BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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常滑ダービーTOPICS 3日目

相譲らず

 

 

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 仲口博崇と井口佳典。V争いの主役になるであろう東海のふたりが、しっかりがっちり大きなポイントを加算した。まずは、5R。4号艇の仲口は深川真二の前付けに抵抗しつつ、さっと身を引いて美味しい4コースを選択。横一線で深くなる内3艇を尻目に、コンマ05のトップSで一撃のまくりを決めた。1号機でこのスタートを決めたら、負けるはずがない。そんな文句のない圧勝劇だった。

 続く6Rでは一転、井口が手に汗握る大乱戦を制した。しかも1周バック5番手からぐんぐん追い抜いてのミラクル勝利。何人かの選手と競り合ったので、パワーチェックとしても大いに参考になったな。特に、2周ホームでの菊地孝平との一騎打ち。菊地の伸びも節イチ級かと見ていたが、井口が内から半艇身ほど突き抜けてモノの違いを見せつけた。さらに直後の2周1マーク、競り勝った直後のマイシロのないポジションから、小回りターン一発で先頭の倉谷和信に肉薄。そこからぐんぐん追い上げて、ついには先頭に踊り出てしまった。

「昨日は完全な調整ミス。ひどい足になったが、また良くなったし、今日がいちばんいい」

 

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 調整ミスでの6着一本は痛いが、この失敗で調整の方向が完全に見えたのなら、安い出費ともいえる。2161という成績で、明日は1・2号艇。超抜の伸び足を生かしきれば、準優の白カポックも見えてくるだろう。まあ、この足はセンターあたりでも圧勝できるし、そんな準優を見たくもあるのだが。

 

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 そして、最後は10R。2号艇・仲口の前に立ちはだかるは、同期にして超難敵の太田和美だ。もちろん、仲口の伸びを警戒したであろうインの太田は、スタート勝負に出た。いや、出すぎた。痛恨のコンマ01、フライング。一方の仲口はこのレースもコンマ05まで踏み込み、道中で揉まれながらも安定感抜群の追い上げで2着を獲りきった。これはデカい。昨日までトップだった田村隆信が着を落として、あれよあれよと予選トップを呼び込む2着となった。しかも、明日は1号艇の1回走。最近よくあるパターンだが、「あと3回連続で逃げきれば、優勝」という黄金の花道を手に入れたのである。それが、実はどんなに長い茨の道のりか、という話は明日以降に回すとして、今日のところは予選トップを素直に祝福しておきたい。『無冠の帝王のバトンタッチ』のシナリオ完成まで、あと3日!

 

古狸の逆襲

 

「私を含め、昭和世代の古ダヌキたちへの声援、よろしくお願いしまーす」

 おとといの選手紹介でこう叫んだのは、三角哲男だった。古ダヌキ=名人世代と線引きするなら、今日の狸のオッサンたちは大いにスタンドを盛り上げた。

 

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 まずは地元の雄・大嶋一也。昨日までワースト級のパワーでボッコボコにされてきたダンディだったが、何度かに及ぶ大手術で完全復活した。まず、2Rではしぶとい粘り腰で3着を確保。この道中の足を見た私は「お、昨日までとぜんぜん違うじゃん。さすがダンディ、後半8Rはこっそりヒモで狙ってみるか」と思っていた。

 その8R、大嶋はやっぱりモノが違った。「2コースまで潜り込み、差し粘って2、3着」という私の思惑を嘲笑うように、あっさりとインを奪取。そこからコンマ07のトップSを決めて、まんまと逃げきってしまった。同じく古ダヌキの三角を引き連れて、3連単453の配当は73170円!! ちなみに、私の買っていた舟券は元志アタマ固定の345、354。自分と同じ古ダヌキ世代を信じ切れなかった。情けないっす(号泣)

「松井君がとにかく伸びるから、インを獲った以上はスタート張り込むと決めた」

 インタビューで静かにこう語るダンディのヒゲが、ピンと跳ね上がったように見えた。やっぱ、アンタは凄い!!

 

 

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 他にも、1Rで今村暢孝がきっちり逃げきり、倉谷和信が井口に逆転されたが(前述)2着を確保した。今節の倉谷は後輩たちにまくられ握られ叩かれ差されと散々な目に遭っている。本人には不本意なレースばかりだろうが、見ている側はその奮闘ぶりに胸が熱くなるというか、人間臭いというか、しみじみ感じ入ってしまうんだよなぁ。しかも、これだけボコられつつ、まだギリギリの勝負駆け圏内に残っているあたりが「ガッツボン」なのである。

 

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 あ、それからそれから、昨日の3Rで西山昇一が山口剛&湯川浩司を全速の握りマイで競り潰した、あのシーンも凄かった。記者席に「西山さん、強えぇ!!」の声が渦巻いた。この愛知の古ダヌキは、名人世代になったあたりから年々強くなっている気がするのだが……美魔女ならぬ美魔男レーサーも、明日はメイチの勝負駆けに挑む。

 

 

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 で、名人世代と言えば、ミスター今村豊である。ミスターは例によって試運転と整備を飽くことなく重ねながら、予選11位というポジションにいる。まあ、本人にとってはまだまだ不本意な成績だろうし、明日は準優1号艇を目指すつもりで全力を尽くすだろう。いつものように。今村豊にとって、ダービーこそが最も尊いシリーズなのだから。

 

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 あ、古ダヌキの言いだしっぺである三角も、目下のところ予選14位。SGで2節連続の優出が見えてきた!!??(photos/チャーリー池上、text/畠山)

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