BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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津チャレカTOPICS 4日目

'THE BEST OF勝負駆け

6R/勝負師、散る。'

 

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 三井所のチルト3度や瓜生の予選落ち(右肩打撲で帰郷)など様々な話題があったが、今日一番の勝負駆けはやはり6Rの田村隆信だろう。3号艇の田村の準優条件は、メイチ①着(ボーダー想定6・00)。しかも、ここでの①着は予選突破のみならず、賞金王TOP12への大きなアドバンテージになる。逆に②着以下に沈むと予選落ち=賞金王への黄信号が点ってしまうのだ。

 勝てば一石二鳥、負ければ泣きっ面に蜂。

 こんな究極の勝負駆けで、阿波の闘魂ファイターが何もやらないわけがない。田村は待機行動で勝負に出た。小回り防止ブイを回った直後に加速し、2マークにひた走る。それに気づいた1号艇の吉田弘文も、すぐにレバーを握ったが追いつかない。鬼ごっこのような形で、田村が先にインを奪いきった。さすがだ。勝ち負けはともかく、これが男の勝負駆けだ。

 

 

 

 

 

 

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 もちろん、インを奪われた弘文も黙ってはいない。田村が舳先を向けた瞬間に減速し、たっぷりと助走距離をとった。その視線が、ずっと田村に向いているように見えたのは、おそらく気のせいではないだろう。

「まくるつもりだ!」

 私は叫んだ。それくらい、弘文の上体からメラメラと怒りのオーラのようなものが噴きでていた。誰かが誰かを出し抜けば、出し抜かれた側と因縁めいたものが生まれる。そして、それがレースにコクを生む。人の心が、水面に色濃く反映される。予定調和の枠なり3対3ばかりが目立つ最近のSGは、この“コク”の部分が希薄になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

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 私の直感は的中した。前付けした田村は100mを切る起こしから、コンマ08まで踏み込んだ。が、弘文はさらにその先にいた。コンマ04。すでに予選突破は絶望的でも、男の意地で行った、と思う。そこから、弘文は迷うことなく握った。十分に差しもありえる隊形から、強引に攻め潰しに行った。当然、1着勝負の田村も突っ張る。もつれるように2艇が1マークから離れ、ほぼ真横に流れ去って行った。田村の渾身の勝負駆けを、弘文の意地が阻止した。

 このふたりの舟券を買っていた方(私も)には災難だったが、私はこの大競りを「名勝負」の範疇に分類する。強い気持ちが水面に投影されてこその「水上の格闘技」。田村と気合と弘文の意地に、素直に拍手を送りたい。

 ともあれ、この6着大敗で賞金ランク10位の田村は予選落ちとなった。その後、同11位の中島孝平が予選を突破したため、逆転される可能性が一気に高まった。明日、齊藤仁が優出を逃せばその瞬間に12位入りが確定するが、もしも優出すると……非常に厄介な事態に陥ることになる。

 

 

 さてさて、いよいよ佳境に突入した賞金王TOP12争い。今日からは、当確&12位入りの可能性のある選手だけをピックアップしたい。うん、ボーダー争いのキーマンは、ほぼひとりのレーサーに限られたかも??

 

'賞金ランクTOP20 明日

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①瓜生正義→ (帰郷)

②池田浩二→  準優10R

③新田雄史→  準優11R

④松井 繁→  準優11R

⑤毒島 誠→ 一般

⑥太田和美→(休み)

⑦井口佳典→(帰郷)

⑧篠崎元志→(休み)

――以上当確――

 

        22日  当確条件

⑨湯川浩司 6245万 準優完走

⑩田村隆信 6183万 一般戦を走りつつ相手待ち

⑪中島孝平 6051万 優出で自力、他いろいろ

⑫峰 竜太 5943万(鳴門2日目)

――――

13齊藤 仁 5619万 優出2着で自力、3着以下いろいろ。

19山崎智也 5061万 優勝のみ(以下同)

22桐生順平 4795万

24菊地孝平 4691万

27徳増秀樹 4314万

30白井英治 4188万

31重成一人 4185万

34山口 剛 4119万

38江口晃生 3923万

45森高一真 3637万

50仲口博崇 3447万'

※千円単位切り捨て

 

 予選で篠崎仁志、田中信一郎、秋山直之などの逆転候補が敗れ去り、ボーダー争いの場合分けはかなりスッキリしてきた。ただひとり、局面を複雑にする可能性を秘めているのが、13位の齊藤仁だ。まずは、この最大のキーマンの成績を場合分けしてみよう。

 

'★齊藤仁フローチャート

 

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23日・準優

●1、2着→優出→大混戦。「24日・優勝戦へ」

●3着以下→優出漏れ→齊藤脱落。となり、湯川・田村・中島の3人が当確最後の1席は「峰か、ボーダー下位で優勝した選手」に絞られる。ただし、準優入りした三井所と土屋は、優勝しても峰に届かない。

 

24日・優勝戦

※無事故完走で、峰の脱落が決まる。

●1着…自力確定。

●2着…自力確定。このとき、優勝者がボーダー上位の選手なら湯川・田村・中島の3人が確定。ボーダー下位の選手なら、この3人の中の誰かが脱落。

●3着以下…田村・中島のどちらかを超えれば確定。超えられない場合は①優勝者がボーダー上位選手なら確定。②ボーダー以下なら脱落。この3人の場合分けはあまりにも複雑すぎて、とてもアップできません!!'

 

 まあ、ざっとこんな感じ。大雑把に言ってしまうと、齊藤が優出するかどうかで超シンプルか超複雑か、両極端に分かれる。

 では、これを踏まえた上で、他の面々から状況を見てみよう。

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★9~11位争い

 予選突破した湯川が99%がた当確。同じく準優に乗った中島は優出で文句なし、優出漏れでも一般戦の田村の賞金を超えれば確定する。とはいえ、22日現在の2人の賞金差は約130万円。中島が準優と選抜戦で重い着だと、逆転できない可能性も高い。田村は一般戦で賞金を上積みし、齊藤はじめ他の面々の結果を待つのみ。

 

★12位・峰竜太

 齊藤仁が優出、またはボーダー以下の選手が優勝すればアウト。齊藤の枠番や準優1号艇のメンバーを見る限り、さらに首筋が寒くなってきた気が……?? 体感当選率15%

 

★19位・山崎智也~下位

 ひたすら優勝あるのみ! もちろん、現状でもっとも有利なのは、予選トップの森高一真とお伝えしておきます。もっとも、森高と仲口は、優勝しても届かない可能性がありますけど……。

 

 今日のところはここまで。例によってズボラな手計算なので、間違いなどがあった場合は文句とともに訂正のアドバイスをくださいまし。よろしくお願いします!!(photos/シギー中尾、text/畠山)

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