BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――チャレンジが始まった!

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 賞金王への最後の勝負駆けだから、極端にピリピリした空気か、といえばそういうわけでもない。ただし、湯川浩司がやけに引き締まった表情で、こちらに挨拶してきた口調が実に力強かったりもしていて、やっぱり最大の勝負駆けなんだな、とは実感させられる。

その湯川は1R後くらいにギアケース調整を始めていて、整備室を覗き込むと湯川以外にもギアケースや本体と向き合っている選手が散見された。烏野賢太は本体整備に取り掛かっており、これはどうやら1R展示前から続いていたようだ。烏野は8R1回乗り、このあとはペラ調整なども行なうのだろうが、時間があるうちに本体に手をつけようということだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 初日のよくある風景としては、ドリーム組がモーター調整をしている、というものがある。12R1回乗りと時間があるので、ペラ以外で気になる点をチェックする余裕もあるわけだ。1R前には池田浩二が本体だけを外して整備室に持ち込んでいる。ボートが置かれていた場所は整備室から数10m離れた遠い場所だったのだが、池田は重そうに本体を抱えながら、小走りで整備室に駆け込んでいた。で、本体を整備テーブルにセットすると、奥からボートを移動して整備室の前へ。えーっと、先にボートを移動しておけば、もっと楽ちんに本体を整備室に持って行けたと思うんですけど(笑)。まあ、整備室付近にはボートがひしめいていたので(津のピットはけっこう狭いです)、空きスペースを確認してから移動したということなんでしょう。

 

 

 

 

 

 

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 他のドリーム組では、瓜生正義がギアケース調整、新田雄史はリードバルブをモーターに装着している姿があった。松井繁はペラ調整に没頭しており、1R後には服部幸男と真剣な表情で話し合ったりもしていた。毒島誠もペラ調整。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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唯一、井口佳典が1R後には早くもボートを水面に下ろしている。試運転をしたあとには、すぐに陸に戻ってきて、チルトのあたりを調整し始めている。跳ねたり戻したりして、最良のセッティングを探し出そうということだろう。

 初日というのは、慌ただしいのが普通ではあるが、今日はいつものSGよりさらに忙しい空気に包まれているように感じた。緊張感よりも、いち早く仕上げて勝負!という思いのほうが強かったというわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 レースは1Rから激しい! 3周2マークでの3着逆転も複数起こっているし、着順をひとつ上げることが賞金王のシートに近づいていくということも実感される。2Rでは、菊地孝平が2マークで中島孝平を逆転。孝平対決を制している。ピットに戻ってきた菊地の目は嬉しそうに笑っており、視線を合わせた服部幸男もにんまりと笑い返していた。開会式では服部ばりの「ベストを尽くします」宣言をした菊地。かわいい後輩の逆転勝ちは、服部のテンションも上げたようだ。

 

 

 

 

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 その服部は、1Rでは逆に順位を下げてしまっている。接触があっての不運なものだったが、自身も失速気味だったからだろうか、ピットに戻ってきた服部はただただ苦笑いなのだった。悔しい敗戦を喫したあとの服部は、歩様がゆっくりになり、表情をカタくしたまま、己への怒りを噛み締めているような雰囲気になる。それだけに、今日の苦笑いはわりと珍しい表情だったりする。これもまたチャレンジカップの異変なのか?

 

 

 

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そして、最高の笑顔を見せたのは、1Rを逃げ切った山崎智也だ。「今節は1Rから始まって、最終日は12Rに乗りたい」と語った開会式。2年連続賞金王出場のためには、最終日12Rに乗らなければチャンス自体がゼロになるわけだから、この1着は大きい。智也の顔もほころぶというものだ。今節、オープニングとエンディングを1着で占める権利があるのは、智也だけだぞ。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)