BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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賞金女王シリーズTOPICS 初日

亜理沙姫、覚醒。

 

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 未完の大器、浜田亜理沙がいきなり突き抜けた。今日は5・4号艇と楽な枠番ではなかったが、持ち前のスタート力をフル稼働してピンピン連勝を果たした。そのスタート、1Rはコンマ01!! 後半8Rも4カドからコンマ06まで踏み込んだ。途中の6Rで2艇のフライングがあったにも関わらず、「私は私、とことん行きます!」ってな感じで攻めるところが亜理沙の真骨頂だ。直近6カ月の平均スタートはコンマ13で、『スリットスナイパー』宇野弥生と肩を並べる。

 

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 そして、スリットで主導権を握ってからの戦術は、まさに変幻自在。まくるかと思えば差し、差しかと思えば全速のツケマイを放つ。今日の1Rも、一気の絞りまくりで内艇を攻め潰しつつ、最後は機敏なまくり差しのハンドルで突き抜けた。8RはトップSから無理に動かず、内の動向をじっくり観察してからブイ差し一閃。25歳の若さで、硬軟を自在に使い分けるのだから恐れ入る。

 写真でもわかる通り、そのルックスも凡庸ではない。長い髪に大きな目。昨日のモーター抽選会で、どこか遠くの1点をぼんやり見続けているような、その美しい大きな目が強く印象に残っている。

 

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 どこを見て、何を考えてるんだろ。

 そんな瞳だった。憂いを秘めた戦国時代の姫。そんなイメージを抱き、それから『不思議の国の……』というベタな語呂合わせが浮かんだりもした。まあ、何が言いたいかというと、レースもルックスもちょっと不思議ちゃんっぽい亜理沙は、正統派の平山智加などとは一味違ったスーパースター性を秘めている。今日、その資質の片鱗を、私(我々)はちょっとだけ垣間見たに過ぎない。うん、この娘、こんなもんじゃないぞ。

 

 

 

 

 

やまとナデシコ、躍動

 

 

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 2連勝といえば、松本晶恵もまた素晴らしいロケットスタートを切った。4号艇の1Rはコンマ07のトップSからイン魚谷香織を攻めに攻め、激しいデッドヒートの末に競り勝った。格上の先輩を競り潰したこのレースは、大きな自信&弾みになったことだろう。後半の9Rでもコンマ06のトップSを決め、内2艇に多大なプレッシャーを与えてから、冷静に差しきってしまった。

 

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 男子同様、「西高東低」と呼ばれて久しい女子艇界だが、なんのなんの、最北端の場にもスターの卵あり。去年の賞金王から連綿と続いた「群馬旋風」を、このシリーズ戦でもしっかり継承し、来年につなげてもらいたい。

 たかが一般戦、されど賞金女王シリーズ。

 全国の耳目が集中するこの6日間シリーズを、単なる一般戦で片付けるファンはいない。大舞台の経験が浅いやまと世代の女子レーサーにとっては、未来へ踏み出す登竜門とも言えるだろう。明日の晶恵は、1号艇の1回走。ここをきっちり逃げきって無傷の3連勝となれば、優勝の2文字がぐっと近づく。

 

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 やまと世代から、もうひとり。地元・福岡の元気娘、小野生奈もゴキゲンな高速モンキーでファンを魅了した。2Rで3番手を走っていた生奈は、2艇身前を行く久保田美紀にツケマイツケマイまたツケマイ!! すべてのターンマークで全速アタックを仕掛け続け、ついに引き波に沈めてしまった。変幻自在な亜理沙も魅力的だが、生奈のセールスポイントはまさにこれ(ちなみに生奈が1期先輩ですが)。1マークでも道中でも、ひたむきに一直線にがむしゃらに全速マイで敵に向かっていく姿勢が、実になんとも心地よい。弾ける笑顔、陽気な性格と合わせて、この子はほんに「ボート界の清涼飲料水」だなぁ。ダダっ子のようにツケマイを連発する生奈を見て、私はへらへら笑い続けていた気がする。

 

独断、パワー番付

 

 

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 成績こそムラはあったが、昨日の私の見立てはさほど間違っていなかった。今日の実戦を見て、意を強くさせてもらった。というか、山下友貴の38号機。やはり地元記者さんの下馬評通りの超抜パワーだ。え、4着3着だったのに? 数字だけで判断してはいけませんぞ。今日の前半は2周1マークでのドン詰まり(やや判断ミス)、後半はドカ遅れという明白な敗因があり、道中でぐんぐん追い上げていくパワーはまさに鬼足だった。文句なしのSレベル。おそらく、明日の3・2号艇でそのポテンシャルを余さず披露してくれるだろう。

 

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 宇野弥生の33号機も相当だ。回り足にやや不安はあるが、ターンの出口~ストレートは完全にトップ級。ふたつの内枠をすでに消化したことだし、明日からはこのバイオレンスな伸びを存分に生かせばいい。で、すでにバレバレだが、この弥生の伸びを脅かすのが栢場優子だ。これはもう、7Rで2コースVS4カドの直接対決=大競りがあったから一目瞭然だろう。栢場の伸びなりのまくりも、宇野の伸び返しも半端ない迫力だった。まさに双璧。前検トップの倉田郁美も直線は一緒くらいあるのだが、現状ではその他の足が苦しすぎると思う。で、栢場を加えた番付を改めて記しておこうる

 

 

 

 

 

 

 

 

'S級

★★山下友貴

 

A級

★宇野弥生(伸びS)

★岩崎芳美

★魚谷香織

★小野生奈

★栢場優子(伸びS)'

 

 もちろん連勝した亜理沙、晶恵もA級はありそうだが、今さら加える気は……(笑)

 

 (photos/シギー中尾、text/H)