BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――追っかけろ!

 

 

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 今節、とにかく楽しみなのである。SG初出場の松田大志郎と西川昌希。僕も畠山も昨年から一貫してそのレースぶりに拍手を送り、肩入れしてきた大好物の若手である。その二人が揃ってSGの舞台に初めて登場するのだから、嬉しすぎる。

「いつも贔屓目に扱っていただいてしまって、本当にありがとうございます」

 松田大志郎はそんなふうに謙虚に言うのだけれど、二人に共通する気迫満点かつ獰猛なまくり攻撃、西川の場合は前付けも辞さない果敢なコース獲りは、その将来性はもちろん、大舞台を盛り上げてくれる存在として、おおいに期待できるものなのだ。

 もちろん、この尼崎で大活躍してくれることがいちばんの楽しみ。そして、強大な先輩にどこまで二人の真っ向勝負が通用するのか、あるいは壁の高さを痛感させられるのかも楽しみ。ここでの経験がさらに彼らを“面白い”レーサーに成長させるはずだからだ。

 皆さんもぜひ、この若者に注目!

 

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 ボートレースを長く見続けるというのは、こうした「若者の成長」を追いかける楽しみを味わうことでもある。松田と西川のSG初出場を目撃した今、その楽しみはさらに何年も向こうまで約束されている。彼らがSGに来るたびに、それを実感できるはずだからだ。

「最初にドリームのことを知ったときは、さすがにビビりました」

 明日のドリーム戦で、「SG初ドリーム」を味わうのは平本真之。彼のSG初出場も、もちろん見ている。10年メモリアルだ。いきなり優出したんだよな~。11年グラチャンの優勝戦1号艇での失敗も見た。もちろん昨年のグランプリシリーズ優勝も。平本が、ついにSGドリーム戦に出るのかぁ~。「ビビりました」と苦笑いする平本を見ながら、なんとも感慨深かった。SG制覇もひとつのゴール地点ではあろうが、誰もが経験できるわけではないSGドリーム出場もひとつの到達点。上からの物言いで平本には恐縮だが、「平本、強くなったなあ」なんてしみじみしてしまうのである。

 

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 ちなみに、松井繁はドリーム戦6号艇を「ありがたいですね。誰が見ても、ありがたいでしょう」と言った。意味はおわかりですよね。SGの予選は1号艇が回ってこない4選手を除いて全員に公平に与えられる。もちろんもっとも不利な枠で、もっとも6着=1点の可能性が高い枠番だ。だが、ドリームでは6着でも5点。ほぼ3着の得点である。そこで回ってくる6号艇は、たしかにいちばん幸運な6号艇ではある。まして、松井のドリーム戦と言ったら1号艇が多いもんなあ。相手が予選のなかでもっとも濃いメンバーで、勝っても2点しか点増しがない1号艇は、たしかにお得感は薄い。そりゃあドリーム1号艇は名誉ではあろうが、ポイント争いを考えたら決して有利ではないですよね。王者はそんな状況を勝ち抜いてきたわけで、だからこそ「6号艇はありがたい」と笑えるわけである。平本もその境地にいつか達してください!

 

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 話がやや逸れたが、SG初出場から見続けたというなら、峰竜太も思い入れの深い一人。SG以外も含めて、失敗に落ち込み、時に悔し涙を流す姿を山ほど見たからなあ。SGデビューから4年ちょいでSG未制覇は別にぜんぜん遅いとは言えないが、すでにSG7優出で未制覇と考えれば、たしかに「まだ獲ってない」感は高まろうというもの。白井英治や仲口博崇の感動をそろそろ、と考えるのは自然というものだ。

 で、試運転から上がってきた峰が、こちらを見つけるや顔をぱーっと明るくしてサムアップ! さらに親指と人差し指でOKマークだ。

「伸びる! SGでは久しぶりにいいエンジンですよ!」

 やや上気しつつ、そう言った。今回がチャンスか!? 峰竜太ファンは嬉し涙にもらい泣きする瞬間を期待しつつ、今節を追っかけてください。

 

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 そう考えると、もし西山昇一を若手の頃から追いかけてきたとするなら、今の西山には感慨ひとしおではなかろうか。ほんと、今が選手生活のピークなのでは、と思えるくらい強いのだ、西山昇一は。

 昨年一昨年とダービー2年連続出場がまず凄い。一昨年は年間19優出0Vだったが、昨年は16優出5V。むしろ決め手が強烈になっている。これまでGⅠタイトルにも縁がなかった男が、マスターズデビューから4~5年も経って、こうしてSGに堂々と名を連ねるようになっているのだ。しかも、今節はエース機! モーターを受け取った後、一番乗りで水面に降りていくハツラツとした西山を見ていると、心から感服せざるをえないのである。

 昨年は今村豊がSG最年長優勝記録更新の話題を艇界に振り撒いた。残念ながら持ち越しとなっているが、今年も優出すればその話題になるのは間違いない。しかし、西山のほうが期は下だけど年齢は上ですからね! つまり、西山にもその記録更新の権利はあるのである。もし今年のこのあとのSGで今村が優勝しても及ばない記録を打ち立てる可能性があるのだ。そんなシーンも夢見つつ、今年最初のSGを満喫することにしよう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)