BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ゴキゲンミスター

 

 

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 前検日にして、ミスター劇場開演、なのである。

 ドリーム戦共同会見の会場にあらわれた今村豊は、まず場内をざっと見渡し、「たったこれだけ?」と不満を述べた。報道陣は後方に固まっていて、前のほうに空席が目立ったのだ。「俺がしゃべるのに、少ないでしょ!」と一声吠えると、後方から報道陣が前のほうに移動。それでも物足りないのか、「サクラ集めてきて!」とさらに要求だ。誰もがギャグだとわかっているので、会見場は爆笑の渦! ただ、会見の担当者は真に受けてしまい、「もっと声掛けてきます!」と部屋を出ようとしたものだから、今度はミスター、平謝り(笑)。「いや、あのね、ちょっと笑いをとろうと思ってね……すいません!」。ドリーム1号艇の今村は真っ先にあらわれているのだが、まったくもう、のっけから笑わせすぎでしょ、ミスター!

 その後も、もちろん真面目なコメントも挟みつつ……いや、逆か……真面目なコメントをする一方でギャグを挟んで笑いをとる今村豊。ちゃんとしたコメントにしても、「久しぶりに、前検日の試運転で…………気持ちよかったぁ~……」といちいち間を作ったりするので、まったく笑いが絶えることがないのである。

 そう、このゴキゲンモードはもちろん「前検の感触が抜群だった」から。愛弟子・白井英治が中国地区選で優勝したモーターを引き当て、試運転での足合わせでは「クククッ!と出ていった」というほどだったのだから、テンションが上がりまくっているわけである。

 てなわけで、思う存分、しゃべりまくったミスター。ようやく会見が終わったときには、次の田頭実が会見場の外で待ちくたびれていた。

 

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「今村さん、長いですよ!」

「……俺もそう思う!」

 田頭との絡みがオチとなって、さらにもうひと笑い。ピットでの雰囲気は、圧倒的に節イチである。

 で、その田頭が「今村さんとそんなに変わらなかった」とコメントしたことは無視できないぞ。F2での参戦だが、それがこの人にとって足枷にはならないことをご存知の方も多いだろう。なんたって、F3でGⅠを優勝した男なのだ。スタート決めて、持ち味の外攻めを見せれば……ドリーム戦はいろんな意味で濃密な戦いになるはずだ。

 

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 そのドリーム戦の枠番。

①今村豊(山口)

②田頭実(福岡)

③倉谷和信(大阪)

④西山昇一(愛知)

⑤江口晃生(群馬)

⑥今村暢孝(福岡)

 全員が内志向で、江口と今村は外枠ならまず動くというスタイル。進入はもつれる可能性があるし、BOATBoyで僕は「12356/4か1256/34ではないか」と予想している。

 たぶん、枠なりです。

 今村から西山まで、誰もが「コースは緩めない」と言ったことはもちろんだが(倉谷はちょっと含みをもたせるような感じだったけれども)、江口と今村暢が外を覚悟している口ぶりだったのである。

 

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 ノブさんは「仕方ないですね」と苦笑気味に笑い、これは当然「6コースで」が前につくものだろう。「江口さんがどうするか。動いていけば一緒についていく手もある」とも言っていたが、その江口は「コースは仕上がり次第だけど、たぶん枠近辺。そういう調整をしています」と言っている。スタート特訓で今村豊の横に「怖いもの見たさ(笑)」で入ったとき、足の差を痛感させられた。やっつけるなら一か八かで思い切ったペラ調整が必要だと感じ、会見に来る前に叩き始めていたようだ。それが外コースからのレースに適した調整、ということだろう。もちろん、仕上がり次第では、やはり内寄りからということになる可能性もあるけれども。

 したがって、西山昇一が「4コースから。でもカドにはならないでしょうね」と言っていたけれども、いやいや、枠なり3対3ってパターンもあるんじゃないかなあ。このメンバーでの3対3がどんなレースになるのか。それはそれでかえって楽しみになってきたぞ。

 

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 さてさて、あの人もこの人もマスターズ世代になってビックリ、みたいなことを先に書いたが、前検のピットではまた違う感覚になってしまった。

 マスターズでは、「あのベテランが新兵の仕事をしている!」と、ベテランがモーター架台を運んだり、ピット内を若手のように飛び回っているのを見るのが楽しかったりするわけだが、今日はそんな思いを抱かなかったのだ。

 大場敏が架台を運んだりしているのを見て、「まあ、そうだよな」なんて思ってしまうんですよね。彼が正真正銘の新人時代にピット取材をしていたわけではなく、実際には大場の架台運びを見たのは初めてなのだが、しかし「大場がマスターズとはびっくり」=「大場はまだまだ若いと思ってる」=「だから架台運びをしていても何ら不思議はない」という思考になってしまったんでしょうな。その光景を当たり前のものとして眺めている自分がいたわけである。ちなみに、選手の世界というのは登番重視。年が上だろうが下だろうが、登番が上の者が先輩だし、下の者が後輩。だから、同じ新人でも57期の小畑実成とか58期の平石和男や田頭実は新兵ではなく、67期の大場や柳田英明らが新兵にあたるわけである。したがって、へーちゃんや田頭の架台運びは今節見られないかも。それもまあ、当たり前の光景ではあるわけですが。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)