BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――変わらぬ人たち、そして……

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171213190740j:plain

 まず、今井美亜。今朝はひとまず、一昨日までとは変わらない様子だ。新兵の仕事に忙しそうで、挨拶を交わした程度だが、柔らかな笑顔を向けてくれている。無理に作った、という雰囲気は感じられず、まだ引きずっているものがあったとしても、今日のレースに影響するようなことはないだろう(スタートはさすがに慎重になるかもしれないが)。ひまひまデータさんによれば、レディチャン準優Fの経験がある選手は、全員が女王戴冠しているとか。いつかてっぺんに立つことを信じて、ますますの奮闘を!

 

f:id:boatrace-g-report:20171213190754j:plain

 優勝戦メンバーの多くも、5日目までとは変わっていない雰囲気に見える。特に、美熟女勢。昨日の中休みで気持ちがリセットされたのか、それとも重ねたキャリアのたまものか。谷川里江は、もう実に悠々としていて、特に作業らしい作業もしている様子がなかった。なにしろレディチャン(女子王座)優出はこれが11回目!(優勝2回を含む)この日の過ごし方など、知り尽くしているだろう。メインカードに向けて何の不安もないように見える。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213190805j:plain

 1号艇の水口由紀も自然体だ。レディチャン優出は2回目だが、前回の02年も1号艇だった(ただし4コース発進)。12年の間にさまざまな経験もしてきたわけだし、今節のメンバーではベテランの部類。プレッシャーに震えて今日を過ごすことなどありえない。

 水口がピット内の温度計を覗き込んでいると、谷川もやって来た。二人で気温や湿度、気圧などを確認しながら、談笑! 本当に優勝戦の1号艇と2号艇でしょうか。そんなふうに思えるほど、肩の力が抜けている。もちろん、好感、である。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213190819j:plain

 寺田千恵も笑顔いっぱい。今節、ピットでいちばん多くの笑顔を見たのは、テラッチだったんじゃないかな。仲間と触れ合いながら優しく、あるいは大きく笑っているのを何度見たことだろう。今日もまったく同じ。エンジン吊りに出てきては笑い、ペラ調整をしながら笑い、なんとも穏やかに過ごしている。去年の優勝戦の日もそうだったっけなあ。もちろん、優勝戦の直前にはキリリと引き締まる寺田を見ることになるだろうが。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213190833j:plain

 20代勢も、一人を除いて、やはり変わらないように見えた。ピットに入って真っ先に顔を見たのが松本晶恵で、朝のスタート特訓のスリット写真を覗き込んでいた。写真のなかの自分の艇を確認しながら、頭のなかで起こしの位置やタイミングを調整していたようで、こちらの挨拶にも一瞬は気づかない様子だった。そりゃそうだよなあ、と通り過ぎたら、背中から「あ、おはようございます」という声が帰ってきて、声をかけたのはかえって申し訳なかったかなと反省。ただ、表情にカタさがないのを見て、今はリラックスできていると感じた次第だ。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213190846j:plain

 小野生奈は、2R発売中、ボートを着水している。まずは1周走って、係留所に向かうと、ああ、何たることか、満艇状態。台風を経て、気候が変わっているためか、予選道中でも見た係留所大混雑が発生していたわけだ。というわけで、係留所の手前でボートをゆっくりと流しながら、空きが出るのを待つ。浜田亜理沙が展示ピットに向かって行ったのを見て、ようやくボートを収められたのだった。

 そこからは当然、調整作業に取り掛かって、整備室やペラ室と係留所を全力で走って往復していた。元気いっぱいだ! このハツラツぶりが小野生奈! 少しくらいは緊張感があるかもしれないが、まったく心配ないはずとお伝えしておく。

 

f:id:boatrace-g-report:20171213190902j:plain

 で、一人除いたのが、平山智加である。そう、平山は一昨日までと変わった、と見た。

 満艇状態の中、1艇だけ優勝戦のカラーカウリングが着けられたボートが混じっていて、それが平山の黄色いボート。朝のスタート特訓後にボートを揚げることなく、調整作業を始めたようだった。その表情が、なんとも力強かったのだ。

 思えば、今節の平山は非常に柔らかい雰囲気だったと思う。今年すべてのSGに参戦している平山を、僕は毎節ピットで見てきたわけだが、その際の平山と今節の平山は、明らかに雰囲気が違うように見えていた。だが、今日は“よく見ている”平山だった。SG時の表情、雰囲気に非常に近いように思えたのだ。平山に完全にスイッチが入った? だとするなら、5号艇は決して不利な枠ではないだろう。1号艇では悔しい思いをしてきた平山。5号艇で戴冠、なんてシーンがあってもまったく不思議ではない。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)