BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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TOPICS 4日目

THE勝負駆け!

①ボーダー争い…ふたりの交錯

 

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 地元福岡の絶対エース・瓜生正義が散った。前日5位から、まさかの失墜。今日の瓜生は4・2号艇で8点④④着が必要だった。パワーさえ万全なら、雑作もない条件だ。むしろ、「どれだけ準優1号艇に近づけるか」の勝負駆けだと思っていた。

 ところが……まずは前半4Rでありえないような6着大敗。4カドからトップSを決めた瓜生は、無理に攻めずに二番差しを選択した。大崩れしにくい戦法だ。ところが、この差しがまったく入らない。入らないどころか、バック直線で5番手から5艇身ほども置き去りにされた。追い上げも、まったく利かなかった。この惨敗で、後半8Rは7点②着が必要になった。頭上に当確ランプを点すどころか、瓜生の尻に火が点いた。

 

 

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 そして迎えた8R。1号艇にF2の中澤和志がおり、「是が非でも地元のエースを準優に!」という関係者の叫び声が聞こえてくるような番組だ。中澤がアウト6コースを選択し、瓜生がインに入る。楽な起こしから、コンマ10の絶品スタート。このまま逃げきれば……だが、悪いリズムがそのままスリット隊形にも反映された。2、3コースが凹み、4カドから伸びる寺田祥が一気に襲い掛かった。抵抗できる展開ではなかった。寺田の引き波をモロに浴びて、瓜生の今節は終わった。前日の5位から28位まで滑落。

 

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 逆に昨日の27位から7位まで、20人をゴボー抜きしたのが白井英治だ。2走で16点②②着が必要だった白井は、危なげなく1・2着を獲りきり準優3号艇をゲットした。池田のまくり差しを喰いはしたが、今日も素晴らしい足だった。節間成績212落12……結果論だが、昨日のあのレースを冷静にまくりきっていれば(見た目にも必勝形だった)勝率9・00で文句なしの予選トップだった。減点を喰って7位に甘んじたが、そのパワーは毒島と同等かそれ以上と見ていいだろう。もちろん、前検チェックで真っ先に白井を取り上げた私は、自信のSSランク=節イチパワーに認定する。

 V候補の瓜生が消え、重い罰則を喰らった白井が這い上がった。大混戦シリーズを象徴するような、ふたりの交錯劇だった。

 

 ボーダー争いで特筆すべきは、平山智加ちゃんの18位滑り込みだろう。8R終了時点で智加ちゃんの順位は5・75で21位だった。残る予選は、実質3レースのみ。絶望的なポジションだ。が、9Rで赤坂俊輔、10Rで西山貴浩が大敗し、自身は3着に踏みとどまって5・80……19位まで浮上した。こうなると、俄然可能性が高まる。実質的な最終予選である11Rのメンバー&智加との相関関係はこうだ。

①山口 剛…5・6着で智加より下

②篠崎仁志…現状、智加より下位で1・2着で智加ちゃん超え

③松井 繁…5・6着で智加より下

④魚谷智之…6着でも智加より上

⑤谷村一哉…6着でも智加より上

⑥中島公平…5・6着で智加より下

 

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 苦しい立場には変わりないが、①剛、松井、中島の誰かが5・6着で、仁志が3着以下だった場合、②仁志が2着以内でも、剛、松井、中島のうちのふたりが5・6着だった場合は、智加が繰り上がる。

 いざ本番……枠の苦しい中島が、最後方で喘いでいた。ただし、智加より下位の仁志が、2番手をガッチリ確保している。このままだと、中島と仁志が入れ替わるだけで智加の19位は変わらない。

「やはり、智加ちゃんの目はないな」

 そう思っていた矢先に、中島が転覆した。6着でも転覆でも、やはり智加は19位のままだ。そのまま他の5艇がゴールを通過し、準優に直結する予選は終わった。智加はやはり19位だった。

 準優メンバーの速報用紙に平山智加の名前を発見したのは、それから約10分後のことだ。計算違いだったか? そうではなかった。魚谷が妨害失格……あの最終周の悲壮なアクシデントが、皮肉にも智加に準優のチケットをもたらしたのだ。これをもって強運と呼ぶのは忍びないが、とにかく準優に乗った以上は全身全霊の力を集結して優出を目指してもらいたい。とんでもなく厳しいメンバーに放り込まれたものだが、互角に戦えるパワーではある。頑張れ、智加ちゃん!

 

THE勝負駆け②

予選トップ争い…あっけない幕切れ

 

 こちらは、かなりシンプルな局面になった。まずは、9Rで毒島誠が2着以内なら、それで毒島のトップが確定した。枠も2号艇だし自力決着か、と思ったものだが、わずかな紛れが起こる。3着だったのだ。この結果、自力トップの権利は11Rの谷村一哉にバトンタッチされた。谷村が1着だった場合のみ、①谷村②毒島に入れ替わる。

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 迎えた11R、上記のようにボーダー争いが最終周回で大きくもつれたのに比べ、トップ争いはほぼ1マークで決着が付いた。展開のなかった谷村が、見せ場もないまま離れた5番手あたりに置き去りにされたのだ。自力で決めきれなかったものの、あっけない幕切れで毒島がトップの座に君臨した。毎度、決まり文句として書くが、あと2回逃げきれば優勝である。MB記念連覇である。リズム、パワーともに申し分なし。ただし、明日の11Rはとんでもない豪華メンバーになった。どの選手も気になるのだが、あえて毒島を自力で負かせる選手がいるとするなら、それはただひとりだけだと私は思う。もちろん、それが誰かは改めて書く必要もないだろう。(photos/シギー中尾、text/畠山)

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