BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――マスターズ、たまりませんな~

 

 

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 開会式&ドリーム戦インタビューが終わってからピットに入ったら、整備室に「レジェンド」と「ジ・エンド」がいた。整備室に選手はその二人だけ。張り切ってメモしちゃいました。

 レジェンド=今村豊はギアケース調整。ドリーム戦インタビューでは、「今節は黙って頑張ります」とか言っていたが、当然そんなわけがないのであって、整備士さんと談笑していた。また、何もする必要がないモーターとのコメントもあったが、きちんと自分のセッティングに合わせる作業はするわけだ。なんだかんだ言いながらも、準備はしっかり整えていくからこそ、いつまでも一線で戦える。レジェンドの姿には、いろいろな教訓が隠されている。

 

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 ジ・エンド=亀本勇樹は本体を割っていた。どこがジ・エンドやねーん!と突っ込むしかないだろう。もう終わってしまっているような人が、初日の朝から本体に着手しますかね。亀本の自虐はもはやマスターズ開会式の定番であり、その言葉とは裏腹の動きを見せて勝利を追い求めるのが亀本勇樹という男なのである。この整備を実らせて、また勝利者インタビューで笑わせてくださいね! そのときには、ガァ~コステージに見に行こう(今節は公開インタビューです!)。

 

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 さてさて1R。関忠志が“競艇”を見せてくれましたね~。いや、私自身は“競艇”=ボートレースと信じているので、関が見せたものこそTHEボートレースだとも思っているのではありますが。

 それはともかく、スタ展3コースだった関は、本番ではさらにゴリゴリッと動いた。これぞ関忠志! これに瀬尾達也が徹底抗戦。1235/46だったスタ展から、2315/46という並びに変わったのだった。関忠志にはこれがある。そう脳裏に刻んで進入予想に臨むのが、舟券の醍醐味である。

 残念ながら結果にはつながらなかったから、レース後の関はまず悔しそうな表情を見せていた。勝負師魂は衰えることがないのだ。だが、瀬尾と顔を合わせると、二人ともニッカァ~と笑って、レースを振り返り合っていた。何度も剣を交えてきた間柄だから、瀬尾も関がどんな選手かをよく知っている。深イン覚悟の抵抗だったわけだから、後腐れなどまったくないわけで、それは関にとっても同じことだろう。二人の笑顔が、実に味わい深かったな~。

 

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「たぶん、僕がいちばん早いスタートだったんじゃないですかね」

 瀬尾のそんな声が聞こえてきたが、さすがと言うしかないですね。スタ展とは並びが変わり、起こしも深くなりながら、コンマ10のトップスタート! さらに、差されはしたもののしっかり2着に差したのだから、まさにいぶし銀の技である。いや~、1Rからいきなりいいモン見たなあ~。これだから、マスターズはたまらないのである。

 

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 勝ったのは“新人”柳田英明! 内の進入争いを尻目にスタ展から5カド決め打ち、ほぼ1艇身のスタートを決めて、中へこみの隊形を利してまくり差しを決めた。鮮やかなマスターズデビューである。レースぶりも若々しかったですね。差し残そうとする関にツケマイを浴びせるようなかたちでのまくり差しで、新時代マスターズを象徴するかのような航跡であった。

 で、レース後の柳田はといえば、中村裕将に祝福されて目を細めはしたものの、それ以外は実に粛々とした雰囲気で、これはこれでベテランらしさも感じさせた。ハツラツとシブさの同居もまた、マスターズらしさ。やっぱりマスターズ、たまりませんな~。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)