BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――朝から勝負駆け!

 

 

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 1Rから勝負駆け。ピットにはさまざまな思惑、闘志、会心、落胆が早くも渦巻いている。

 明らかに呆然としていたのは、川上剛。今日は2走で2着2本以上が必要。ということは、少なくとも1Rでは舟券に絡んでおきたかったし、後半が6号艇ということを考えればさらに上の着順が欲しかった。ところが、結果はわずかに及ばずの4着。これでは、後半に1着を獲っても想定ボーダーの6・00には届かないのである。それを川上も自覚していただろう。表情豊かで、基本陽気の川上が、珍しく表情をなくしていた。言葉も多い川上が、エンジン吊りの間も黙していた。

 SGに限らず、シリーズに参加すればまず準優進出が目標。しかし川上には是が非でも予選突破の思いは強い。チャレンジカップが芦屋で開催されるのだ。芦屋町出身の川上にとっては、まさしく故郷の水面。何としても出場したいという思いは、きっと誰よりも強いだろう。賞金を積み重ねれば出場できるチャレンジカップなのだから、SGのような高額賞金レースは絶好機。予選をクリアして準優、さらに優出や優勝を果たすのは最大の近道だし、優出できなくとも最終日特別選抜戦の賞金は高いのだから、そこには出たい。川上にとって今節の予選は、単なる予選ではないのである。

 残念ながら、これで予選突破はやや厳しくなった。だが、もちろんまだ望みがないわけではない。後半8Rの6号艇は、まず進入から気合を見せてもらいたい。実は闘志の男・川上の力こもるレースを見せてもらいたい。

 

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 同Rで1着なら相手待ちだった安田政彦は、差して2着だった。唯一の地元参戦だけに、兵庫支部全員の思いを背負って目立っておきたいところだったが、いい角度での差しを見せたものの、逃げた森永淳には及ばなかった。

 川上と違って、安田の表情に特に大きな変化は見えなかった。ピットではとにかく飄々、淡々としており、そもそもが表情に変化を見せないタイプ。今節はもちろん選手班長でもあるわけだが、多忙な班長業務に汲々としている様子もまるでないし、それと同様に勝負駆けクリアできずの悔いも見当たらない。何かあれば「!」だの「!!!」だの「!?」だの「っ!」だの言っている私のような人間にとって、その渋さは憧れであります。

 

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 唯一の変化といえば、エンジン吊りを終えて森永に声をかけにいき、二人で大爆笑したこと。何を話したのかはまるで見当もつかないが、安田の笑い声を聞いたのは初めてかも!? ともあれ、ヒリヒリした勝負師タイプも少なくないSGのピットにあっては、なかなかの個性派である。

 

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 さて、1R3着で、こちらもやや予選突破が厳しい状況となった丸岡正典だが、もうみなさんとっくに気づいていると思いますが、今節はなんとも珍しいことに、銀河系軍団から送り込まれているのは丸ちゃんだけなのである。ここ数年、常に複数の構成員を送り込み、一大勢力として水面でも大暴れし、ピットでも大きな存在感を放ってきた85期の面々。それが今節は丸ちゃん一人だけ。最近、こんなことってあったかしらん? 記憶にはまったくないし、組み合わせはどうあれ、銀河系の絡みがピットで見えないのは実に不思議なのであります。

 もっとも、丸岡はそれを意に介していないというか、まったくいつも通りというか、粛々と作業を進めるのみ。丸岡自身、尼崎に来るまでそれを知らなかったようだし。普段と違う点といえば、銀河系と絡んで「ニャハハ~」と笑うシーンを見ないだけだ。まあ、それが寂しいといえば寂しいのだが……。

 丸岡正典の孤軍奮闘を見ながら、銀河系軍団の大きさを改めて知る、という。どえらいスター軍団が艇界に存在するのは幸せなことだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)