BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

丸亀オーシャン準優ダイジェスト

 

f:id:boatrace-g-report:20171213172526j:plain

 

デジタル封殺!

 

9R

①濱野谷憲吾(東京)04

②吉田俊彦(兵庫) 06

③菊地孝平(静岡) 09

④吉川元浩(兵庫) 08

⑤今垣光太郎(福井)08

⑥田中信一郎(大阪)11

 

 東都のエースが鉄壁の逃げを見せた。F持ちでありながら、コンマ04!! このSを行かれてしまっては、SG3連覇を狙う菊地のデジタル頭脳も無用の長物と化す。最近、スタートも含めて憲吾のレースぶりが変わった、と3日目に書いたが、今日も超アグレッシブな新生憲吾を魅せつけた。いったい、身辺に何があったんだ憲吾!!??

 

f:id:boatrace-g-report:20171213172538j:plain

 スタンドに驚愕の声が轟いたのは、2着争いだ。先頭は憲吾、2番手は吉川、3番手は信一郎。2周ホームでそれぞれが3艇身ほどの間合いを取り、完全に1-4-6態勢が出来上がっていた。そして、ジリジリと信一郎が艇間を詰めて迎えた2周2マーク、2艇身後方から放った信一郎の差しが、吉川の内フトコロを完全に捕えた。ありえないような激差し。2艇の舳先が並ぶ。そこからぐんぐん信一郎だけが伸び、3周1マーク、吉川の捨て身のツケマイを難なくブロックして優勝戦へのゴールに飛び込んだ。

「タナシン、かっちょええーーー!!」

「さっすが信一郎じゃあ!!」

 スタンドは信一郎を絶賛する声で持ちきり。それくらい、サプライズな大逆転差しだった。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213172548j:plain

 1着・憲吾、2着・信一郎。

 3日目にピストンを換えた憲吾だが、乗り心地も含めて全部の足がいい感じに仕上がっている。バランス型で機敏に展開を突ける足。2コースから差してVがあっても不思議ではないパワーだが、「最近の2コースの憲吾はよくよく握る」を忘れずに。去年までの憲吾とは別人なのです!

 信一郎の58号機は前検から「節イチ候補」として期待しまくっていたのだが、5日目にやっと素晴らしいパワーを披露してくれた。ペラを叩いて信一郎仕様に調整したとはいえ、その底力はさほど変わっていないと思う。とにかく、どう叩いても行き足~伸びが強い。明日も外枠、この最大の武器を生かすレースをしてもらいたい。

 

危機脱出

 

10R 進入順

①吉田拡郎(岡山)17

②徳増秀樹(静岡)11

⑤中島孝平(福井)13

⑥深川真二(佐賀)12

③前田将太(福岡)14

④太田和美(大阪)15

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171213172604j:plain

 大本命の拡郎にとって、実に危険なスリットだった。2コース徳増より、ほぼ半艇身遅れ。これが優勝戦なら、徳増に激しく締められたかもしれない。が、準優のここは徳増も大人の対応で直進する。こうなれば、節間屈指の伸びが生きる。拡郎はぐんぐん伸び返し、1マークを先取りしたらば他艇をぶっちぎっていた。ヒヤリとさせたのは、スリット近辺だけだった。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213172614j:plain

 例によって、2着争いが大混戦。真ん中に深川、1艇身差で前田、徳増が内外に構える。そのはるか後方、1マーク付近では太田が落水失格……つまり、この3艇の攻防は1周2マークの一発勝負に託された。1-6-3を分厚く買っていた私は、あらん限りの声で「ふっかがわぁぁぁぁぁぁ!!」と叫んだ。叫んだ瞬間、大外・徳増の全速マイが目に飛び込んだ。この握りマイが1艇身抜け切らなければ内から順番に1-6-3で決まる。決まってくれ。私の祈りは届かず、徳増がスーーッと内の2艇を交わし去った。

 1着・拡郎、2着・徳増。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213172633j:plain

 レースを見ての通り、拡郎は行き足~伸びがトップ級の仕上がり。回り足は中の上あたりか。2コースではちょっと半端なパワーかも、と思っていたのだが……イン戦なら十分に持ち応えられる足だと思う。

 徳増は伸びが平凡で出足、サイドの掛かりが強め。拡郎とは正反対のパワーで、こちらは2、3コースで一発があってもおかしくない。ただ、パワーの底力としては優勝戦ではやや見劣りする気がするのだが……。

 

順当な大波乱

 

11R 進入順

①杉山正樹(愛知)11

②重成一人(香川)13

③池田浩二(愛知)17

④瓜生正義(福岡)14

⑥松井 繁(大阪)13

⑤岡崎恭裕(福岡)10

 

 結果から先に書こう。杉山が素晴らしいスタートを決めて、居並ぶ猛者たちを1ミリたりとも寄せつけず逃げきった。SG初準優、1号艇インコース、王者&瓜池……それらに対するプレッシャーを微塵も感じさせぬ完璧な逃走。文句のつけようのない予行演習。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213172652j:plain

 だが……落とし穴は、意外なところに掘られていた。ピットアウトから20秒後の待機行動。時間を巻き戻そう。ファンファーレとともに一斉に飛び出した6艇の中から、地元の重成が気合満々で小回り防止ブイを旋回した。ゆつくりと艇を流した杉山は、この時点で1艇身以上出し抜かれている。当然、重成はフタを締めるようにして左に舳先を傾けた。杉山も慌てて前進するが、完全に前を塞がれている。おそらく、このときにはもうインの優先権は重成に移行していたのだろう。舳先をなめるようにしてターンマークを回る重成。そうはさせじとエンジンを噴かせて艇を捩じ込む杉山。2艇は接触して、重成の舳先が真横へと弾かれた。これが、「割り込み」による待機行動違反に抵触した。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213172705j:plain

 杉山には可哀相な裁定ではあったが、これはいたし方なしか。また、厳しい言い方をすれば、この結末そのものがSG常連レーサーからの激辛の洗礼だったと思う。重成には「杉山ならインを奪えるかも!?」という思いがあったかも知れない。生き馬の目を抜くようなSG賞典レースの中で、杉山は明らかに油断していた。その油断を、的確に突かれた。SGというレースの怖さ凄さヤバさは、スタート~ゴールの競り合いだけではないのだ。千載一遇のチャンスを逃した杉山だが、ひとつの重要な教訓を得たことだろう。

 SGでは一瞬だりとも油断するなかれ(光ちゃんはちょくちょく油断?するけど、あれは別格です)。

 道中に戻ろう。レースそのものは、杉山-池田-瓜生の順で固まり、ほとんどまったく紛れのないままゴールを通過した。配当も含めて、極めて穏当なレースだった。

 1着・杉山、2着・池田、3着・瓜生。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213172720j:plain

 池田の足は、実のところ良くわからない。本人は日々「出足がない」と泣いているようだが、泣いているときの池田は怖いのである。本当は、抜群レベルなのかもしれない。

 瓜生の足は日によって良くなったり悪くなったりしている印象がある。行き足~伸びはほとんど変わらず、ターン回りが来たり来なかったりという感じ。つまり、出足系統のゾーンが狭いのだろう。ただ、昨日あたりからそのあたりの足も中堅レベルで落ち着いたように見えるのだが……うーん、何度も書いてきたが、「瓜池のレースはパワーかテクかがよくわからない」のである。今節も、私はこのふたりに翻弄されている気がするなぁ。(photos/シギー中尾、text/畠山)

f:id:boatrace-g-report:20171213172730j:plain