BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――勝負駆けがてんこ盛り!

 

 

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 いやはや、目が回る。まず整備室の外からペラ室を覗き込んで、いつもの位置に濱野谷憲吾がいることを確認する。タイミング的には、朝のスタート特訓が行なわれていて、優出メンバーも濱野谷以外は水面に出ていた。そうかあ、濱野谷はひたすらペラ、かあ。

 

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 とぼんやり眺めていたら、その手前に向井美鈴がいることに気づく。そうだ、向井だって優出メンバーじゃないか。しかも、濱野谷と同様に勝負駆け。逆転クイクラ行きを懸けた戦いに臨む一人だ。うーん、ちょっとカタいかなあ。特に作業をしている様子はなく、出走表をきれいに折り畳んでいるところだったが、緊張感が少し伝わってくる表情だった。

 

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 ふと装着場に目を向けたら、石野貴之が鬼の形相で歩いてきた。おはようございます。そう声をかけると、鋭い目をこちらに向けながら小さく会釈を返す。そうだよ、この人だって勝負駆けではないか。優出は逃したが、今日の2走でベスト18入りの可能性はおおいにある。2Rに6号艇で出走だから、もうレースは迫っている。そりゃあ、強烈な顔つきにもなるよなあ。

 

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 おっと、装着場には田村隆信がいる。そうだ、田村だって勝負駆けじゃないか! しかもただ一人、一般戦のみを戦う。しかも6号艇。厳しい枠順だが、田村なら何かをやってくれる!

 とまあ、今日はあちこちに優出メンバーや勝負駆けの選手がおり、目が回っちゃうのである。田村とは話をすることができて、6Rの1走の大事さを重々承知していた。「開会式で苦しんで帰りますなんて言わなきゃよかったですね。別の意味で苦しむことになっちゃった(笑)」。4日目のFは本当に痛い。あれがなければ田村も準優に乗っただろうし、優勝戦か選抜戦で勝負駆けに臨めた。枠番だってもっと内になれたかもしれない。だが、だからこそ田村は闘志を燃やしている。とりあえずチルト3度は「やるわけないでしょう」と笑ったが、いつもどおりありとあらゆる戦略を駆使して、勝負に臨む心づもりだ。

 

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 で、勝負駆けが特に関係ない優出メンバーは気合が入っていないのかといえば、言うまでもなく、そんなことはない。茅原悠紀は懸命なペラ調整をしていたし、菊地孝平の視線も鋭い。菊地は賞金ランク1位でグランプリに臨むことが決まっているが、それが優勝を狙うモチベーションを下げることにはならないのだ。

 

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 井口佳典は、賞金ランク6位以内という勝負駆けではあり、やはり表情は尖っている。大一番を前にした井口らしく、眉間にシワを寄せているような顔つきになっているのだ。そして、太田和美は1号艇で優勝戦に乗れたというチャンスを、絶対に活かしたい。肩に力が入っている様子がないのはさすがだと思ったが、しかしいい緊張感があるのか、視線の鋭さは優勝戦の朝らしいものだった。

 

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 レディースでは、やっぱり平山智加のたたずまいは女子のなかでは抜けているなあ。今朝は完全に雰囲気が変わった。大勝負モードの平山智加だ。これ、レディチャンの優勝戦でも書いたような気がするなあ。スイッチの入った平山は、女子のなかでは突出した存在となる。昨日までスイッチが入っていなかったというわけではなく、大きな勝負を前にした平山は、強烈なオーラを身にまとうのである。

 

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 1号艇となった岸恵子は、ひとまず朝の時点では緊張にまみれているようには見えなかった。どうなんだろう、プレミアムGⅠであるレディチャンやクイクラと、GⅡであるレディチャレカとは何か違うものがあるんでしょうか。もっとも、岸はなぜかレディチャンで予選突破の経験がない。その分、1号艇が大きな重圧になるのか、それとも未知だからこそのリラックスモードになれるのかは、朝の岸を見る限りはよくわからなかった。

 

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 あと、守屋美穂が勝負駆けだが、それほどカタいようには見えなかった。もちろんレース前になれば緊張感も高まるだろうが、逆転クイクラ行きにガチガチになるようには思えない雰囲気だぞ。この人、メンタルが強いと思えるのだが、どうか。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)