BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――外枠と内枠

 

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 1R展示中にピットイン。かなり早朝からピットに入っていた中尾カメラマンが、「整備室で面白いことやってるよ」と伝えてきた。ワタシも伊達に10年近くピットに入っておりません。すぐにピンと来た。たぶん、山崎智也だ。

 整備室を覗くと、案の定だった。山崎智也の本体整備。これは実に珍しい。中尾カメラマンもほとんど見たことがなかっただろうし、僕自身、この10年で2度目か3度目である。あれはたしか若松だったと思うが、本体整備を始めた智也を驚きとともに見ていたら、江口晃生が「雪でも降るんじゃないか」とからかっていたことがあったな。

「ペラで中堅上位まで持って行けると思ってるから」

 と智也。だから、何はともあれ、プロペラ調整が智也の基本スタンスである。その智也が本体に手をつけた。間違いなく、本気で一発を狙っている。

「部品換えようと思ったけど、おかしなところが見つかったから、そこを直した」

 さあ、これが智也のパワーを大幅にアップすることにつながるか。いずれにしても、智也の本気度がうかがえる出来事である。そもそも6コースは得意なんだし、侮らないほうがいいと思うぞ。

 

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 智也の隣のテーブルでは、森高一真が本体整備だ。森高は智也とは反対に、本体を積極的に割るほうだ。森高なりの理論がちゃんとあって、感触的に違和感があれば、そこをなんとかしようとするわけだ。森高は本体整備を終えると、キャブレターの調整も行なっていた。それを見つけた齊藤仁が、「ちょっかい出してきます」とニヤニヤしながら近づいて行ったりもしてましたぞ。

 

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 反対側のお隣テーブルには、徳増秀樹。こちらも本体整備で、ピストンを取り出して「洗浄室」とプレートのある部屋に入っていった。単なる洗浄なのか、交換なのか。直前情報にはぜひ気を配っておいてほしい。地元勢は出場3人がすべて準優出。そのなかで、徳増は4号艇と、唯一の外枠である。モーター好調の内枠勢との差を少しでも縮めるべく、すべてをやり尽くして準優に臨む心づもりだ。

 そう、本体整備をしていたこの3人、いずれも外枠の選手である。準優デーの本体整備といえば、やはり不利枠の選手がイチかバチかの意味も込めて、一発勝負をかけてのものであることが大半である。準優内枠は、機力に余裕がある選手。枠も有利なら、パワーも上位なのである。外枠から一矢報いるなら……と考えれば、気になる部分はすべて手をつける。言うまでもなく、外枠だからといって、1ミリたりとも怯んではいないのである。

 

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 なお、試運転係留所にボートがあった準優組は、今村暢孝と辻栄蔵であった。やはり外枠勢。試運転とペラ調整を繰り返し、何としても優出を目指すという意気込みが、ここにもある。だから準優は熱いのである。

 

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 ならば、好枠組は余裕なのか、というと、まあそういうことになるんでしょう。ゲージ擦りをしていたのが瓜生正義と今村豊、1号艇組だったというのが、それを物語っていると言える。服部幸男にしても、モーターを乗せたのが1R終了後。そのとき瓜生のモーターはまだボートに装着されていなかったし、どう考えても余裕である。まあ、今日は朝には雨模様であり、1Rあたりではやんでいて、ここから天候が変わっていく可能性があるから、本格的な調整はそれから、という可能性もあるわけだが。

 

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 それでも、内枠勢の姿を見かける機会が少なかったこともまたたしか。特に、姿を探さねばならなかったのは菊地孝平で、ようやく見かけたのは2R終了後なのであった。鋭い視線はさらにキリリと光っており、今日も気合は満点。ギアケースを外していたので、外回りから調整して万全に持っていく心づもりだろう。発散されるものの力強さは、たぶんこの男が節イチである。(PHOTO/中尾茂幸 仁ちゃん絡み=黒須田 TEXT/黒須田)

 

 

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太田和美は準優日も自然体! 3連覇、十分ありそうだぞ!