BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@シリーズ――たくましくあれ!

 

 

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 まずはやっぱり平本真之だ。予選トップ通過! SG初制覇をぐっと引き寄せる、今日の逃げ切りだった。

 足はいいだろう、と平本は言う。今日は田中信一郎のまくりを、豪快な全速戦でしのぎ切った。「差されてもおかしくない展開だったけど、差されてませんからね」。なるほど。まくりに抵抗して交わさせず、しかし差し勢の台頭を許さず前に進んでいる。インコースとしては、理想的な足色だろう。

 それよりも、気になるのはメンタルである。思い出さずにはいられない、11年児島グラチャン。予選トップではなかったが、優勝戦では1号艇。その日は朝から明らかに様子がおかしく、大きな重圧につぶされそうになっていた。いや、プレッシャーに負けたというべきか。スタートで後手を踏んでの大敗は、足や腕の問題ではなく、気持ちの問題と思えた。

「あのグラチャンがありますからね。いちど経験しているから、もう大丈夫でしょう」

 それを、平本のほうから口にしてきたから驚いた。つまり、もう克服しているのだ。たしかに、シリーズの主役として報道陣に囲まれているときも、まったくの自然体だった。あれから3年半、悔しくてたまらない経験を糧にし、また多くの経験も積み、平本はたくましくなったのである。

 そうは言っても、明日、明後日には緊張感からは逃れられないだろう。緊張しないほうがおかしい状況なのだから。だが、今の平本なら大丈夫、と思わせるものが彼にはある。「どれだけ活躍しても、主役にはなれませんからね。やっぱりグランプリに出ないと」とさらに前を向く平本に、ここで震えてしまうようなメンタリティはすでにないと確信する。

 

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 その平本に、「俺、ダメだったよ~」と笑ったのが、篠崎元志である。ダメって、余裕で予選突破でしょ。と思ったら、元志の言葉は続いた。「4位だったよ~。3位は瓜生さん」。つまり、「1号艇はダメだったよ~」ということなんですね。平本と何か約束でもしていたのだろうか。

 もちろん、シリーズならば準優1号艇をノルマにする、というレベルの選手である。そのうえで、平本の活躍に刺激を受けたということだろうか。いずれにしても、元志の表情はなんとも自然で、それだけに巨大な大物感を見たような思いになったわけである。

 瓜生のイン戦はなかなか強敵だから、2着確保で優出したとする。平本は明日、逃げ切る。その場合、1号艇vs4号艇の優勝戦になる可能性も! 見せてくれ、同期のガチンコバトル。実現したら、グランプリにも匹敵するシリーズ優勝戦にもなるだろう。

 

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 あと気になったのは、馬場貴也である。今節は馬場と山崎智也の絡みをよく見かけている。どうやら、智也が馬場にペラの情報を聞いているようなのだ。グランプリスターにアドバイス! 智也は1億円獲ったら、馬場にちゃんと奢るように(笑)。

 もちろん、明日は馬場自身、大勝負である。6号艇ながら準優出。第一関門をクリアし、厳しい戦いになることが予想はされるが、SG初優出を狙う権利を手にしたのである。馬場といえば、日本最速タイムのスピード野郎。しかし、そろそろそれ以外の評価も欲しいところだろう。大外から何を魅せてくれるのか、馬場らしいレースに期待しよう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)