BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@クライマックス――グレートマザーがゴキゲン!

 

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 トライアル組のスタート練習とタイム測定は、8R発売中と9R発売中に行なわれている。8Rが明日の11R組、9Rが明日の12R組。前検

というのは、このスタ練&タイム測定が終われば、全員がボートを上げて、その後は水面に戻ることができない。試運転はその前に終わらせていなければならず、だから前検日は慌ただしい空気となるのである。

 例外は、コレだ。グランプリは今年からシステムが変わったので通常の前検と同様の流れになったので、クイーンズクライマックスのみが例外となった。スタ練&タイム測定後も試運転を行なうことができるのだ。

 11R組の6名がスタ練とタイム測定を終え、1~5号艇はボートをリフトに運んで陸に上がる中、6号艇の小野生奈がすーっとボートを係留所に移した。生奈はまだまだ走るつもりだ! これは例外というより、むしろベスト12の特権と言うべきか。生奈はさらに試運転を重ね、明日に万全の態勢を作り上げようと画策するのである。

 

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 12R組のタイム測定が終わったとき、渡辺千草が控室前にいた。リフトははるか100数十mも先。こんなところにいていいの? いいのである。千草さんを見て、永井聖美もまたその後に試運転を行なうつもりなのだろうとピンと来た。永井は現在は東京支部。千草さんがエンジン吊りに行こうとしないということは、そういうことだろう。

 案の定、永井はリフトには乗らず、係留所へと向かっている。その後、最後まで延々と試運転を続けていたのが、この永井だった。今日はベスト12は全員が共同会見に臨む。僕も会見場にへばりついて12人の言葉を聞き、表情を見た。全員が終わったのが11R発売中。ピットに出ると永井が一人だけ、水面を駆けているのが目に飛び込んだ。係留所を見渡すと、すでにボートはない。つまり、永井がラストだ。静かな静かな水面を、永井は何周も何周も走った。永井が一人走る姿といえば、第1回大村のトライアル初戦後を思い出す。向井美鈴の途中帰郷で永井が繰り上がり、一人だけの前検を行なったときだ。あのときは、すでに勝ち上がりの権利がないなかで、トライアルの前検を行なわねばならなかった。むなしい前検だった。しかし今日は違う。今度こそティアラ争奪戦に加わるための、長い長い試運転である。あの日の思いを改めてゴミ箱に捨て去るために、まずは初戦、この試運転を活かす戦いを見せてほしい。

 

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 永井が最後まで試運転を続けていた、と強調すると、他のトライアル組はさっさと作業をやめたかのように思われるかもしれないが、そうではない。トライアル組は全員が、帰宿バスの第1便には乗らず、最後までピットに残っておのおのの調整作業を続けていた。

 守屋美穂は、早くも本体を割っていたぞ。会見では「リング交換」と言った。整備士さんと相談して、この作業を決めたようだ。それにしても、前検の段階で部品交換ですか! これは実はなかなか珍しい行動だ。今日はスタ練&タイム測定後に試運転が可能だったように、トライアル組には普段よりも長い時間が与えられていた。それもあって、さっそく動いたと見ていいだろう。その感触を、明日の朝から確かめることとなる。思い通りの気配を引き出せているだろうか。

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 あとは、整備室で姿を見たのが、岸恵子、水口由紀。水口は、感触がかなり悪かったようで、こちらも整備をしていた可能性がある。平高奈菜も整備室で見たが、作業は不明だった。その他の選手はペラ室で姿を見ており、三浦永理がかなり真剣な目つきでペラを見つめていたのが印象的だ。

 

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 そんななかで、とにかく雰囲気がいいのは日高逸子! 会見では笑みがこぼれっぱなしだったし、どこか浮かれたようにすら見えるのである。

 第1回、第2回での日高は、連日苦労していた。動きの悪いモーターに、ひたすら整備の手を入れていたのだ。だから、その姿には悲壮感のようなものが感じられていた。ピリピリしていた、のである。

 それとはもう、正反対ですね! 水面での足色を見ずともわかります。今回は手応え絶好、なのでしょう。3回目にして初めて、心強い相棒とともに戦える今回。日高の胸には期待感しかないかもしれない。ちなみに、今日のスタート練習では、2本目で3カドをやっている(枠なりでした)。最近流行りの3カド作戦、芦屋のオールレディースでは準優で日高もやっている。会見で問われて「企業秘密です(笑)」と口を濁した日高(寺田千恵と海野ゆかりは「日高さんを3カドにさせないように」ともコメントしている)。快調モーターを手に、明日は何を見せてくれるだろうか。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)