BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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賞金女王シリーズTOPICS 3日目

弥生まで……

 

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 スリットスナイパー宇野弥生が、禁猟区域に棲む魔物を撃ってしまった。コンマ01、フライング。昨日の淺田千亜希、浜田亜理沙に続き、V候補がまたひとり自滅した。

 2013年、弥生にとってどんな1年だったか。これまでの人生でもっとも悔しい1年だったに違いない。女子賞金ランク13位。11月18日の住之江11R、弥生には自力で12位を奪うチャンスがあった。その「勝てば12位」という最後の勝負駆けで、コンマ22……彼女の卓越したS勘とド根性を持ってすれば「ドカ遅れ」と呼ぶしかない。

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 そして、主役として期待されたシリーズ戦では、行きすぎて脱落。このチグハグすぎる2度のスタートミスは、彼女の中に悔しさとして蓄積されたことだろう。だがしかし、宇野弥生はこれで落ち込み、スランプに陥るようなタマではない。男よりも男前、この悔しさをすべて口の中に突っ込んで、何十倍ものパワーに変えて吐き出すタイプなのだ。ちょっと気が早いが、2013年を記念してこうお伝えしておく。

 宇野弥生、来年は10倍返しだっ!!!!

 

 

 

 

 

ナマナマクリ

 

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 私が勝手に「ナマナちゃん」と呼んで注目している小野生奈(セイナ、です!)が、今日も果敢にイン選手を潰しに行った。9R、4カドの生奈はスリットで半艇身ほど覗くと、迷うことなく絞りまくり発進。内2艇を一瞬にして叩き、スタート同体だったイン遠藤エミまでガブリンチョ一呑みだ。この強攻はさすがに流れ、6コースの超人気薄・新田芳美のまくり差しを食ってしまったが、3連単689倍の立役者は間違いなくナマナちゃんだった。

 初日は5コースからまくりを打ってインに届かず2着。昨日は3コースからまくりきったところ、宇野弥生の差しを食って2着。自力で攻めながら勝ちきれないレースが続いているが、それでいいのだよ。まくり戦法は外の艇を生かし、外の艇が生きて大穴が飛び出し、大穴が飛び出して穴党が喜ぶ(的中しなくても「ヒャーーーッ」とか言いながら喜ぶ人種なんです)。選手同士にしても「生奈ちゃんは激しく攻めてくれるから、カドに入れてあげよ」なんてことがあるかもしれない。とにかく、まくり屋がガンガンまくりに行けば、ボート界はざわめき立つのだ。今節、3日で3発の全速まくりを打った生奈は、どれほど全国の舟券オヤジにその名を売ったことか。

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 そしてそして、今日の689倍の配当を見たオヤジどもは、ヨダレを垂らしてこう呟いたはずだ。

「小野生奈の外は、宝の山だな、グェッヘッヘ」

 もちろん名前が売れる分だけ舟券の妙味は薄れるのだが、まだまだもぎ立ての駆け出しレーサーだ。生奈-外選手流し、外選手-生奈流しで、美味しい万太郎にありつこうではないか。(photos/シギー中尾、text/畠山)