BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――予選終了!

 

 

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 10R前にピットに入ったら、白井英治とバッタリ会った。ちょうどレース場を後にするところで、そう、白井は途中帰郷となってしまっている。手首には湿布がぺったりと貼られており、「大丈夫?」と聞いてみたはいいものの、まったく大丈夫そうではない。「次の下関(周年)もヤバいかもしれない」と白井は表情を暗くするが、地元の周年は何としても出たい一戦なだけに、不安な顔つきになるのも当然というものだ。SG連覇がなくなったことも残念だが、まずは早くケガを癒してほしい! これから大一番が続くだけに、しっかりと養生して、また元気な顔を見せてくれ!

 

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 もう一人、守田俊介も帰郷となってしまった。白井と別れた直後、整備室を覗いたら返納作業をしており、こちらも無念のリタイアだ。白井同様、準優の目はその時点でなかったが、それでも最後まで戦いをまっとうしたかったというのが本音のはず。ケガも痛いが、心も痛い。そういうものだと思う。

 二人とも、次の機会こそ! 万全の状態でまたピットにて会えるのを楽しみにしております。

 

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 勝負駆け。終盤のレースでは、結果的に大きな動きはあまり見られなかった。そんななかで、準優圏内から19位以下に転落してしまったのが、上平真二だ。13年ぶりのSG出場ながら勝負駆けに持ち込み、舟券に絡めば好配当を叩き出して盛り上げてきた上平だが、最後の最後に大敗を喫してしまい、準優進出はならなかった。

 正直、決して派手な存在ではないが、渋い実力派である。予選突破を果たせなかった6着のあとも、上平は粛々としており、派手に悔しがるわけでも、派手に苦笑いを見せるわけでもなく、黙々と悔恨に耐えている様子だった。準優に行けなかったのは本当に残念! 舟券的には本当に面白い存在だったから。明日から2走も、楽しませてもらおう。積極的に狙ってみます!

 

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 もう一人、田村隆信もまさかの予選落ちとなってしまった。11Rは4着でよかったのに、道中は3番手争いを演じていたのに、終わってみれば5着。うーん、準優でどんなパフォーマンスを見せてくれるかが本当に楽しみだったのになー。残念である。

 残念なのは田村も同様のはずだが、それほど悔恨をあらわにしていたわけではなかった。むしろサバサバした雰囲気もあり、勝った菊地孝平がレース後の挨拶を向けると、やけに爽やかな笑顔も浮かんでいた。本音の表情ではないでしょうけどね。変幻自在な田村劇場は、一般戦で楽しませてもらうとしよう。いわゆる敗者戦ではあるけれども、おおいに魅了していただきたいものである。

 

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 予選突破勢で気になったのは、まず森高一真。田村との3番手争いを制して準優行きを決めたというのに、表情がまるで冴えないのだ。田村とすれ違う場面があったのだが、森高のほうが難しい顔つきだったのだから、どっちが準優当確なのかわからないではないか。というわけで、追いかけて突っ込みを入れようとしたのだが、こちらに気づいた瞬間、「あかん。ぜんぜん乗れない」。前付けを煽ったら、「わからん!」。不機嫌である。

 もちろんこの男、勝負を投げるようなことはない。明日の“本紙予想”。朝のピットでは本体整備をしている森高一真がいる。的中かどうかは、明日の当欄で。いずれにしても、朝から必死の調整に走り回るのは間違いないだろう。

 

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 一方で、井口佳典の闘志がじわじわと高まっているように見えたのも気になった。11R発売中、展示の準備をしていた井口と、中島孝平が話し込んでいた。いや、話し込んでいた、は正確ではないかもしれない。どちらかというと一方的に中島が井口に話しかけ、井口はアハハハハと笑うのみだったのだ。その笑いが、言葉は悪いが追従笑いというか、心ここにあらずというか。話は合わせていても、心はレースに集中したがっている。レースへの気持ちの向き方がハンパではないことが伝わってくるような光景だったのだ。

 展示から戻ってきて、菊地孝平と出くわしたときも同じだった。菊地は11Rを快勝していて、すっかりリラックスした様子だったが、それだけに二人が笑い合っている姿がなんとも対照的に見えたのである。実は12Rは勝負駆けだったから、そちらに神経が向くのはまた当たり前のことだが、いずれにしても井口の真っ直ぐな思いがより鋭くなっているのを感じる。メンタル節イチ。そんなふうに見えるのだがどうだろう。

 

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 予選ワンツーは地元勢が決めた。池田浩二もだんだんとピリピリ度が増してきているだろうか。選手仲間とともにいるときには、とにかく陽気でお茶目な姿ばかり見せるので、緊張感みたいなものは伝わってきにくいのだが、整備室で姿を多く見かけるとか、エンジン吊りに出てきて仲間を待ち構えるときにちょっと目つきが鋭くなっているとか、普段とやや違うような部分が見えるのもたしかである。常滑SG優勝は悲願中の悲願のはず。明日からの池田の表情はおおいに楽しみである。

 

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 トップは仲口博崇だ! 僕の目には、これまでとにかくカタいと映っていた仲口の表情、である。もちろん、プレッシャーは感じているだろうし(予選トップにせよ、エース1号機を相棒にしていることにせよ)、明日も重圧と戦う一日になることだろう。明日勝てば、明後日も。ただ、10Rを逃げ切ったあと、なんとなく吹っ切れているようにも見えたんだよなあ。開き直り? それとも少し違うような気がする。表情が柔らかくなっている? まあそんなところもあるにはあるが、それがすべてでもないだろう。あえて言うなら、キャリアを重ねてこうした状況との向き合い方を身に着けた、ということだろうか。

 とにかく、勝てる、という3文字が仲口を見ていて頭に浮かんだのである。明日明後日は本当の平常心で戦えるわけがないが、今の仲口ならそれを乗り越えられるような気がするが、果たして。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)