BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

賞金王トライアル初戦ダイジェスト

真髄、トライアル!

 

11R 進入順

①池田浩二(愛知)06

②新田雄史(三重)08

⑥田村隆信(徳島)04

③太田和美(奈良)03

④井口佳典(三重)07

⑤中島孝平(福井)04

 

f:id:boatrace-g-report:20171212174729j:plain

 どこをどう切り取っても、激しく素晴らしいレースだった。掛け値なしの名勝負だ。

 まずは進入。6号艇の田村が、激しく内を攻めたてた。すでに警戒していた他艇はこの動きを封じようとしたが、中島、井口、太田をふりほどいて3コースを奪った。当然、スロー3艇は深くなる。ダッシュ勢は、それに背を向けて颯爽と艇を引く。6人のすべてに勝機がある隊形が生まれる。

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171212174742j:plain

 そして、スタート。全員がコンマゼロ台。内3艇の起こしは90mあたりだったが、それでもバチッと決めた。意地とプライドが凝縮した、超ハイレベルの横一線。伸びるダッシュ勢のプレッシャーを受けつつ、池田が先マイし、新田が差し、田村がまくり差す。そこに、4カド太田の二番差しが突き刺さる。

 太田だ!

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171212174755j:plain

 そう思わせるバック直線だったが、すんなりとは決まらない。1周2マーク、新田が突進気味に太田の舳先を掠め、先マイを打ったのだ。これをギリギリ避けた太田の舳先が浮く。太田に代わって、機敏に差した池田と奇襲を仕掛けた新田が舳先を並べた。ホーム直線、外の新田が池田に体当たりを食らわせた。凄まじい気合だ。跳ね飛ばされた池田が、体勢を立て直して2周1マークを回る。そこに、新田の全速差しが襲い掛かり、再び2艇が舳先を並べる。このあたりの凄まじい攻防は、VTRで堪能していただきたい。

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171212174806j:plain

 リプレイには映らない部分でも、死闘が繰り広げられていた。太田に追いすがる田村、さらにその後方でバチバチと艇をぶつけ合う井口と中島。太田に振り切られた田村に、今度は井口が切り返し気味に襲い掛かる。舟券とは無縁の“銀河競り”だが、このトライアルではとてつもなくデカい競り合いなのだ。

 先頭からシンガリまで、激しすぎる局地戦に目を回しているうちに、レースは終わっていた。1着から順に、123546。結局、今節のシリーズ戦同様にスロー勢の上位独占という着順だった。だがしかし、この平凡な並びの中に、6人の気持ちとテクがどれほどギッシリ詰まっていたことか。

「これが、賞金王トライアルだ」

 胸を張って、多くの人々に見せたいレースだった。

 

金縛りトライアル?

 

12R

①瓜生正義(東京)19

②松井 繁(大阪)26

③毒島 誠(群馬)26

④篠崎元志(福岡)35

⑤湯川浩司(大阪)31

⑥齊藤 仁(福岡)25

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171212174818j:plain

 進入、スタートからゴールまで激しい火花が散り続けた11Rとは、まったく別物のレースだった。穏やかな枠なり3対3、慎重すぎるスタート、内から順に回って徐々に縦長の展開に……これをもって、「11Rに比べて凡戦だった」と簡単にまとめたくはない。賞金王の重さを嫌と言うほど感じている面々だからこそ、こんなレースになることもある。松井にしてコンマ26。冷静に、冷静に、という思いが、逆に金縛りのように王者の判断、行動を萎縮させたのかもしれない。

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171212174830j:plain

 11Rはピットアウトから6人をエキサイトさせた。その興奮が、ゴールまで選手たちを激しくせきたてた。このレースは、穏やかに進行した分だけ逆の意識=プレッシャーが働きすぎた。今日のところは、そう思うことにしよう。ただ、2度は許さない。同じようなレースが明日以降も続くようなら、私は断固としてクレームを付ける。賞金王の重みが痛いほどわかる面々だからこそ、勝ちたい思いを余すところなく水面に投影してほしい。間違いなく、それができるレーサーたちなのだから。

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171212174839j:plain

1億円を提供するスポンサーのひとりとして(何万分の1程度の小口スポンサーだが)、切に期待する。(photos/シギー中尾、text/畠山)