BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@シリーズ――新たな歴史が始まった

 

 

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 オープニングウィナーは篠崎元志!

 新生グランプリの幕開けを華々しく飾ったのは、まさにそれにふさわしいスターだった。

 と言いたいところだが、篠崎自身は11Rか12R、あるいは3日目から登場したかったわけで、それを期待した人も多かっただろう。それだけに、元志の思いはやや複雑か? まあともあれ、新たなるグランプリの歴史は、篠崎から始まったということにしておこう。

 レース後の篠崎は、顔を思い切りしかめている。といっても、ネガティブ方面の表情ではなく、強烈な安堵を表現したという感じだった。初日1Rの1号艇にはそれなりにプレッシャーがかかる。その責任を果たしたことへの安堵もあっただろう。

 また、着替えを終えてすぐにギアケースを外し、整備室に駆け込んだように、足への不安もあったはずである。初日1R出走選手は、すべての出場選手のなかでもっとも調整時間が短いままレースに臨む選手たちなのだ。そこで1号艇、まして外が利くと言われている平和島。決して簡単なイン逃げではなかったと思う。

 調整に走った篠崎が、どう足色を底上げして、彼らしい華やかさをグランプリ(シリーズ)に添えてくれるか。まずはそこに注目してみたい。

 

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 元志のように、何としても18名に、という選手もシリーズ組には少なくないだろうが、黒井達矢の場合はどうだろう。もちろん目標にする舞台であるのは言うまでもないが、今年の現実的な目標だったかといえば、微妙なところだ。それよりも、SGの舞台に立てたことが黒井にとってはデカい。今後何度も踏むであろうこのステージの、今日が出発点である。というわけで、やはり黒井の必死な雰囲気は、たとえばヤングダービー時の比ではないのであった。

 なにしろ、めちゃくちゃ好青年の黒井が、まったく余裕のない表情を見せて、むしろ他を寄せ付けないような空気を出しているのだ。まあ、2R出走ということで、その焦りもあったことだろうが、SGに何としてもしがみついてやるのだという決意があらわれているものでもあって、それはむしろ好感が持てるものであった。

 

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 そう考えると、一度でも経験した者の強み、というものがあるのだろうか。深谷知博は、黒井に比べて、あるいは初出場だったダービーに比べて、ずいぶんと余裕があるように見える。SGのピットにいることの違和感もまるでないし、落ち着いて自分の行動をしているのだ。そうか、彼の場合は先月に浜名湖周年を制した自信も大きいか。若者はこうして、どんどんとスキルや経験値を上げていくのだろうな。

 もっとも、深谷にしても、最高峰の舞台というのは初めて体験するものだ。自分が走るのはシリーズでも、そこにベスト18はいるのだし、そのなかには同支部の先輩もいる。このヒリヒリ感を経験することで、深谷はさらに強くなるんだろうなあ、と思った次第である。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)