BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@シリーズ――巨人!

 

 

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 谷川里江は凄いなあ、と思うのである。女子王座を制したのは20年前、しかし今も女子一線級をキープしている。昨日のドリーム戦で見せてくれたように、ここ一番では強攻を見せる。今日の11Rのように、外枠なら前付けも見せる。強いし、面白いレースを名人世代に手が届くようになっても見せてくれるのだから、素敵すぎるのである。

 ピットでのたたずまいは、飄々である。穏やかに笑っていることもあれば、淡々と仕事に向かっていることもある。決して肩に力は入っておらず、常に自然体の印象。それでいて、開会式で「来年はクライマックスに出たい」と言ったように、上の舞台への執念も抱いている。まさに、小さな巨人である。

 そう、谷川は小さい。プロフィールによると、身長143cm。おそらく樋口由加里とならんでもっとも小兵な選手であろう。今日、ピットを歩いていたら、後ろから選手に追い抜かれた。谷川だった。年齢でいえば、谷川のほうがひとつ上。身長でいえば、谷川のほうが30cm低い。そんな谷川に追い抜かれてショック……というか、さらに谷川は凄いなあと思った次第なのである。ちなみに、体重でいえば、谷川は半分以下である。そりゃあ、谷川のほうが歩くのが早くても当然か。

 

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 岩崎芳美も凄いのである。岩崎といえば、レースぶりは豪快。攻撃性に富んでいる。基本戦略はまくり。どちらかといえば、激しいのである。

 しかし、その人柄は実に柔らかい。そして優しい。一昨年にJLCの番組でご一緒したときのこと。仲の良い中里優子が数年ぶりに優勝したVTRを見ながら号泣する姿に、人に対する優しさをおおいに感じた次第だ。

 今日は11Rで2着。ただし、1号艇での2着だから、満足感は薄いだろうし、むしろ苛立ちがあってもおかしくはない。いや、内心はそんな思いもあっただろう。ピットに戻ってきたときには、複雑な表情をしていたものだ。

 それなのに、岩崎は自分にレンズを向けるカメラマンに、こくんと会釈を返しているのである。本当は写されたくないかもしれない。そうでなくとも、レンズの前は素通りするのが普通なのである。岩崎、いい人すぎるよ~。というわけで、ますます応援したくなった次第なのでありました。

 

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 さて、心からの笑顔を思い切り弾けさせていたのは、津田裕絵である。今日は連勝! 初めて味わう巨大な注目のなかで行なわれる一節。こんなにも報道陣やカメラマンがピットに集結しているのは初めて見たはずである。昨日は売上が11億円超。オールレディースと考えれば、驚異的な売上である。全国のファンが住之江に熱視線を送っているのだ。そんななかで連勝! 今日もっとも目立ったのは、そして全国にその名をとどろかせたのは、津田裕絵で間違いないだろう。

 快勝2連発に、津田の表情が夏の太陽に明るくならなければおかしい。仲間の祝福を受けて笑う津田は、青空のように爽快だった。輝いていた。明日は内枠デー。さらに輝ける可能性がある。明日からはトライアルが始まり、住之江はもう一段階、注目が大きくなる。津田裕絵ここにあり、をさらに全国に知らしめるのだ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)