BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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シリーズ優勝戦 私的回顧

 

生え抜きの意地

 

11R 進入順

①瓜生正義(福岡) 13

②桐生順平(埼玉) 19

⑥濱野谷憲吾(東京)18

③平田忠則(福岡) 19

④平本真之(愛知) 10

⑤篠崎元志(福岡) 15

 

 瓜生正義の6年連続SG制覇の新記録も、私が期待し続けた桐生順平70号機も、平本真之の5カド絞りまくりに蹴散らされた。

 

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 まず、レースを揺さぶったのは地元のエース濱野谷憲吾だ。「動くか動かないかは気分次第」と言っていたが、今日は「動く気分」だったわけだ。憲吾にしては、かなり激しく動いて3コースを奪う。当然、内3艇は深くなる。憲吾を入れて4コースを選んだ平田忠則は、内の3艇よりかなり楽なスロー起こし。

「平田の先攻めもあるか」

 

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 と思ったものだが、5カド平本の攻めが実に獰猛だった。内4艇の舳先を軽くポポポーーンと爪弾くようにして、一気に締めた。インの瓜生だけが、身体を預けるようにして抵抗した。この飛びつきには「福岡ライン」の意識が働いたかもしれない。自分がダメでも、平本を潰しておけば平田と篠崎元志にも少なからぬ勝機が生まれるのだ。瓜生のブロックはいつになく執拗だったが、平本のスピード旋回がギリギリの間合いでこれを交わした。激烈な締めまくり。トライアル組の瓜生&桐生に対し、「シリーズの真のリーダーは俺だ!」と罵倒するような猛攻撃だった。

 

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 こうしてボート界初の「トライアル組VSシリーズ組」のV抗争は、生え抜きとも呼ぶべきシリーズ組に凱歌が上がったわけだ。いきなり来日したバースを、山本昌が三振に仕留めた、みたいな。違うか。でも、シリーズ組のトップ選手が「トライアルから下りてきた選手には負けたくない」みたいな感情が起きても不思議じゃないと思うぞ。来年以降も、この“抗争”はちょっとした楽しみになりそうだな。

 

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 BOATBoyで知られる加藤師範代の口癖に「シリーズリーダーが準優2着で優勝戦4号艇になったら、嫁を質に入れてでも狙え!」がある。予選トップになるほどパワーがあって、しかもリーダーの意地もあるし準優で負けたという悔しさもある。だから、普通の4号艇よりはるかに信頼できるし、まくりに行く可能性も高いという理論だ。今日はその加藤理論がモノ見事にはまった優勝戦だった。

 平本クン、優勝おめでとう! 節間を通じて軽視し続けてきて、すいません。その愛くるしい笑顔と親しみやすい性格、密かに大好きです!!

 

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 と言いつつ、やっぱり最後に一言だけ愚痴を言わせてもらおう。

 今日、間違いなく今節でいちばんの気配だった70号機の、凄まじい行き足を見たかったーー!! はい、ほとんどビョーキですな。(photos/シギー中尾、text/畠山)