BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

『THE TOPICS~初日~』

順平Ver2014

 

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 桐生順平が、またひとつ進化を遂げた。3R、5コースから大海をまっぷたつに切り裂くような超絶まくり差し。記者席の面々を驚愕、感嘆させ、「あのターンができる選手は、桐生くらいしかいないだろ」と言わしめた。凄まじい全速のまくり差しだった。

 だが、私の言う「進化」はあの超人ターンではない。桐生ならば、いや、桐生だからこそ、あれくらいの離れ業をやってのけることは、とうの昔に知っている。この欄でも、彼のミラクルターンについて何度も何度も書いてきた。ほとんどすべて、道中での追い上げ、大逆転ターンという形で。

 

 

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 そう、今日のレースでもっとも特筆すべきは、「1マークで決着を付けた」。これに尽きる。去年後半の桐生のSG予選成績を列挙してみよう。

★MB記念334332

★ダービー551345

★チャレカ331314

★賞金王シリーズ222124

 ド派手なパフォーマンスで観衆を魅了し続けた割りに、成績そのものは地味だった。4回の1着はすべて1、2号艇。あとは、やたらと2、3着が多かった(←多くのレースが3~6番手からの追い上げだった)。どのレースだったか、桐生が道中ゴボー抜きで2着を奪った後、ピット班の黒須田が「凄いレースだったね」と声をかけた。すると桐生はやや憮然とした表情で、「ダメです。もっとすっきり勝ちたいのに……」と悔しさを滲ませたという。新鋭リーグでは無敵のピンラッシュ、それがSGになるとスリット~1マークまでに決めきれない。SGでは中堅~下位パワーが多かったとはいえ、桐生本人としては忸怩たる思いが付きまとったことだろう。

 なぜ、1マークで勝ちきれない??

 

 

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 私は「派手だけど2、3着」というレースを多々見つめながら、こんなことを思ったものだ。

 でも桐生よ、お前がSGの1マークでがんがん攻めきれる選手になったら、いったいどこまで登り詰めるんだ??

 そして今日、桐生は5コースから一撃で突き抜けた。もちろん、この一戦をもってして「課題を克服した」とか「殻を突き破った」などと言うつもりはない。ただ、本人はある種の解放感とともに、それなりの手応えを感じ取ったことだろう。ささやかなバージョンアップだとしても、それをメジャーチェンジへと進化させるのが若者の成長力だ。今年最初のSGの初日で、きっちりと結果を出して見せた桐生順平Ver2014。明日以降の順平が、昨日まで以上に楽しみになった。

 

銀河乱舞

 

 

 

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 今節も、銀河の彼方から6人の大軍勢を送り込んだマグナムギャラクシーユニット85期。初日から個性豊かに暴れまくってくれたなぁ。4Rの『ぶち込み王子』井口佳典は、3コースから伸びなりハンドルを切っての締めまくり一撃。7Rの『自称・博打の駒』森高一真は「桐生ばっかりにええカッコかさせられん!」みたいな気迫で痛烈な5コースまくり差し一閃。

 

 

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そしてそして、10Rの『ミスターダービー』丸岡正典はインから堂々押しきり逃走。多彩な戦法を披露しつつ、あっという間に「銀河ハットトリック」を決めてしまった。

 

 

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『讃岐の激辛勝負師』田村隆信は、前述・桐生のまくり差しのお膳立て&317倍のアシスト2着と見事な役者ぶり。

 

 

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そんな中、前検でS級指名した『快速王子』湯川浩司だけが、あまり目立たなかったなぁ。それでも、8Rは道中5番手から3着まで追い上げ、なんとか「6人全員舟券絡み」を実現させた。

 

 

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今節、銀河系だけのダービーマッチが組まれるかどうかは分からんが、明日もまたやんちゃに暴れる6人のエイリアンを堪能するとしよう。最後に、7Rの森高・勝利者インタビューから。

「11Rは(6号艇の井口と)ライン車券で行きますっ!!」

(photos/シギー中尾、text/畠山)