BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ピリピリ

 

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 なんとなく雰囲気がピリピリしているように感じる。準優日だから、といえばそれまでだが、いつもここまでだっけ、とも思う。

 仲口博崇は、今のところ、それほどカタくなっているようには思えなかった。緊張感がないわけはないが、それに溺れてしまっているようなことはありえない。とはいえ、気楽に声をかけられるような雰囲気ではない。ふと見せる表情は、鋭い。

 池田浩二の表情は強く印象に残る。いつも以上に引き締まっているのだ。ギアケース調整をしながら整備士さんと語り合う際は柔らかめの顔つきではあるが、いつもはもっともっとリラックスした笑顔を見せているように思う。常滑SG。思いが強く高まっている。そんな雰囲気を感じずにはいられない。

 

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 もっとすごい表情をしていたのは井口佳典だ。勝負どころになると見せる、闘士の顔つき。わかりやすいのは挨拶の返し方だ。おはようございます。その言葉にどこまで笑みが深くなるか。今日は、ほとんど目を見開いただけだった。決して礼を欠かさないようにするあたりが井口らしく、しかしその表情に心中がストレートにあらわれる。炎のごとき気合が、そこに立ち込める。

 石野貴之も怖いほどの顔つきだった。1R発売中、石野は試運転で水面を走っている。準優組では唯一、水面にいたのが石野だ。その直後の石野は、明らかに思索を深めていた。目は前方を向きながらも、おそらく視界に入るものは意識にまでは届いていないだろう。試運転で得た手応えをもとにどう調整を進めるか。そのことで脳内はいっぱいになっていたはずだ。

 そういった表情群を立て続けに見たので、緊張感がより強まっているように思えたのか。だいたい暮れに近づくにつれてピリピリしたムードが増してくるもので、ダービー準優というものはこういうものだ、ということもできる。それにしても、と思う。もちろん、こうした空気、僕はむしろ大好物である。取材時の緊張感も相当ですけどね。

 

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 全体的に言って、動き出し自体はそれほど早くないように思う。吉田拡郎が昨日に続いて(ピストン交換してましたね)本体整備をしていたのがもっとも目立つ大きな動きで、先述の池田、今村豊がギアケース調整。菊地孝平がペラを手に調整室に入っていくのも見たっけ。森高一真は装着を入念に行なったあとに、やっぱりペラへ。昨日の“本紙予想”=本体整備は不的中ですかな。

 

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 そのほかの選手については、おおむねエンジン吊りで姿を見かける、というパターンであった。エンジン吊りには多くの選手が集まるので、油断すると見逃すこともあるわけだが、実際に湯川浩司の姿を一回も見ないままこの記事を書き始めている。不覚だ。

 先の井口、吉川元浩あたりはまだケブラーズボン&シューズも着用していなかったな。急ぎの調整がない証しで、動き出しは明らかにこれからということだろう。

 

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 そうしたなかで、笑顔が目立った選手を二人あげておく。茅原悠紀と深川真二だ。茅原はエンジン吊りも元気いっぱいで動き回っており、なんともハツラツとしたムードである。深川は、1Rの中尾誠、2Rの峰竜太に爽快な笑顔を向けて、エンジン吊り後には楽しそうに談笑しながら控室へと消えて行っている。ピリピリ感を強く覚えただけに、この二人は逆に印象に残りました。

 

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 あ、あと平尾崇典の淡々とした風情も付け加えておきたい。普段から物静かなたたずまいで、動き自体もそれほど目立たない平尾は、つまり常に恬淡としているわけである。準優好枠の今日も同様。2年前のチャレカ、思い出したなあ……。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)