BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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尼崎クラシックTOPICS

 

尼崎インプール

 

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 インコース10勝、2着2本……今年のSG開幕戦は、白いカポックが圧倒的な強さを誇示した。かろうじてパーフェクト12連勝を食い止めたのは、山崎智也と中澤和志。昨日の前検で断トツのワーストタイムを弾き出した智也だが、5コースから鮮やかなまくり差しでインの佐々木康幸を捕えきった。ただ後半の11Rを見る限り(4着)、中堅に毛が生えた程度かも知れない。

 一方、中澤の足はやはり節イチ級だった。前半2Rは道中揉まれまくって5番手まで後退しながら、力強い追い上げで3着ゲット。パワー評価を下す上で、何よりも重要なのは「道中の追い上げ具合レベル」だと思っているのだが、100%申し分のない動きを見せてくれた。

 

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 圧巻は8R。3コースの和志は内2艇よりもやや遅れて発進したのだが、スリットまでに軽々と追い抜いて半艇身ほど覗いてしまった。内2艇がアジャストした可能性は高いが、とにかく起こし~スリットの加速度は惚れ惚れするほど感度がいい。そのまま半艇身のアドバンテージを守って(スリットから1マークまでの足は一息)、豪快に内2艇の間を切り裂いた。出足&回り足では無敵の強さとお伝えしておく。

 

 

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 でもって、あとの10レースはすべてイン選手の圧勝。大波乱と言うなら、7Rで24場制覇に王手を懸けている今垣光太郎がブイに乗り上げて転覆失格、さらに10Rで瓜生正義がよもやの勇み足=痛恨のF2、このふたつの暗い事故だろう。「SGの舞台で24場グランドスラム」というカッチョいい夢が遠のいた光ちゃんではあるが、今日の2走を終えて-4点。残り4走をすべて勝って予選得点6・00というミラクルVロードは、まだかすかに残されている。

 嗚呼、それにしてもこのイン天国。どこまでこの“尼崎インプール”状態が続くのだろうか。最終日最終レースまで続くようなら、センプル君の名を「インプル君」に換えてもらうとしよう(苦笑)。

 

NG真っ向勝負

 

 今日もまた時代の最先端を、少しだけ垣間見ることができた。11R、茅原悠紀VS桐生順平の2着争いだ。去年の後半あたりから茅原VS毒島というデッドヒートが何度か実現したが、こちらの茅順対決はあまり記憶にない。インの池田浩二が逃げ、その後方の鍔迫り合いから2人が抜け出したことで、そのマッチアップは突然やってきた。

 

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「お、やべえなこりゃ」

 記者席に残っていた数人の記者たちの目の色が、一瞬で変わる。カメラを手にした記者もいる。道中の争いでこれほど記者席の空気を一変させるなんて、ちょっと前まではありえないことだった。桐生順平VS茅原悠紀のガチンコ一騎打ち。もちろん、私の心臓もそぞろときめいた。そして、ふたりの超ウルトラスピーディな攻防は、その期待を裏切らないものだった。まだリプレイを観ていない読者は、ぜひともこの極上の2着争いを堪能していただきたい。クイズっぽく盛り上げるなら「2周1マークでどちらかが優位に立ち、次の2周2マークでその態勢が逆転し、3周1マークでケリが付いた」とお伝えしておく。で、さらに付け加えるなら、「その3周1マークでケリを付けたターンが、どこまで先頭の池田に近づいたか」まで観てもらいたい。

 

 

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 1マークの刹那的な攻防だけでなく、道中のターン戦争でファンを魅了する時代。この趨勢は、間違いなく口コミによって新たなボートレースファンを生み出すことだろう。面白い時代が到来した、と私は素直に歓迎している。あ、タイトルの「NG」はNEW GENERATIONSをなんとなく略してみただけ。NO GOODとは何の関係もないどころか、むしろ真逆の意味であります。(photos/シギー中尾、text/畠山)