昨日の夜あたりから雨模様で、今朝もポツポツと雨が残っていた。湿度は80％を超えており、気象条件は明らかに昨日までと違う。モーターの気配が変わってもおかしくないのだが……ピットはやけに閑散としているのだった。ペラ室もスペースが目立つし、試運転用の係留所も空きが多い。整備をしているのは岩瀬裕亮と杉山裕也くらいだ。気候が変われば調整に忙しい、なんてことを簡単に口にしたりするわけだが、そうもでないのだろうか。
などと書いているうちに空が明るくなってきた。みな、このときを待っていた？ 後半出走組などは特に、ある程度レース時間に近くなってからの調整を考えていたかもしれない。もちろん、気配が変わっていなかったという可能性もある。モーター調整やペラ調整というのは、何にしろ、微妙な作業なのだ。
そんななかで、整備室にボートごと持ち込んでいた選手が一人。西川昌希だ。超抜モーターの男が!? これはなかなか意外だった。噴いていることは本人も自覚していたし、もうこのまま行くということを表明もしていたのだが。というわけで、しばし観察。やはりというか何というか、大きな整備をしているふうはなかった。いわゆる、点検程度、というやつだろうか。先輩の新田雄史が微笑みを浮かべながら歩み寄って会話が始まったが、その雰囲気にもずいぶんと余裕がある。やっぱり「気候が変わったから気配が変わった」とかいうわけではなさそうだ。
整備室の隅には、臨時プロペラ調整所がある。床に緑のマットを敷き、その上で選手たちがペラを叩く。終盤の時間帯になるとマットは片づけられ、文字通り臨時の調整所。ここではおもに福岡の選手をよく見かける。
昨日、レース後には本体整備に時間を費やしていた西山貴浩は、11Ｒ後くらいにようやく整備を終えると、ペラを手にこの調整所に向かった。ところが、すでにマットが片づけられたあとだった。「あらら～、みな動きが早いごたるね～」と呟いた西山。方言が間違っていないが心配だが、たしかそんなふうに言っていました……はともかく、もくろみが外れて実に残念そうだった。
というわけで、今日は早くからプロペラ調整！ 昨日できなかった分もがんがん叩いちゃう？ 叩きすぎたら意味はありませんが。昨日は時間がなくて調整ができなかった、だから仕方ない、で終わらせないあたりが記念クラスのレーサー。作業自体というより、そうした心構えが選手たちを強くするのではないだろうか。西山もそんな強者のメンタルを持つからこそ、単なるニッシーニャで終わることなく、大舞台で戦えているのだろう。
さてさて、メモリアル（ＭＢ記念）で「ＮＥＷ ＧＥＮＥＲＡＴＩＯＮＮ ＳＵＰＥＲＳＴＡＲＳ」の話を書いたのを覚えておられるだろうか。峰竜太がおそろいのＴシャツを作ったアレである。新田雄史が結成し、峰がＴシャツを作ったということのようだが、メンバーはＳＧ常連の若手選手たち。実は、ＬＩＮＥのグループだそうで、「俺たちで世代交代だ！」的な重い意味のあるチームではないとのこと。もっとも、こちらとしてはそれを期待するわけだが。メモリアルでは、新田、峰、桐生順平、篠崎仁志、岡崎恭裕、毒島誠、平本真之がそのＴシャツを着ていた。ただし、メンバーはそれだけでないのだ。
この人ももちろん！なのであります。あと、前田将太も！ 今節参加していない選手では、茅原悠紀、岡村仁も一員だとか。いつかその全員がＳＧに勢ぞろいしますように。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 池上一摩 黒須田 ＴＥＸＴ／黒須田）
