BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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尼崎クラシックTOPICS 2日目

 

影と光、光と毒

 

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 昨日の瓜生正義に続いて、太田和美がV戦線の臨界点を超えた。10号機が噴きすぎたのか、起こしのタイミングを間違えたのか、コンマ04の大フライング。さらに9R、24場制覇に燃えていた今垣光太郎も、スタート前のエンスト出遅れという悲惨な結末で尼崎プールから去って行った。今年の早々にGIを制した3人のスターレーサーが、わずか2日でV圏内から消えてしまった。下克上のニオイがぷんぷん漂うシリーズだな。池田浩二も今日は6着5着とまったくいいところがなかったし。

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 こうした一連の流れの中、逆にリズムを跳ね上げているのが毒島誠だ。光ちゃんが起こしから発進しなかったため、普通の2コースのはずがインコースと同じような立場でターンマークを先取りできた。後はNGT(ニュージェネレーションターン)が火を噴いて、影を踏ませぬ完勝。決まり手はなんでだか「恵まれ」だけど。

 

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とにかく毒島は、この勝利も含めて221着と手堅くポイントを稼ぎ、予選3位に喰い込んだ。さらに、まだ1号艇が残っている利もでかい。パワー的には中堅あるかないかと見ているのだが、運も含めたリズムは節イチ級だろう。明日の1号艇1回走をしっかりモノにすれば、暫定トップで4日目を迎える可能性も低くない。帰郷した光ちゃんと、予選トップが見えてきた毒くん。今日の9Rが、今シリーズの大きな分岐点なのかもしれませんな。

 

美魔男の謎

 

 54歳。今節の最年長レーサー西山昇一が奮闘している。昨日はしっかりイン逃げを決め、今日は後輩と激しい乱戦を繰り広げながら4着4着の星を残した。まあ、着順だけを見れば特筆するものでもないのだが、その道中の姿はぐっと胸に迫り来るものがある。とにかく若々しく、スピード争いでも一歩もヒケを取っていないのである。6Rでは「やまとのスピード王」と謳われた古賀繁輝との熾烈な4着争いに競り勝ったし。

 

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 西山昇一。つい4、5年前までは、「一般戦でよく見かけるA級レーサー」という印象しかなかった。事実、A1とA2を行ったり来たりしていたのだ。そのとき、すでに50歳近く。いったい誰が予測できただろう。50歳を軽く過ぎてから、ダービーに2年連続参戦し、こうして総理杯でSG常連たちと互角に渡り合える姿を。かつて50歳を過ぎてから、これだけ勝率を伸ばした選手はいたのだろうか。女性には熟女になってから急に光り輝く「美魔女」なる言葉があるが、それにちなめば西山はまさに「美魔男」だ。50を過ぎて強くなった男。その原動力は何か。同世代の私としては、ぜひとも知りたいところだ。風の噂では「子供が大学に進学するのでもうひと踏ん張り」みたいなことも聞いたが、それだけでこんなに強くなるものかしらん??

 

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 初日から144着で、勝率6・00の20位。ここは“もうひと踏ん張り”して、ぜひとも予選突破&優出を成し遂げてもらいたい。相棒はエースの51号機。この底力をしっかり引き出せば、十分に可能だと思う。同期の大嶋一也や西島義則をギャフンと云わせる走りを魅せてくれよ、昇ちゃん!!

 

明日こそ!

 

「山」と来れば「川」だな。54歳の西山がいて、25歳の西川がいて。今節、私はこのふたりのアタマ舟券だけを買い続ける掟を作っている。で、今日の2Rの西川昌希は実に惜しかった。原田幸哉の強引なまくりで1マークの展開が荒れ、バックで②西川と⑥黒井達矢が抜け出してきた。

 

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「マチャキーーー!!!!」

 2-6-全を買っていた私は朝っぱらから大絶叫してしまったわけだが、黒井の伸び足に屈して真裏の6-2。SG水神祭と「昌希アタマで蔵を建てる」という夢は明日以降に持ち越しとなった。まあいい。明日の10Rは待望の6号艇。この若き豪傑が先輩に遠慮するわけもなく、本気でインを獲りに行くことだろう。その1号艇は人気ブッ被りの毒島だから、大金星を挙げれば私の財布も風船のように膨らむはずだ。とにかく、この6号艇は全国のファンに顔を売る大チャンス。「前付けする超個性派ルーキー」という看板を、毒島にどんとぶつけてもらいたい。

 

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 そうそう、もうひとり、アタマ決め撃ちの掟を立てているのが昌希と同期の松田大志郎だ。大ちゃんもまた勝てば水神祭だが、ここまでまったく歯が立たずに66と這っている。まあ、アタマ狙いと決めている以上、この成績はむしろ好都合。生粋のまくり屋だけに、どこかでドカーンとS一撃を決めれば、軽く300倍を超えるようなオッズになるだろう。でもって、明日は待望の3・4号艇。「家賃が高い」とみんなが見捨てた中で、センターから凄まじい絞りまくりを魅せてくれるはずだ。昌希&大志郎。明日を境に、全国のファンの評価が大きく変わるとお伝えしておく。ん、私……明日って、やまと学校に出張じゃん??? 号泣。(photos/シギー中尾、text/畠山)