BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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常滑ダービー準優ダイジェスト

快速逃走

 

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10R 進入順

①茅原悠紀(岡山)11

④石川真二(福岡)14

②井口佳典(三重)15

⑤吉川元浩(兵庫)20

③山田康二(佐賀)15

⑥森高一真(香川)15

 

 進入がややもつれても慌てず騒がず、茅原が絶品のトップスタートで鮮やかに逃げきった。ヤングダービーはF休みで素通りしたが、やまと世代では一枚上手の地力があることを、このダービーで証明して見せた。とりわけ、この若者の最大の魅力といえば、心臓に剛毛が生えているところだな。面構えにも水面のレースにも、「ナニクソ!」の負けん気が漲っている。

 

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エンジンの仕上がりも、もはや完調の域に達した。今日の勝ちタイム1分45秒8は、今節のトップ時計を一気に0・5秒縮めるシリーズレコードだ。鬼に金棒の最高のコンディションで、明日も怯むことなくインモンスターに立ち向かっていくだろう。

 

 

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 2着には3コースからまくり差した井口。一瞬、ズッポリ入りそうにも見えたが、茅原の強力なレース足がそれを許さなかった。それでも、トータルパワーはやはりトップ級だ。2マーク、3番手の石川が井口の進路を遮断するような老獪な切り返しで迫ったが、この奇襲を全速の握りマイで鮮やかに切り抜けた。エンジンに自信がなければ、差すか握るか迷って2着を取りこぼしたかも知れない。今節の井口は自信に満ち溢れている。そして、パワーに自信があるときの井口は、半端なく強い。

 

韋駄天差し

 

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11R 進入順

①池田浩二(愛知)12

②深川真二(佐賀)19

③菊地孝平(静岡)13

⑤前本泰和(広島)15

⑥今村 豊(山口)14

④吉田拡郎(岡山)07

 

 池田浩二のスタートに、微塵の油断もミスもなかった。誤算があったとすれば、2コース深川がやや凹んだことか。そのわずかな隙を、今年絶好調のミスタースリット・菊地孝平が逃さなかった。

 

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スリットからぐいぐい伸びて美味しいマイシロを作り、スピードを落とすことなくまくり差しのハンドルを突き刺した。この完璧な攻撃を防ぎきるには、池田のレース足はやや心もとなかった。むしろ、後方から押し寄せる今村や前本の追撃に手を焼いた。

 

 

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 2マーク、艇を合わせて攻めてきたミスター今村とわずかに接触したときは、「池田、万事休すか!?」と思わせたものだが、そこから立て直して2着を確保したのはさすがのコージである。もちろん、優勝戦の面々と比べても、現時点での池田のパワーははっきり劣勢だ。たとえ4カドだったとして、自力で攻めきるのは難しいだろう。ただ、池田の内に飛びっきりの韋駄天がいることは心強い。今日、その韋駄天に敗れて③菊地④池田になったことが、本番では逆に幸いする可能性も低くはない。

 

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 菊地は、やはりよく伸びる。それでいて回り足もしっかりしていて、井口に似たタイプに仕上がっている。本人も昨日のインタビューで「井口さんにかなり近づいてきた」と語っており、明日も自慢の伸び足を120%生かす戦法に徹するだろう。まくりか、まくり差しか。まくりなら池田にも大きなチャンスが生まれ、まくり差しなら池田にとって厳しい展開になる。明日のレースを左右するキーマンは、伸びる菊地と井口だと思っている。

 

ファイナルカウントダウン

 

 

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12R

①仲口博崇(愛知)07

②平尾崇典(岡山)06

③瓜生正義(福岡)10

④三角哲男(東京)05

⑤湯川浩司(大阪)09

⑥石野貴之(大阪)06

 

 踊る、踊る。光り輝くガラスの靴が、今日も常滑の水面を美しく舞い踊った。仲口、インから圧勝。唯一の不安と見ていたスタートも、コンマ07という素晴らしいタイミングで克服した。昨日も書いたが、このスタートで負ける1号艇ではない。2コース平尾の差しは絶品だった。内懐に突き刺さっても不思議じゃない差しだったが、ターンの出口で2艇身突き放していた。あとは、ひとり旅。スタートといい1マークといい、明日に向けての最高のリハーサルだった。

 

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 ただ、明日は適材適所に最大レベルの難敵が据えられた感もある。2号艇はレース足抜群でターンスピードが速い茅原、3号艇は完璧な予行演習を終えた菊地、4号艇は艇界でいちばん状況判断の早い池田、5号艇は伸びを信じて無欲でぶん回すであろう井口……主役を張れる役者たちが、個性を十二分に発揮できるキャストを得た。さすがの仲口1号機であっても、「スリット同体なら99%勝てる」とは断言できない番組だな。

 

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 だが、この素晴らしい面々を蹴散らしてこそ、SG初Vに相応しい勝利だと私は思う。15年ほど前、「韋駄天」の名をほしいままにしていたのが仲口だった。いくつかの場のレコードを塗り替え、今もこの常滑でもっとも速いレーサーとして名を刻む男なのである。単純に「1号機だから優勝できた」ではなく、韋駄天レーサーと韋駄天パワーが核融合して最強の難敵たちを打ち負かした。胸を張ってそう言い切れる(私たちもそう心に刻む)優勝戦カードだと思う。逃げきることさえできれば。泣いても笑っても、あと1戦。『無冠の帝王のバトンタッチ』のシナリオ完成まで、あと22時間。嗚呼、仲口は今晩、安眠できるかしらん??

 

 

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 2着は平尾。先に書いたように、今日の2コース差しは実に鮮やかだった。相手が相手ならズブズブに突き刺さっていただろう。あれだけの回り足があって、しかも伸びもトップレベル。平尾の足も盤石だ。ただ、これだけ役者が絶妙に配置されてしまうと、6コースでの優勝は厳しすぎる、とも思う。井口のまくりに乗っての全速差しで、2、3着のヒモ穴までか……自力での優勝を狙うなら、何らかの“奇策”が必要だろう。後輩の茅原を弾き飛ばすような前付けとか??(笑)

(photos/シギー中尾、text/畠山)

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