新記録へ王手!
8R 進入順
①瓜生正義(福岡)13
②篠崎元志(福岡)20
⑤金子良昭(静岡)14
③今村 豊(山口)15
④山本寛久(岡山)14
⑥馬場貴也(滋賀)16
グランプリ争いから“降格”したときのシリーズ順位は16位。そこから3位まで浮上した瓜生正義が、格の違いを見せつけた。影も踏ませぬイン逃げ決着。徐々に仕上げた足も、やはりシリーズでは格上に見えた。スリット付近の行き足が強く、さらにしっかり伸びるのでイン戦には持ってこいのパワーだ。
2着は、すでにシリーズ戦のタイトルをゲットしている篠崎元志。スタートでは後手を踏んだものの、スピードの違いで楽々2番手を獲りきってしまった。激痛のFで長いこと地べたを這ってきた元志。いざ復帰してみれば、当たり前のようにSG優出を決めてしまった。その勝負強さは、去年よりさらに磨きがかかった気がするなぁ。ただ、正味の足は中堅レベルか。天性のスピードと勝負強さでここまで到達したが、シリーズの頂点に立つにはやや頼りない足色ではある。
1着・瓜生、2着・篠崎。
バック中間で最初の2議席が決まってしまう、平穏な準優だった。この時点で瓜生の1~3号艇が約束されたわけだが、10Rまで終わってみれば……明日も同じ白いカポックで、8回目のSGタイトル&6年連続SG制覇の新記録に挑むことになった。流れは完全に瓜生のものだ。
首皮1枚の幸運
9R
①坪井康晴(静岡) F+02
②吉川元浩(兵庫) F+02
③濱野谷憲吾(東京)01
④鎌田 義(兵庫) F+02
⑤辻 栄蔵(広島) 01
⑥平田忠則(福岡) 05
大惨事だ。今節、連日のように「静岡フィーバー」を謳ってきたが、その主役とも言うべき坪井康晴がよもやのフライング。節イチの評判高いモーターが、今日はさらに噴き過ぎたに違いない。展示時計の6秒49は、グランプリ組でもトップ級の破格の数字だった。
さらに、2コースの吉川元浩、4コースの鎌田義も釣られるように禁断の一線を越えていた。3艇もの集団F。そんな中、濱野谷憲吾と辻栄蔵がコンマ01で残したのは、施行者にとってもファンにとっても不幸中の幸いだった。このふたりもハミ出していたら、レース不成立という最悪の事態だったのだから。
そして、勝ったのは憲吾でも辻でもなく、冷静にコンマ05でスリットを通過した平田忠則だった。決まり手は「恵まれ」だが、6コースから見事に展開を突いて坪井に次ぐ2番手を獲りきっていた。つまり、文句の付けようのない自力での優出だ。
そういう意味では、いちばんラッキーだったのは憲吾だな。コンマ01で生き残り、しかも道中3番手のはずが「恵まれ」で2着に。もちろん、これだって自力と呼ぶべきなのだが、あえての運を強調しておきたい。そう、艇王・植木がFに散った平和島のあの総理杯でも、憲吾はコンマ00のタッチSで優勝しているのだ。今年も、その強運を勢いに換えて、シリーズの頂点を目指してもらいたい。たとえ6号艇でも、我が庭の平和島なら十分にそのチャンスはある。
モンスターの片鱗
10R
①平本真之(愛知) 19
②田中信一郎(大阪)16
③桐生順平(埼玉) 12
④服部幸男(静岡) 08
⑤守田俊介(滋賀) 06
⑥徳増秀樹(静岡) 17
桐生順平70号機が、やっと怪物の片鱗を見せた。スリットからじわじわ伸びて、えぐるような一閃のまくり差し。ただ、この勝利には桐生のターンスピードというオプションも加味されている。先月までの70号機なら、このスリット隊形と桐生のスピードを持ってすれば、一撃でまくりきっていただろう。
この勝利で、瓜生の1号艇に次ぐ2号艇が与えられた。前述したように、瓜生も行き足~伸びがゴキゲンなので、スリット同体では太刀打ちできないかも知れない。だが、今日の桐生は起こしのタイミングを間違え、スリットの50mほど手前で上体を直立させて極端にアジャストしている。スリット全速なら、どこまで伸びたか。それが明日の脳内レース=予想を組み立てる上で、もっとも大きなファクターになるだろう。
「70号機の2号艇」と言えば、鮮明に思い出すのが10月24日の我等がBOATBoyカップ優勝戦だ。まさしくモンスター級に伸びまくる松田大志郎70号機に対して、1号艇の田頭実はスタート勝負で対抗した。大志郎のコンマ09を上回るコンマ05! だがしかし、大志郎70号機は1マークまでにぐんぐん伸びて、一撃の強ツケマイで田頭を引き波にハメたのである。明日の桐生も、とにかくスリット全速だけを念頭に入れて大敵・瓜生に立ち向かってほしい。それで逃げられたのなら、私はじめ平和島のファンはしっかりと負けを認めるだろう。
「明日も70号機を応援してください」
桐生らしいウイットに富んだ勝利者インタビューだったが、マジで70号機を応援するファンのために全速でスリットを通過してもらいたい。
2着は予選トップだった平本真之。今日ははっきりスタート負けの印象があり、70号機に屈した負け方ではなかった。桐生も「平本さんと同じくらい」と公言しており、明日の4号艇はかなり不気味な存在だ。平本ファンは今日の敗戦を「ケチが付いた」ではなく「これで配当が上がった」と前向きに捉え、明日の4カド一撃に夢を託してもらいたい。私の“夢”はまったく違うのだけれど。はい、どんな夢かは、バレバレですわなぁ。(photos/シギー中尾、text/畠山)