BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――日々変わらぬ空気

 

 

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 SGを取材していると、大まかに「流れ」みたいなものがあって、それによって日次を実感することがある。慌ただしい初日朝、落ち着いてくる3日目、意外と静かな勝負駆け……てな具合に。でも、今節は違いますね。初日、2日目、3日目と、ピットの大まかな雰囲気は変わっていない。実感するとするなら、SGと女子GⅠは違うんだなあ、ということか。SGクラスは素早く仕上げ、女子は時間はかかるがとことん煮詰め、という差だろうか。スタイルは違うが、それぞれのトップクラスの戦いを繰り広げている! そう思えば、「今日は何日目だっけ?」てな感覚に何度か陥った今節にも納得というものである。

 終盤のピットに入って、まず目についたのは、係留所に7艇が並んでいたこと。奥から順に、落合直子、永井聖美、遠藤エミ、堀之内紀代子、樋口由加里、守屋美穂、市村沙樹。3日目の終盤に、まだこれだけ多くの選手が試運転を続けていたということだ。しかも、準優進出戦組と一般戦組が混在している。若手が多く、練習の意味合いがあったかもしれないが、明日のステージがどこであれ、必死に駆け続ける選手がこれだけいたわけである。遠藤エミは、フライングを切ってしまってるんですよ。しかし残り3日間を捨てていないし、あるいは未来につなぐ糸を一生懸命紡いでいる。オッサンとしては、感心するしかない。

 

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 整備室を覗けば、本体整備に取り組む選手がちらほらと。これも、今節あらゆるタイミングで見かける光景だ。今日はまず大瀧明日香。勝負駆けクリアで準優進出戦に駒を進めている。まさに明日のためのパワーアップということで間違いないだろう。あと、もう作業の終盤のようで、本体を割ったかどうかまでは判然としなかったのが鎌倉涼。減点がありながら、よくぞここまで巻き返した。あとは明日、3着以内を目指すのみ。調整にも力が入って当然である。

 

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 その鎌倉の肩を遠藤が揉んであげてるシーンがありました。最後にボートを陸に揚げたのは落合で、先輩のエンジン吊りを手伝おうと鎌倉はリフト前で待機。その背後に回った遠藤が、「先輩、ごくろうさまでーす」とばかりにマッサージをしてあげていたのでありました。涼ちゃん、少しは疲れがとれましたか?

 

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 というわけで、選手たちはそれぞれに気合をこめて臨んだ勝負駆けだが、ピットにいる分にはその雰囲気はあまり伝わってこなかった、というのが正直なところ。つまり、それほど今日の雰囲気も日常的であり、逆に言うなら、初日から彼女たちは勝負駆け的な気合で戦ってきたのかもしれないということである。これが短期決戦ということなのか。唐津マスターズ(名人戦)ではどうだったっけ? ああ、そうだ。あのときは、我々も選手もボーダーがどのへんで落ち着くのかが見えなかったから、何着以上でうんぬんという空気はほとんどなかったような気がしますね。もしかしたら、今日も同様だったかも。

 10R、宇野弥生がインで取りこぼした。予選トップが狙える状況での1号艇、まさかの6着は本人も想定していなかっただろう。敗因は明らかにスタートでの後手。コンマ19ながら、2コース小野生奈に半艇身出られていては、生奈のスタイルからして、頭を叩かれてしまうのは必然だった。で、それが本人もわかっていたからだろう、ピットに戻ってヘルメットを脱ぐと、悔恨も多少含んだ苦笑いがこぼれていた。「やっちまった」って感じでしょうね。周囲もそんな宇野を見て微笑んでおり、宇野もさらに苦笑いを深める。小野がすぐに「すみませんでした」とあいさつに飛んできたが、同じ表情でうなずき返すのみだった。まあ、これはたしかに苦笑いの場面、であろう。でも弥生さん、我々の仲間である内池“福井の逆襲”久貴は、苦笑いではなく満面の笑顔が大好きなんです。明日は、内池が「弥生の逆襲」という本を書きたくなるような、爽快なレースを頼んます!

 

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 宇野が大敗し、やはり予選トップの目があった平高奈菜と福島陽子が11Rと12Rの6号艇で着を落としたことで、堂々の予選1位通過を果たしたのは、今井美亜! レディチャン初出場にして今節最年少、その若さにして地元の期待を一身に背負って登場した今井が、予選の主役を張った! これはなかなかの快挙であろう。地元開催ながら、たった一人の選手しか、しかも一番の若手しか送り込めなかった福井支部の逆襲! 弥生さん贔屓の内池も喜んでいることだろう(ただし今井は富山出身)。

 とはいえ、なにしろ登番がもっとも若い新兵なので、終盤の時間帯は雑用にも忙しい。予選トップ濃厚、進出戦1号艇は確定した身の上で、せっせと鉄くずを拾い集めていたのだった。三国の鉄くず収集マグネットは、他場では見たことのない“看板型”。というか、もともと何かの看板に使用していたものの土台にマグネットをくっつけて転用している、といった風情のもので、これがどう見ても持ちにくそうなのだ。

「もう、腕がパンパンになるんですよぉ~」

 うん、なりそう(笑)。そんなお仕事もやりながらの予選トップ。明日は12R出走だけど、きっと11R発売中とかにこなしてから、12Rのピットに入るのだろう。そのほうが、緊張感が紛れていいかもしれない。腕の疲れだけはしっかりとほぐして(なんならエミさん、お願いします!)、悔いなき進出戦としてほしい!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)

 

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片岡恵里の新しい着こなし!

 

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金田幸子の新しい歩き方……っていうか、デューク更家でしたっけ? また流行ってるのだろうか。

 

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惜しくも着は落としたものの、準優進出戦は1号艇! 準優行きに有利なのは間違いありません!