りの際はなんとなくバツの悪さも感じられるものだったが、ピットではいつも通り、ハツラツと動いており、落胆を引きずっているようには感じられない。同期の片岡雅裕がいるのも心強いだろうか。SGのピットでの再会は、嬉しいことのはずだ。また、これだけ多くの人に話しかけられ、もしあの話をさんざん振られたとするなら、かえって吹っ切れるのではないかな、とも思った。

 そう、兄弟賞金王の目がなくなったわけではない。このチャレンジカップがあるのだ。現在賞金ランク14位。ボーダーラインは目の前だ。切り替えて戦いに臨めるなら、このところの勢いを考えれば、かなり怖い存在だと思うのだがどうか。

 

f:id:boatrace-g-report:20171212121918j:plain

 怖いといえば、41号機を引き当てた石川真二も無視するわけにはいかない。ピットでも非常に笑顔が目立っており、心強い相棒を引き当てた気分の良さがビンビンに伝わってくる。

 津に入る前、登録更新があったそうだ。同期が東京の競走会に集まり、選手登録を更新するものだ。そこで、近藤稔也に会い、「絶対に41号機を引け」と言われたとか。狙って引けるもんじゃないし、と弱気な石川に、近藤は「引けると思って引いたら引ける!」と激励。ほんまかいな~と今日、ガラポン回したら、ほんとに引いたぞ、41号機! 近藤がなぜそこまで41号機にこだわったかといえば、3節前に引いてるんです、この41号機を。そして優出。優勝こそ逃したが、予選2位の大活躍。このモーターのパワーをとっぷりと味わっているのだ。

 同期が活躍し、オススメしまくったモーターを手にした石川。完全に流れが来ているでしょう、これは! 初日は1号艇で必勝。外枠ならコース動いて攪乱。石川の戦いからは目が離せなくなりそうだぞ。

 

f:id:boatrace-g-report:20171212121931j:plain

 ドリーム組では、松井繁の力強いコメントがおおいに気になった。「久しぶりにスタートの気配はいいですね」から始まった会見は、おおむねポジティブに流れた。「津も大好きだし、チャンスはあると思う。チャンスが来たときには、存分に狙っていきたい」とも語っており、賞金王うんぬんと関係なく、チャレンジカップを獲りに行く局面もおおいにありそうだ。モーター抽選記事にもあったとおり、近況の松井はモーター抽選運が決して良かったとはいえない。今節、久々に数字があるモーターを引き、手応えも悪くなかった。すでに流れは来ているようにも思えるし、すぐに調整作業に没頭している姿からは、チャンスをしっかり引き寄せようという意思もうかがえた。井口佳典、新田雄史の地元勢が燃えている今節、一方で松井は津で地元並みに(それ以上?)強いぞ~。ま、本来は王者は常に主役視するべきなんだろうけど、ドリーム組でもっとも怖い存在が松井だと、ここでは言っておきたい。

f:id:boatrace-g-report:20171212121946j:plain

 あ、もちろん地元の総大将・井口佳典も6号艇とはいえ侮れないぞ。もともと強気な人ではあるが、「津ビッグ年間コンプリート」を問いかけられて、「意識します」と言い切ったのだ。今年は津で行なわれたGⅠ=東海地区選、周年記念をともに制し、SGまで獲ればまさに総なめとなるわけだが、こういう質問に対しての答えは、多くの場合、「特に意識はしていませんが……」であろう。だが、井口は「意識はします」。これがこの男の魅力である。「不安は何もない」とも断言した井口。優勝戦に井口の名前がない、なんて事態はちょっと想像しにくくなってきたぞ……。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)